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【3DCG】レンダリング方法の違いを理解して効率的なワークフローを確立するための基礎知識【Twinmotion】
前回の記事ではTwinmotionというリアルタイムレンダリングソフトについて紹介しました。
そもそもリアルタイムレンダリングってなんだ?という方もいらっしゃると思います。
また、既にTwinmotionを使っている方の中でも、3種類あるレンダリング手法のどれを使ったら良いかわからない方もいらっしゃるかもしれません。
本記事ではレンダリングについて掘り下げるとともに、Twinmotionのレンダリングの違いについて解説していきます。
レンダリング手法の違いを理解しいて使い分けることで、より効率的でハイクオリティなCGイメージをつくることができるようになると思います。
そもそもレンダリングとは
レンダリングとは、3Dモデルを基に、画像や映像として書き出すことです。
この技術は、建築やゲーム、映画、アニメーションなど、幅広い分野で活用されています。
レンダリングは主に二つの方法に分類されます。
それがリアルタイムレンダリングとプリレンダリングです。
リアルタイムレンダリングとは
リアルタイムレンダリングとは、ユーザーが行った操作や変更を即座に画面上に反映させるレンダリング手法を指します。
3DCGソフトのBlenderでいうと"EEVEE"がリアルタイムレンダリング用のレンダリングエンジンです。
リアルタイムレンダリングの特長は、その名の通り変更がリアルタイムで確認できる点にあります。
そのため、主にゲームで広く採用されています。
これだけ聞くと非常に便利なリアルタイムレンダリングですが、もちろん完璧な方法というわけではありません。
リアルタイムレンダリングは極めて短時間で計算を行わなければならないため表現の正確性に欠けるという点がデメリットです。
具体的に言うと、光の拡散や屈折などの光の動きを高精度に再現できないため、鏡のように光を反射をする表現や、すりガラスのような光を拡散させて半透明に見せる表現が不得意です。
そのため、リアルなビジュアルと高速な処理速度を両立させる技術が求められます。
プリレンダリングとは
プリレンダリングとは、あらかじめ全ての光の動きを計算して画像や動画を書き出す方法です。
3DCGソフトのBlenderでいうと"Cycles"がプリレンダリング用のレンダリングエンジンです
プリレンダリングの最大の特徴は、現実と同じような光の挙動を計算して書き出すため、非常にリアルなビジュアルをつくることが可能な点です。
そのため、映画や広告のほか、建築ビジュアライゼーションの最終的なプレゼンテーションで使用されます。
この方法は、計算時間やリソースの制約が少ないため、物理ベースのライティングやグローバルイルミネーション、レイトレーシングなどの高度な技術を駆使して高精度な画像を生成できます。
一方で、大量の計算時間が必要であるというデメリットもあります。
Twinmotionのレンダリング方式
Twinmotionのレンダリング方式は3つあります。
所見だと違いがわからずに混乱する方もいると思います。
Standard
Lumen
Path Tracer
これらのうち、
StandardとLumenがリアルタイムレンダリング
で
Path Tracerがプリレンダリング
です。
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それぞれ以下のような特徴があります。
Standard
Standardは、Twinmotionのデフォルトのレンダリング手法です。
技術的には、Standardではスクリーンスペース反射(SSR: Screen Space Reflection)が使用されています。
この手法は、画面に映っている範囲を基に反射を計算するため、計算量が少なく高速な描画が可能です。
ただし、画面外の情報は計算に含まれないため、現実感の薄い描画になります。
例えば、現実世界で鏡の正面に立って写真を撮る場合、本来は撮影者の背後にある風景が鏡に映りますが、Standardのレンダリングでは撮影者の背面は計算されないため、映し出されません。
この特性により、速度を優先しながらも一定のビジュアルクオリティを保つことが可能ですが、反射物が多い環境では不自然な表現になってしまいます。
そうは言ってもTwinmotionのSSRは非常に優秀なので、BlenderのEEVEEよりも手軽に高速で高品質な書き出しが可能です。
Lumen
Lumenは、Epic GamesのUnreal Engineの技術を基盤に、より高度なリアルタイムレンダリングを実現する機能です。
すごく簡単に言うと、リアルタイムレンダリングなのにプリレンダリングに近い精度で描画できる画期的な方法です。
Lumenはダイナミックグローバルイルミネーション※をサポートし、リアルタイムでの光の挙動をさらに正確に再現します。
※ちなみにグローバルイルミネーション(GI)とは光が物体にどのように反射や屈折、拡散するかをシミュレートするライティング手法のことです。
以下はGIの有り無しを示した画像です。
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Lumenでは、従来のスクリーンスペース反射とは異なり、シーン全体のライティングを動的に計算する仕組みが採用されています。
これは光源や光の遮蔽物を動かしたとしてもリアルタイムにグローバルイルミネーションを反映してくれるという画期的な仕組みです。
これにより、光が壁や天井を反射して間接光として広がる様子がリアルタイムで表現されます。
また、カメラの視界外の情報も考慮されるため、より正確で自然な反射や影が再現可能です。
この技術により、建築家やデザイナーは設計中の空間の照明効果や材質の影響を正確にシミュレーションできるので、検討速度が格段に上がります。
Lumenに関しては言葉で聞くより実際の映像を見た方が早いです。
こちらのYoutubeではUnreal EngineのLumen機能をわかりやすく解説してただいています。
下の動画は同じくUnreal EngineのLumenで作成した動画です。
Lumen登場以前はプリレンダリングでないと出せなかった質感もLumenの登場によって短時間で動画を書き出すことが可能になりました。
Path Tracer
Path Tracerは、Twinmotionに搭載されたプリレンダリング機能です。
最高品質の静止画や動画を生成するために使用されます。
Path Tracerは物理ベースのレンダリング手法を採用しており、リアルタイムレンダリングでは表現しきれない細部まで再現できます。
Path Tracerは、Twinmotionでリアルタイムレンダリングを使用して作業を進めた後、最終的なプレゼンテーション用の静止画や動画を生成する段階で活用されます。
まとめ
Twinmotionには3種類のレンダリング方法があることがわかったと思います。
簡単にまとめると
Standard・・・動作が軽いが、光の再現性が低い
Lumen・・・動作が軽く、光の再現性も高い
Path Tracer・・・動作が重いが、光の再現性が非常に高い
と覚えておくと使い分けができて良いでしょう。
最後にTwinmotionの画面を見て比較してみましょう。
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並べてみるとそれぞれの違いがはっきりとわかりますね。
Twinmotionは、リアルタイムレンダリングとプリレンダリングの両方をサポートしています。
この特徴を理解して状況に応じて使い分けることで、プロジェクトの効率と品質を大幅に向上させることができると思います。
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