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新規事業開発#6(仮説検証➀MVPの作成と法的な建付け)

前回の記事の最後に、顧客のインサイトの深まり方がまだ不十分であると書きました。CPFの終了条件は「課題の存在を検証し、確認すること」「課題を抱える顧客イメージを明確にすること」でしたが、ここを完全に突破したとは言えない状態です。

一方で、実際にサービスを動かしながら検証すべき点もあります。

ここからは、「仮説の検証」と「顧客インサイトを深める」という2つの作業を同時に進めることになります。

顧客インサイト

まずは、前回作成したジャベリンボードをもとに、少し修正を加えながらこれから検証すべき仮説の整理を行いました。

検証すべき仮説

  1. 事故が発生した場合に適切に対応ができ、プラットフォームとしての十分な責任が取れる

  2. 同じ日程、目的地に向かいたい人が5人程度集まる

  3. 知らない人が運転する車に乗って移動することに抵抗を覚えない

検証すべき仮説は主にこの3つです。
順番に見ていきます。

1. 事故や事件が発生した場合に適切に対応ができ、プラットフォームとしての十分な責任が取れる

ユーザーが安心してサービスを利用できる仕組みであることは最も重要な点です。この点について、保険会社や弁護士の先生などに相談を行いました。
まず、発生しうる主なリスクとしては、

  • 事故

  • ユーザー同士のトラブル

  • 何らかの理由でユーザーが目的地に到着できなくなること

が挙げられました。
まず、事件や事故を起こさないための手段として、

  • 車の位置情報をリアルタイムで取得する

  • 運営が常に車内の状態を把握できる状態にする

  • 会員登録時に、有効な免許証を持っているか確認する

  • 悪質なユーザーについて通報したり、退会させるための仕組みを整備する

また、万が一発生してしまった場合の対策として

  • 対応の仕方を事前にマニュアル化しておく

  • 十分対応できる保険に加入しておく

  • 規約や約款を適切に整備しておく

などが挙げられました。
引き続き規約の作成や保険の加入、マニュアルの作成などの手続きを進めていきます。

2. 同じ日程、目的地に向かいたい人が5人程度集まる

実際に個人のSNSを使って「広島→福岡」「東広島市↔広島市」の区間で移動したい人がいないか募集してみました。結果としては、集まりませんでした。

集まらなかった要因として考えられるのは、

  • 母数の少なさ

  • 掲載時期

です。

検証後に試算してみたのですが、約1200人のユーザーがいれば、毎日5人程度集まることが見込まれましたが、それほどのユーザーに毎日アプローチしたわけではなかったので、集まらなかったものと思われます。

もう一つは、掲載時期です。
早くても出発の1日前に募集していたので、十分認知が広がっていなかったものと思われます。

アプローチできる人数を増やしながら、検証を進める必要があります。

3. 知らない人が運転する車に乗って移動することに抵抗を覚えない

これについてはまだ検証がされていません。
実際に乗車してくれる人がいるのかどうかを確かめたり、ヒアリングを進めたりしながら判断していくことになります。

法的建て付けをどうするか?

もう一つ浮かび上がってきたハードルが、法的な建て付けをどうするかということです。

「同じ時間に同じ目的地に行きたい人をマッチングし、車に相乗りして移動する」というモデルが、旅行業、道路運送法、資金決済法などに関連していることが分かりました。

それぞれの法律を所管している官公庁に問い合わせた結果、資産要件や許認可を取る条件、手続きに要する期間、供託金の有無などで、それぞれ異なったハードルがあることが分かりました。

また、過去に事例がないモデルであるため、官公庁の中で判断するためにも時間を要することも分かりました。

最終的には、車を所有し、レンタカー業として運用するという建て付けで進めることに決めました。

MVPの作成

現在考えているプロダクトを実現するためには、主に2つのプロダクトを作成する必要があります。

1つは、ユーザーをマッチングさせるためのプロダクト。もう1つは、車の運行をサポートするためのプロダクトです。

まずはマッチングが成立しないと話にならないので、前者のプロダクトの作成をします。

とはいっても、そこに多くのお金と時間を使っては意味がありません。2日くらいかけて、簡単なプロダクトを自分で作成してみました。

(↑のアプリは常にアップデートされるので、公開時のプロダクトではなく、閲覧時の状態であることに留意して下さい。)

さいごに

仮説検証を進めるための準備をしました。ここから、本格的に検証に入っていきたいと思います。

※この記事の内容は、あくまでもプロダクト構想段階での青貝の個人的な意見なので、今後公開されるプロダクトの仕様を保証するものではありません。


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■ 筆者プロフィール

青貝悠汰 (あおがい ゆうた)

  • 株式会社エンネ 代表取締役

  • KADOKAWAドワンゴ情報工科学院 講師(非常勤)

  • 広島大学情報科学部 学生(在学中)

2000年生まれ。和歌山県和歌山市出身。
小さいころから工作が好きで、高校生の時に俳句を自動で生成するアプリを作ったことをきっかけに情報科学の分野に進む。

エンジニアとしてCRMアプリの開発、新規事業への参画、スタートアップ企業の取締役(CTO)、自身でも新規事業立ち上げ等の経験を経て、2024年7月に株式会社エンネを設立。

受託開発や地方創生インターン支援等を行いながら、同じ時間に同じ目的地に行きたい人をマッチングし車に相乗りして移動するためのサービス「mate」の開発を行っている。

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