すべては何かのつづき
すべてが
何かの
つづきのような
気がして
顔をあげた
4月の教室
物理の
5時限目は
みんな
眠たげで
いや
実際に
何人も
寝てるし
(笑)
物理の先生の
ハゲた
頭と
太いフレームの
メガネが
冗談みたいで
ついたあだ名は
ハゲメガネ
ひねりも
何もない
今
感じた
違和感
何かの
つづき
何の
つづき?
教室を見回す
そこには
ただ
等速直線運動の
説明をする
ハゲメガネの
お経のような
声が
行ったり
来たり
しているだけで
違和感は
何もない
誰かが
囁いたように
心に響いた
『すべては何かのつづき』
板書をしながら
思い出そうと
してみたけれど
思い出せない
読んだ本
聴いた歌
どこにも
そんなフレーズは
出てこない
ハゲメガネの
説明は
ますます
お経らしく
そうすると
板書は
写経のように
思えてきて
この教室は
どこかのお寺の
講堂のように
思えてきて
ハゲた頭が
お坊さんの
頭に思えてきて
午後の陽射しが
頭に当たれば
後光が
差すのに
なんて思いながら
ノートに
『すべては何かのつづき』
と書いてみた
そうなんだろうな
アニメや
小説のように
ここから
始まって
ここで
終わり
なんて
ことは
この世界には
一つもなくて
すべては
何かの
つづきなんだろう