見出し画像

炎のひらめき☆マンガ教室第5期 課題3 感想(完成稿)

こんにちは、荒井祐太です。ツイッターIDならびにシラスではyutaaraiです。

夏ですね。暑さで体力もやる気も奪われ、手淫を嗜もうと思って用意したエロ同人もページを開くことなくベッドサイドに積まれたまま1週間。そんな日々を過ごしていないでしょうか。「こ、今夜こそは手淫だ……!!」と帰宅の瞬間まで決意をたぎらせているものの睡眠の誘惑には勝てず、エロ同人の表紙に描かれたキャラクターに向かって「ごめんね! ごめんね!」と謝る日々を送っていないでしょうか。そんな僕のような日々を……。

エロ同人云々はどうでもいいとして、こんな暑さの中、漫画を描くのはたいへんですよね。しかもネーム課題も4回まで終わり、ということは完成稿の締め切りも3度目であり、狂乱のひらマンスケジュールの疲労は肉体的にも精神的にも体を蝕んでいることでしょう。実際に今回の完成稿の提出者数は8名。3分の1以下でした。

必死にがんばるも完成が遠い、ゴールが見えない……。にもかかわらず、刻一刻と迫りくる締め切りの瞬間。追いつめられたとき、人の心は脆いものです。

「次からがんばればいいよ」

「他にも出せてない人もいるしだいじょうぶだよ」

「そもそもネームと完成稿を同時に出させるスケジュールが無理なんだよ」

「次の課題を出すために今回は無理しない方が逆にいいんだよ」

悪魔か天使かわかりませんが、そんな囁きが聞こえてくることでしょう。佐倉綾音っぽい声で、そんな誘惑があなたを襲うでしょう。

しかし、ちょっと待ていっ!!!!!!!!!!!!!

人は一度易きに流れると、とどまるところを知らずに楽な方へ楽な方へと、簡単にズルズルすべり落ちていってしまうもの!!

こんな時こそ心のベクトルを上向きにしなければならない!!!!!!!!!!!!!!!

画像1

みんな聞いてくれ。ある科学論文によれば、漫画家の血の中にはヘモグロビンなどの他に特殊な成分が含まれているという。漫画家志望にも少量だがそれが含まれている。だから漫画家や漫画家志望者は健康診断では健康診断で採決をする際には、ちゃんと問診票に書いておかないと怒られるほどだ。

その成分は漫画家を描かないでいると、体が「必要ない」と判断して減らしてしまい、ゼロになったら2度と漫画が描けなくなる。「俺も昔は漫画家を目指したこともあったなー」と振り返るおっさんはこの成分がゼロになった人たちなのだ!!!!!

逆に漫画を描き続け、特殊な成分を増やしていったものたちには、最高に面白いアイディアが湧いてきたり、難しい作画でも自分が持っている以上の力を発揮出来たり、読み切りを掲載してもらうチャンスが回ってきたりするとも言われている!!!!!!

だからぜったいに特殊な成分を減らしてはいけない。課題提出をあきらめてはいけない。

諦めてしまいそうなら、この歌詞を思い出せ!

苦しいときこそ ニヤリと笑え
はたから見てみな 男だぜ

いいか、みんな! 苦しいときは、ひらマンの受講を自分が主人公の漫画だと思え!!!! なんならデビューしてヒットしてアニメ化して声優さんと結婚するところまで想像してもかまわんぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

次の一連の漫画を見てくれ。

画像2

画像3

画像4

画像5

これは「やる気パルスの伝達」という学説が初めて世に発表された瞬間である。ここに「やる気パルスの伝達」について様々な例が描かれている。

なんとなくわかってきていると思うが、これはひらめき☆マンガ教室第5期のテーマの「対話」だ!!! 特に主任講師さやわかが掲げる5つの「マンガを描く際に必要な「対話する力」」の「②過去のマンガ家との対話」!!! それはやる気パルスを伝達してパルスを正すことでもあるのだ!!!!!!!

つまり!! 苦しく追いつめられたときにこそ、あえて漫画を読め!!!!

島本和彦の描く漫画家漫画『燃えよペン』、これを読んで漫画のパルスを正せ!!!!!

正しいパルスは人からに人に伝わるのなら、すでに伝わった人を見ても同じこと!!!! BSマンガ夜話を見てもいいぞ!!!!!!!!!

そして全身からやる気と漫画力が満ち溢れてきて止まらなくなったら、締め切り笛が鳴るまで止まらず走れ!!!!!!!!!!!!!!! 自分を信じて最後の1秒までがんばれば、きっと間に合う!!!!!!!!!!!!!!

画像6

引用させてもらったぞ、島本和彦!!!!!!!!!!!!!!!!!

他にはこういうものもあるぞ! これもパルスの伝達の一例だろう。きっと彼も『逆境ナイン』を読んだに違いない。

鬼プレス鬼シュート鬼ゴールが漫画を描く過程の何にあたるのかは知らんが、鬼になれ!!!!

さて――。

遅ればせながら、ひらめき☆マンガ教室課題3の完成稿の感想を書きました。

課題3のネームへの感想はこちら。

以下、課題の感想文。読んだ順です。ネームと比べて全体的に短めになっています。タイトルをクリックしていただければ作品ページにとびます。

葉野赤さん「め・ざ・め」
内容はほとんどネーム通り。涙の描写は良いような気もするし、他の手もあるかもしれないし、どうなんでしょうね。僕はネームでストーリーを知ってしまった状態で読んでいるので、完成稿が本作の初見な人がどう感じるかでここの評価はわかれそうです。どちらかというと次のページで姉の目元から涙が消えていることの方が気になりました。特に中段のコマでは弟に背を向けていて顔を見せていないのだから、ここにわずかな涙の痕跡があってもいいかも。

10ページ下段の姉の髪が濡れて頬に張り付いている感じがフェチ的にすごく好きです。姉は一足先に起きてたというのにこの姿勢ってことは、弟の様子を間近に見たくて体を起こさなかったってことですかね? ですよね?

ネームでは何も思わなかったのですが、11ページの沈んだ街は気になりました。というのも、建物が21世紀現在のそれ(つまり多くは20世紀後半に建てられたもの)みたいに見えたんですよね。そもそも序盤の姉弟の下校シーン(?)は田舎っぽくてこんな建物がたくさんなさそうなのに建っていること自体はまあ開発したのかなってことでいいとして、悠久の時が流れたならもっと都市がSF的でもいい気がします。

かわじろうさん「吉野山の話」
内容的にはネームまんまでしたが、暗闇でのオバケ力士が黒板にチョークを擦ったような作画なのがすごく良いと思いました。それでいて重量のある肉体の運動感もあるし。よく見るとネームからそうなっているんですけど、絵を描かない自分としては完成してはじめてわかりました。

黒を際立たせているというのも、相撲らしさのみならず、墨汁感あって、少し古い時代における伝統的なものの表現として良いように思いました

nonakaさん「瞬き」
夢の話だと設定を変更した(?)のは良かったように思います。しかも頻度的に、実体化なる現象の起こらない通常の我々の世界の方が夢や虚構かもしれないですよね、って思えました。

作画されることで、実体化前の服だけの集団が、むしろ普通にキャラを描くよりも思春期の肉体を持っているように感じられました。ラストに出てくる夢から覚めた主人公(?)よりも、実体化前の姿の方が絵的に魅力的に見えました

何者かになれるかという不安みたいな話って、世の中の多くの人にあるものなので、そのへんの主題もよかったなぁと思います。

実体化した大人たちは何を考えているのか幸福なのか。それが気なったので、手がかりは実体化している先生やラストにあると思って表情をよく見てみたけど、そこからはうまく読み取れませんでした。そういう作りにしていないのかもしれませんが、結論が宙吊りされている作品でもあるのかなぁ、と。

作画全体でいえば、背景がしっかり入っていて、作画をがんばっているなーって感心しました。

中西ゆかりさん「夢はあきらめたけども」
ネーム時点でも課題3のベストのひとつと思っていましたが、あらためて読んで良い話でした。すごく素朴でアホっぽいこと言うと、やはりエンタメって人の心に届いてこそだな、と思わせてくれる作品でした。個人的には現状でひらマン5期のここまで提出された全作品でトップレベルで好きです。

ヒロインにがんばった欲しい、受かってほしい、輝かしい未来が待っていて欲しいって思えるのが良いですよね。そして出発点に会社の手違いっていう偶然性による引き合わせがあるのも、人の縁の美しさを感じますし。

気になるのはネーム段階にあったページがないこと。作画時間の都合で欠番にしたのでしょうか。判断としては悪くないけど、若干不自然さというか、話が飛んだ感じはありました。

鷹鯛ひさしさん「見たくない顔」
部分的な変更点である喧嘩の導入は、よりリアリティが増した気がします。実際にこういうやり取りから暴力に発展してそうです。

あらためて読んで感心したのは、この課題に対してよくこんな嫌な身体的接触を提示してきたな、という点。いやな身体的接触を描こうという発想まではありえても、ホラーでもないという。こういう印象的な経験でもなさったんでしょうか。

qjinさん「とこしえのきみへ」
小さな奇跡の話ですよね、これ。

ネーム段階でよくわからなかったところが変更や作画でわかるようになってスッキリ読めました。

形を変えて、またこういうの描いてみて欲しいです。

たにかわつかささん「照れさせてくる照島さん」
ネーム段階で危惧していた「ありがと」を入れることによるテンポの問題って、最後のコマを入れ替えて、ありがとうを後に持って来ればいいのではないかと思いました。ただ、そもそもテンポが損なわれてる感はなかったですが……。

13ページ下段の「胸見られてたああぁぁぁ」は、読者的には照島さんの表情を見たいところ。

泉ころろんさん「AIが欲しいプラスイチ」
ネームから大幅に変更してはいますが、やろうとしていることは変わっていない印象です。要素が減ってすっきりさせてるのはいい変更だと思います。ネームはしょせん叩き台、最後の瞬間までより良くする方法を模索するのは作り手に絶対に必要なことだと思います。

内容的にはいぜんとしてSFというよりはファンタジーなわけですが、この方が可愛い絵柄にも合っているし、喜んでくれる人が多いとは思います。児童書、あるいは大人向けの児童書風漫画みたいな印象でした。

以上!!

いいなと思ったら応援しよう!