第94回選抜高校野球大会(2022年春の選抜大会)で心に残った試合とチーム・選手
第94回選抜高校野球大会(2022)を全試合観戦しました。基本的にすべて阪神甲子園球場で観戦しています。
感想として、心に残った試合やチーム・選手をまとめました。
※内容は全て個人の感想です。
心に残った試合
〈1回戦〉浦和学院 (埼玉) 4 - 0 大分舞鶴 (大分)
開幕試合。
久しぶりにブラスバンドの演奏を聞いて野球を観ると、球春が来たと感じて興奮した。
大分舞鶴は21世紀枠出場・県内有数の進学校に関わらず、強豪の浦和学院と引き締まった良いゲームを行った。
〈1回戦〉クラーク国際 (北海道) 2 - 3 九州国際大付 (福岡)
九州国際大付の香西選手、クラーク国際の辻田選手の投げ合いにより延長戦へ。
最後は佐倉俠士朗選手の犠牲フライでサヨナラ。
シビれる展開。
〈1回戦〉広陵 (広島) 9 - 0 敦賀気比 (福井)
広陵のボンズ真鍋選手、内海選手ら強力打線が爆発。敦賀気比の上加世田選手を打ち崩した。
〈1回戦〉長崎日大 (長崎) 2 - 6 近江 (滋賀)
京都国際の辞退により繰上出場の近江高校が、土壇場の9回に2点差を追いつく。
その後もエースで4番・主将の山田陽翔選手が力投し延長タイブレークへ。最後は山田選手がバットで決める。
展開も熱く、カッコよかった。
〈1回戦〉山梨学院 (山梨) 1 - 2 木更津総合 (千葉)
両エースの投げ合いで延長タイブレークへ。
先行の山梨学院が点を入れられず、その裏には何とかバンドによる進塁を防ごうとライトが内野に回る珍しい守備シフトも見られた。
サヨナラゲームとなった。
〈1回戦〉星稜 (石川) 5 - 4 天理 (奈良)
強豪校同士の対決。
延長戦に入っても取られては取り返す展開で、白熱した。最後はスクイズ失敗後の一、三塁での星稜のトリックプレーが悪送球のエラーを誘い決まった。
星稜のマーガード投手は遠巻きに見てもデカかった。
〈1回戦〉花巻東 (岩手) 4 - 5 市和歌山 (和歌山)
市和歌山の米田天翼(つばさ)投手が、大会屈指のスラッガー花巻東の佐々木麟太郎選手を三振に取るなど堂々と抑える。
最終回に花巻東は猛追を見せるも一歩及ばす。
花巻東の強力打線に対して、米田投手のピッチングが光った。
〈1回戦〉鳴門 (徳島) 1 - 3 大阪桐蔭 (大阪)
鳴門の冨田遼弥投手が大阪桐蔭を3失点に抑える好投を見せた。
初戦となるが、結果的に優勝校の大阪桐蔭の強力打線を最も抑えたのは鳴門高校だった。
〈2回戦〉木更津総合 (千葉) 3 - 4 金光大阪 (大阪)
木更津総合の越井投手、金光大阪の古川投手の両エースが好投し延長タイブレークへ。最終的には押し出しフォアボールで決着。
〈2回戦〉市和歌山 (和歌山) 2 - 1 明秀日立 (茨城)
明秀日立の猪股投手、市和歌山の米田投手が互角の好投を見せる。
9回裏、監督に「お前がここまで粘ったんだから、お前が最後に決めてこい」とバッターボックスに送り出された米田が、右中間へサヨナラタイムリーを打ち決着。
シビれる展開だった。
〈準々決勝〉国学院久我山 (東京) 4 - 2 星稜 (石川)
5回、國學院久我山の4番下川邊選手が魔曲「一本出せよ」に乗じた2点本塁打で勝負を決めた。
星稜のマーガード選手も最終回にヒットを打つなど反撃を見せるが、届かず。
引退する星稜林監督の最後の試合となった。
〈準々決勝〉市和歌山 (和歌山) 0 - 17 大阪桐蔭 (大阪)
市和歌山は投手を3人出すも、大阪桐蔭に打ち込まれる。エース米田天翼投手はまさかの3本塁打を浴びる。
準々決勝でこれだけの大差を見ることは珍しい。
〈準決勝〉浦和学院 (埼玉) 2 - 5 近江 (滋賀)
接戦の5回裏に近江の山田陽翔選手が左足首に死球を受ける。ダッシュも出来ないほどに痛めていた。足をかばいながらも、その後も力投を続ける。
浦和学院は金田選手に継投。エースの宮城誇南選手はこの日は登板せず。
7回に近江スクイズで同点。延長に入り11回裏、山田選手の女房役、近江の大橋選手がサヨナラ3点本塁打で勝負を決めた。
観客席がほぼ全員立ち上がる程の盛り上がりを見せた。私も思わず立ち上がった。激アツ胸アツ。
〈決勝〉近江 (滋賀) 1 - 18 大阪桐蔭 (大阪)
前日死球で負傷した山田選手は直球も130㎞前後と、本来のピッチングは全く出来ていなかった。
3回表に松尾汐恩選手に本塁打を打たれ、自ら降板を申し出る(ベンチに右手を回しながらチェンジの合図を送っていた)。
結果的には大阪桐蔭が打ち込み、大差がつく決勝戦となった。
心に残ったチーム・選手
近江
エースで4番キャプテンの山田陽翔選手の投打に渡る活躍、死球を受けても力投を続ける姿は感動した。仏のようなイケメンでもある。
5番岡崎選手、8番大橋選手もここ一番の場面で粘り強いバッティングを見せ、何度も同点劇・逆転劇を作った。土壇場でスクイズを決めるところも近江らしい。
劇勝の近江。ファイヤーボールの応援もすっかり甲子園に馴染んできた。今回は掛け声はないが、終盤のチャンスの場面ではテンポを上げて演奏するなどのアレンジにも興奮した。
大阪桐蔭
投手陣は前田、川原、別所と3枚揃え、分厚い。
どの投手のピッチングも一級品で、なかなか打ち込むことは難しいだろう。
守備も失策が少なく、よく鍛えられている。
松尾汐恩(しおん)選手のリードも光る。(松尾選手はクールなイメージがあったが、今大会は終始笑顔で試合をするのが印象的だった。)
打線も切れ目がなく、クリーンナップの松尾、丸山、海老根はもちろん下位打線や代打も本塁打含めた長打が打てる。
投手3人も3割バッターであり、打席でも活躍する。
大振りはせず、バットをシャープに振ってくる。
どれだけ得点を重ねても、決して攻撃の手を緩めない。
点差に関わらず犠打も使い、取れるところで点を取ってきて抜け目ない。
他の高校とは頭一つも二つも抜けている印象を受けた。
どう攻めれば良いのか、あまり勝ち方が見当たらないチーム。
吹奏楽部は相変わらず力強い応援で、迫力がある。
國學院久我山
イチローさん直伝の先を狙う走塁や、魔曲「一本出せよ」に乗じた4番下川邊選手の本塁打などの長打力で魅せた。
尾崎監督が31歳と若くしての準決勝進出も、特筆すべきポイント。
浦和学院
名投手コナンの愛称の宮城誇南(こなん)投手のピッチングと、大型遊撃手・金田優太選手の投打に渡る野球センスの良さが輝いていた。捕手の高山維月選手の強肩強打も目立つ。
森大・新監督が31歳と若くして早速の準決勝進出は、目を見張るものがある。
標榜する超攻撃型野球を実践するだけでなく、データを分析して守備位置も調整する工夫が見られる。
ダイビングキャッチが飛び出すなど、堅守の守備も見逃せない。
市和歌山
小園健太投手の後を継いだエース米田天翼投手のピッチングが光った。
特に一回戦で花巻東をねじ伏せた気概は圧巻。
打線も渋といものがあった。
九州国際大付
スラッガー佐倉俠士朗選手の渋といバッティングで準々決勝まで勝ち上がった。
森知哉選手(西武)を参考にしたドッシリと低い構え方がカッコ良い。
今後はさらなる快音も期待したい。
香西投手もしっかりと相手打線を抑える好投をみせた。
投打共にレベルが高いチーム。
広陵
広陵のボンズの異名を持つ真鍋選手のバッティングが良い。
低く早い打球が飛び、ファーストのグラブ捌きも柔らかい。
強打者の内海選手も擁する。
星稜
林監督の最後の大会。
スクイズや一三塁からのトリックプレイなど、巧みな戦術に心奪われた。
大型投手のマーガード選手も、ダイナミックなピッチングだった。
監督が変わり、今後星稜の野球がどう変わるのか注目していきたい。
金光大阪
エース古川投手を中心に、接戦を勝ち上がった姿は、気持ちよかった。
やはり大阪のチームは総合力が高い。
明秀日立
ユニフォームが青基調で勇ましい。
エース猪股投手が力投し、2試合で失点2と非常に少なかった。
今大会は最後は一球一打に泣いた。
秋の関東王者の強力打線と共に、今後どのような活躍が見られるか楽しみ。
和歌山東
左打者には左投手を一打席のみ救援で当てるなど、米原監督の巧みな采配には目を見張るものがある。
エース麻田一誠投手・此上平羅主将をはじめ、選手はみんな強心臓で負けん気が強そう。
まさに魂の野球。
見ていて気持ち良い。
やんちゃな学生が多かったと聞くが、そのような学校が強くなり勝ち上がっていく様は、まさにリアルルーキーズ。
クラーク国際
山田・辻田の二枚看板が魅力的。特に辻田投手の力投が光った。
吹奏楽部の応援も大きく迫力があった。
相手のハッピーバースデーの演奏後、アルプスから拍手を送るなど、非常に好感が持てる学校だった。
大分舞鶴
県内屈指の進学校でありながら、浦和学院と引き締まった好ゲームを行っていた。
今後実力で甲子園に出場するのが楽しみなチーム。
総評
結果的には大阪桐蔭の強さが際立った大会となった。
本塁打はほぼ大阪桐蔭と浦和学院の選手が放った。大阪桐蔭が大会計11本塁打と、とにかく打っていた。
劇勝の近江の勝ち上がり方は心にくるものがあり、昨夏の選手権を彷彿とさせるものだった。
また投手戦による接戦となることが多く、延長戦やタイブレークにまでもつれ、サヨナラゲームが多い大会でもあった。
夏は大阪桐蔭と好ゲームを演じるチームが多くなることを期待したい。
※内容は全て個人の感想です。