ひらめき☆マンガ教室第5期 課題4 感想(ネーム)
こんにちは、荒井祐太です。ツイッターIDならびにシラスではyutaaraiです。
ひらめき☆マンガ教室第5期も、はやくも4回目のネーム提出締切となりました。みなさんも課題文をよく読んで、頭を限界までひねってなんとかアイディアを搾り出していることでしょう。
ところで制作コース受講生のみなさんは、過去3回の課題で身に着けたことを継続して課題の中で意識し続けているでしょうか。
ひらマンの感想でおなじみの大塚陽也さん(さやわかYouTubeチャンネルやカルチャーお白州のカラメルさん? でいいの?)が、ご自身のブログで次のように述べています。
課題1,2が「この作品を描いているあなた」を意識させる課題だったと思いますが、課題3はそういったいわゆる作家性と関係ない部分のマンガの基礎力を問う課題だったように思えたからです。
僕の考えでは、課題1,2のようなテーマに正面から答えられる能力、言い換えれば渾身の一作が書ける能力はめちゃくちゃ大事なんですが、それと同じくらい、一定の出力で作品が作り続けられることが重要だと思います。課題3は”一定の出力”を問う課題だったと思いますが、今後も、同じことが合同誌と最終課題以外のすべての課題でずっと問われていくのだと思います。
一見すると”渾身の一作”を書くことと”一定の出力”で書くことは別々のことのようにも思えますが、この二つは演劇などの舞台で言えば役者の役割と裏方の役割にそれぞれ例えられるように思います。つまり、舞台は役者(=注目を引く物)がいなければもちろん始まりませんが、役者だけでなく裏方(=注目されないが必要なもの)もいなければ成立しないはずなのです。そして、マンガの場合にはどっちかというとこの裏方の仕事に粘り強く取り組む能力こそが想像以上に求められるように個人的には想像します。
つまり何が言いたいかというと、今回の課題がたまたま”一定の出力”を鍛えることを要求しているのではないだろうと考えているということです。今後の課題の取り組みも同じ裏方の能力を地道に鍛えるところから始まるのかなと、そう考えています。(蛇足的にいうなら、師走の翁先生が課題3の後にすぐにネーム模写をするかどうかが大事とわざわざツイートしていたのは、その裏方作業を早く鍛え始めてほしいという意味なんでしょうね。)
長々と引用してしまいましたが、僕も課題3は、ここでいう”一定の出力”みたいなものを鍛える、あるいはそういうものがあるのだということを気がつかせるための課題なのかと思いました。
僕の考えでは、一定の出力というのは、音楽でいうと普通のJ-POPの構造を作れているか、ってことなんだと思います。
なんでもいいんですが、わかりやすくアイマスの楽曲『READY!!』で説明します。
この楽曲の構成は「頭サビ(イントロ)」→「Aメロ」→「Bメロ」→「サビ」という、ごく一般的な作りになっています。世の中のおおくのJ-POPはこの構造を持っています。
より具体的にいうと、
・頭サビ(イントロ)は再生直後の“ARE YOU READY!! I'M LADY!! ”~“絶対私NO.1 ”まで。曲自体の「つかみ」の役割を果たすところです。
・Aメロは“START始まる今日のSTAGE ”~“眩しい輝きまっすぐDEBUT ”まで。ストーリーの序盤ですね。”
・Bメロは“ 夢は叶うモノ ”~ “さあ位置についてLET'S GO☆ ”まで。リズムも変わり、テンションを少し落とすことによって、盛り上がりへの期待を生むところです。
・サビは“ARE YOU READY!! I'M LADY!! ”~“絶対私NO.1 ”まで。この曲でももっとも盛り上がるところです。
みなさんも聞いてみてまったく違和感なく聞けると思います(「オタクっぽくて受け付けないです」とかはあるかもしれませんが)。っていうか、知っている曲はこの構成ばかりなのではないかと思います。みなさんが「神曲」だと思っている曲もです。
『READY!!』はアニメ『アイドルマスター』の前期OPであり、じゅうぶんな評価の定まった名曲です。作曲者もこのレベルの名曲を毎回生み出せるとは言わないだろうけれど、それなりの確率で生み出しうるのが”一定の出力”を出し続けるということなのではないか、と思います。クオリティをあるライン以下に落とさない力と言ってもいいでしょう。
課題3で師走の翁先生が求めたネームの模写というのは、音楽でいうと既存曲のコピーをするってことなのでしょう。それによって楽曲の構造やその他さまざまなことを学ぶことができます。
ちなみに、J-POPの構造の物語性は、カルチャーお白州の番組内でも語られたことがあります。
さて、今回の課題4は「知っている人をモデルにしてください」。
出題者である鶴谷香央理先生による課題についての長文は以下のリンクから読めます。
主任講師であるさやわかさんが設定しているであろう今回のテーマは「キャラクターを作る」。鶴谷香央理先生の課題文は、その能力を鍛える手段として設定されていることでしょう。
テーマは「キャラクターを作る」ですが、課題文は作ったキャラを実際に動かすことも求めています。どこが興味深い点なのかを、読者にもちゃんとわかるように描け、とも。
つまり、知っている人をモデルにしたキャラを出しただけではダメで、それが読者にとって魅力を感じるものでないとダメだということだと思います。
そして、読者がキャラに魅力を感じることは目的ではなく手段であり、キャラを魅力的に描くことによって漫画を面白くし、読者に満足感を与えることが真の目的なのだと思います。それによって連載の話をもらえて、本も出て収入にもなる、と。
さて、各作品の感想ですが、課題はネーム(漫画の設計図)での提出のため、いわゆる完成原稿とは違います。島本和彦の『吼えろペン』では「漫画家と編集者はネームを完成原稿と同じように読むことができる」とされていますが、僕はそのどちらでもありません。ですので、ネームを読む能力がほんとうに低いです。なので、僕が各ネーム作品を適切に読めているのかは大変あやしいことをあらかじめご了承ください。
以下、課題の感想文。読んだ順です。ちなみに、タイトルをクリックしていただければ作品ページにとびます。実際の作品も読んでみてください。
千住ちはるさん「連れてこなければよかった」
これはけっこう普通にいい感じの短編漫画だったのではないでしょうか。と思ったら、古典落語をベースにしているとのこと。これはいいやり方だと思いました。この方法でレベルアップしていくといいように思います。
クリームソーダのクリームを親父食い過ぎだろって気もしますが、総合的に普通に読める漫画になっていると思いました。
あえていうなら、うーちゃんが登場から終わりまでキャラとしておなじ側面を見せ続けているので、途中で新しい魅力に気づくということがないのが、この課題的には不十分かもしれませんが、このくらいの年齢の子を描くとなるとこうならざるを得ないのかもしれません。
葉野赤さん「あのひとの浮いたはなし」
これもいいじゃないか。ゲンコさんが可愛いから。それ以外にないでしょう。エンタメで、しかも漫画という俗な表現形態にふさわしい「ヒロインが可愛ければそれでいい」という漫画だと受け取りましたし、それでいいと思いました。完成稿ではともかくゲンコさんの絵を丁寧にちゃんと描くことに注力してほしいです。特に8ページ下段のコマを。
あえていうなら、ラスト2ページの、ゲンコさんがいきなり隣にいるコマや、「おまえ わしと結婚するか?」のコマはもうちょっと大きくしたりとか、演出的ピークとなるようにしてもいいような気もしますが、そこまで特別にしてしまうと逆にゲンコさんのキャラにコマ構成が即していない気もするので、このままでいいようにも思いますし……。講義で質問できるなら、この内容で演出をどう強化すべきかをたずねてみるのがいい気がしました。
一貫していることがゲンコさんのキャラなのだと思いますが、そういうことでいえば意外の一面は見えてこなかったかも……。そこに主人公が気がつく場面があれば、もっとラブコメ指数が高くなるのかもしれません。
あと、タイトルは浮いた話とイメージのかけ離れた人ってことなのでしょうが、「浮いたはなしがない」ということ自体は作中に出てこなかったなぁ、と思いました。
森紗はるきさん「きになる視線」
1ネタのために10ページで描くのは作画をして完成させる観点からも良いと思いました。
個人的には肝心のオチが面白いとは思えなかったというか、「あ、なるほど。ふーん」くらいにとどまった印象でした。あくまで個人的感想で、ほんとうはすごく面白いオチなのに僕が世の中とズレているだけかもしれませんが……。
かわじろうさん「右こぶと左こぶ (鬼にこぶ取らるること)」
今回もさすがのかわじろうさんといった絵と題材選びで最高でした。
自身の要領が良く、それでいて周囲に優しい右こぶさん(友人Aさん)も、人生の中で似たような人と出会っている気がしますし、このキャラは今の読者に好かれそうに思いました。
鬼の描き方もほどよく可愛げがあって最高でした。
今後もこの調子でお願いいたします。
鷹鯛ひさしさん「森見さんと私」
鷹鯛さんの作品は楽しみなのですが、ご自身でもお分かりの通り、誰が見てもじゅうぶんに完成していない作品かな、と。
「ネームに関するアピール」も言い訳しか書いていない(言い訳も書いていない?)わけですが、言い訳せずに、まるで完成しているかのように普通の文章を書いてしまえばいいのに、と思いました。
滑川王手さん「高橋の消しゴム」
面白かったです。
なるほど、このオチだからこのタイトルなのか、と思わせることにも成功していると思いました。
qjinさん「竹取物語」
出だしはめっちゃ良かったと思うのですが、5ページを過ぎたところから失速するというか、6ページ目から先は、たとえるなら短編小説が途中から箇条書きになったかのような味気なさでした。
かぐや姫とアイドルって、日本文化の精神史的にも正しいような気すらしますが、うまく使えなかったなぁ、ともったいなく思う作品でした。
降原さん「時を彷徨うショーヘイ」
こういう男ばかりのダベりって、実際に経験がある人にとっても、ぼっちだった人にとっても「いいな」と思えるネタで、その点はいいな、と思いました。
12ページ目にさしかかった時、「あ、これはショーヘイ一家が実際に未来人で、それをバレないように生活しているつもりってことか。コメディらしい設定だ」と思ったのですが、なるほど家族そろって騙されやすい、と。
ラストで今度は2002年と言われ騙されるわけですが、これで落とすなら家族が登場する意味があまりなかったな、というのが正直なところです。とはいえ一足飛びに翌日の学校シーンに行ってしまうよりは、1度別のシーンを挟むのは良いと思うのですが。16ページ以内で過不足なく実現できて、なおかつ面白いものがここに置ければいいのにと感じました。
俗人ちんさん「天堂さんは勝ちたがり!」
率直に申し上げて、内容が薄い感じがしました。
ネームに関するアピールにて、本作の設計の思考過程が記されていて、それ自体は論理的で悪くないと思うし、1ページ目とか期待感があったのですが、なんか薄かったんですよね。たぶんページ数が少ないので、内容のネタ数が少なかったのではないか、と思います。アホなヒロインなんだから、もうちょっと振り回して活用することもできたのではないでしょうか。
音楽でいうと、再生数が少ない無名ボカロ曲って世の中に無数にあるわけですが、ああいう曲も有名Pの曲と同様にイントロ→Aメロ→Bメロ→サビって作りになってはいるわけですよ。つまり構造はある。しかし曲の内容で人々の心をつかめていないわけで、なんかもっと欲しいっすね。
あと気になったのは5ページ目の下段のコマ以降です。これぜったいパンツ見えてますよね? 中1女子ってことは白ですよね? この主人公、てっきりそこには反応するのかと思いきや、反応せず。なんすか、こいつ。こちらには見えていないパンツを一人見ていながらその無反応は。
ともかく、読むことによる満足感が、もっと欲しかったです。
nonakaさん「あつまれ!大爆笑小噺」
まずタイトルがヤバいと思いました。90年代でも、このタイトルは実力がじゅうぶんで勝算がある漫画家さんが「あえて」使うようなセンスのタイトルなのではないでしょうか。ともかくハードルを自分で上げまくっている無謀ともいっていいようなタイトルだと思いました。
課題1と同じで問題ないと思いますし、仮に禁じ手でも面白ければ問題ないでしょう。そして謝る必要はないです。謝ることはマイナスでしかないです。謝らなきゃいけないことなんてほとんどないし、仮に「これ課題1とおなじじゃないっすか~?」なんて言ってくるやつがいたら、「うるせぇ」とでも返しておけば大丈夫です。
恋人のいる人に対して「くたばればいいのに」は、いくらなんでもあまりにも凡庸すぎると思います。作家志望でない人たちを10人集めても7人くらいが書きそうです。
柿谷孟カキタニモウさん「反射光」
まずタイトルですごく期待しました。「読んでみよう」とおもわせるタイトルだと思います。
さすがにこの絵では素人の僕にはわからないところが多かったです。文字は読みやすかったです。
泉ころろんさん「寝そべり族」
アピール文に書いてある意図はほとんど実現できていないと思いました。夢の世界からスタートしていることはまったくわからなかったし、ラストの檻云々も伝わってこなかったです。この構想やページ数の規模でできないことはやりたくても描かない方がいいのではないでしょうか。別の機会を待てばいいと思います。そもそもマンションが檻という比喩にふさわしいとも思えませんし。
アピール文で「あらすじ」が書かれていますが、そこで補足しなくていいから作中でわかるようにして欲しいです。ストーリーの説明とかは、漫画を読む時普通は存在しないので。
名称ですが、由来を気づかれるとかではなく、作品にとって必要でふさわしい命名がなされているかが重要なことなのではないかと思います。
アピール文が長くて大変とおっしゃっていますが、書かなくていいようなことを書いてしまっているように思います。
中西ゆかりさん「隣のフルハウス」
これいいですね、ジュリーが可愛くて。そこだけでいいというか、それしかないというか。イギリス留学のリアルも描かれているのかもしれませんが、ジュリーが可愛くて、そっちはどうでもよくなってしまいますね。
中西ゆかりさんの絵柄にもジュリーの可愛さが合ってる気がします。デザインよし、表情よしです。
最後、結婚してもいいってジュリーが言ってるのに、主人公が彼女を好きになってはいけないと誓っているところで「なんだァ?てめェ……」って思いましたね。誓ったにもかかわらず、好きになってしまう展開なのかもしれませんが。
たにかわつかささん「がんばった日」
古民家で同棲中カップルって設定は、めっちゃユーチューブチャンネルやってそうだなと思いました。面白くもなんともない動画をアップしてそうだな、と。1~2件コメントついてそうな感じの。
人間の人生というのは生きていることそれ自体がけっこう大変なことなので、日常の中のちいさなできごとでも前向きな気持ちでいることがとても尊かったりします。お洗濯という面倒だけど生活に必要なことをやる、雨のなか彼氏のために傘を持って迎えに行くなど利他的な行動も、ささやかなことだけれど人を思いやる描写で、読んでいて心地いいと感じる人が多そうです。ほっこりするというやつです。彼氏がちゃんとそのことに気がついてあげられるのも現代的だと思いました。
そうしたほっこり感が喜ばれそうなのはツイッターなので、ツイッターにアップするとRTしてくれて良い感じのリプをくれる人がけっこういそうな気がしますし、しょせんは知らねえやつの日常なので作品にパワーがなく、13RTくらいで終わりそうな気もする漫画だなーという印象でした。そっちで試してみてもいいような気がします。
この作品でいいと思う点は、彼女のキャラ造形をすることがそのまま作品の魅力や作品世界の雰囲気の構築に繋がっているところでしょうか。モデルになった人物の容姿は知りませんが、眼鏡姿にデルフォメ感があるのも、普通に描いたらパワーが弱くなりかねない日常ものの弱点を補っているように思いました。
完成稿だとわかるのかもしれませんが、なんでおにぎりを12時までがまんしてるのかよくわかりませんでした。あれしか彼くんがいない間の食うものがなかった?
谷なすびさん「すなっぷえんどう(株)」
ダメではないんだろうけど、14ページと15ページの間になにも描かずにこのラストにするなら、指パッチンの意味づけや特殊さを前半にもっと描く必要があるだろうな、と思いました。たんに投資家のおっさんが指パッチンだと言っただけなんで。
会社がうまくいってない描写として社員が辞めることを描いてるのかもしれませんが、必要だったとは思えないというか、2ページ使っちゃうと辞めるとか採用とかの話に思えてしまいます。この冒頭は考え直してもいいと思います。
はねむらさん「無職おじさんと幼女志乃ちゃん」
題材は面白いような気がするものの、なんか後半に進むにつれて作りの雑さを感じました。課題をこなすという観点でも、けっしてうまくはいっていないでしょう。
いとしろたかやさん「珈琲とシュガー」
いとしろたかやさんにはブロックされているので間違いなくここを見ないと思いますが、個人的には今回のベストでした。
セリフを一切読まずに絵だけをスクロールしていっても、目つきの悪い怖そうなイケメンキャラが終盤で照れているので、「あっ、キャラの可愛い一面が見れるんだ」って感じがしました。
タイトルもおそらくなんらかの比喩になっているんだろうというのが、わかりやすすぎずに伝わるのがいいと思います。
2ページ目に来るゆるゆるの顔は、それ自体はいいとしても登場が早すぎるかなと思いました。基本的にみなさんの作品は複数回読み返していますが、14ページ目以降の表情の変化の効果をそいでしまうと何度も思いました。
晃てるおさん「本当に恐いお化け屋敷の真実」
キャラが絵的に見分けやすく、過去の提出作よりも読みやすさを感じました。
アピール文に「キャラクターのディテールを深めることができず、リアクションのみ描くことになりました。」とありますが、ページ数にたいしてキャラの数が多いと思いました。あと、実は男の子が本物の幽霊かもっていうのは、どちらかというと読者に働きかけているからかも?
お化け屋敷でありながら、リタイアしたい人のための出口で作業している人がお化け役の一員だったというところしかお化けが出てこないのも、なんか題材を描くうえで物足りないように思いました。
吉田屋敷さん「YOUNG GUNS」
これも今回のベスト。ほんっとすばらしいのではないでしょうか。すばらしすぎると言っていいかもしれません。
美術予備校という自意識の煮凝りみたいな舞台設定がまずいいですよね。いい感じに殺意を溜め込みそうで。
キャラの絵的な造形もいいですよね。主人公のファッションから漂うめんどくさそうな匂いとか。処女っぽくもあり、非処女っぽくもありの絶妙なブレンド具合がいいんですよ。
メインが女2人なのもいいですよね。で、百合の花を描くんですか!? 「百合」ってことですよね! 百合小説界だと、綾加奈先生が描きそうな題材とキャラだと思いました。
欲を言えば10ページ目下段のコマのように、主人公の本性を知った後だと解釈が変わるようなモノローグが1ページ目にあると、作品の構成がかっちりして、よくできてる感が増すように思います。現状だと唐突に見えるとも思います。読み手としても「うわっ……アレそういう意味だったんだ……」ってなるし。
あと、最後のコマで先生の顔がはっきり入り込んでいますが、これがノイズになっていないかがちょっと気にかかりました。この漫画を「百合」だと思って読んでいるからかもしれませんが、ふたつの花が隣り合っている純粋なコマじゃないですか。この百合漫画の連載第1話のラストなわけですよね? 講師に質問するチャンスがあったら、聞いてみても良い点なのではないかと思います。
普通に百合短編としても良さげなわけですが、ひらマンの課題としてこれを提出していることで、美術予備校とひらマンを重ねて読めるんですよね、読んでる側としては。そんなつもりが作者にあるかないかはともかくとして。
いずれにせよ、現実の人物を使ってキャラを作る→作ったキャラを立てて、その魅力で読者に満足感を与えるということに成功していると思います。演出(すなわち課題3)としてもいいんじゃないでしょうか。
ぜひ完成稿もお願い致します! 金払ってもいいですよ!
個別の感想とはべつに思ったこと。
・今回の課題に限ったことではないのですが、アピール文に言い訳や謝罪を書くのはマイナスしかないので止めておいた方がいいかと。時間がなかった系の言い訳はご自身の現在地を把握する妨げになるように思います。たとえば実力はあるので時間さえあれば本当に良いものが描けたはずだとしても、では時間を捻出する覚悟が足りなかったって話にもなるわけで。謝罪もけっこう目にしますが、ひとびとに読んでもらおう、売り出そうってものを「出来が悪くてすみません」なんて作った本人が言っていたら、手に取りたくなくなるのが一般的な感覚です。また、言い訳も謝罪も一般的な読者には無関係なので、知ったことではない話だと思います。ともかく堂々としていればいいし、そのためには主任講師のさやわかさんが言う通り「完成させられるものを描く」必要があるのではないかと思います。
・こちらも今回に限ったことではないのですが、想定読者をアピール文に書くのはいいとして、「〇〇が好きな人」っていうのを見ると、自分の漫画のジャンルや構成要素を述べているだけではないか、という気がします。順序としては「想定読者・媒体を具体的に設定(できれば課題2の努力する路線に即している良い)」、次に「その人たち向けに内容を考える」となるべきでは。対象に向けて球を放るってそういうことでしょう。あと、これだけ世の中にコンテンツが溢れていると、好みのジャンルだからという程度では読んでもらえないのではないでしょうか。大手小説投稿サイト「小説家になろう」でどれだけの異世界転生モノ、悪役令嬢モノが読者が付かずに討ち死にしていっていることか……。ランキングを必死にチェックしてウケる要素を盛り込んでも、ぜんぜん読んでもらえないなんて普通ですからね。漫画もそうなんじゃないかなぁ、と。
以上です。