建築でAIを活かすカギは建築学科の1年生が全員学ぶアレだった
本日は建築・AI界隈の新年会で株式会社オリバーさんにお邪魔させていただきました。
生成AIが登場して以降、AIを建築の現場でどのように活かすかは多くの方が挑戦している命題です。
今日の会は、そんな建築 x AIを最前線で挑戦している会社が集まる貴重な場でした。
会の中で以下の4社が最近の試みをプレゼンされていました。
生成AIの強みは時間と費用
現状は各社で細かい違いはあれど、大きく2種類の使い方があることが伺えました。
デザインのきっかけづくりとしての活用
AIホームステージングで不動産の販売促進
どちらにも共通して言えることは、現時点での生成AIの役割は3DCGでつくるほど時間や費用をかけられないけど、少しリアリティのあるイメージが必要な場面で生きると感じました。
特にデザインの初期段階では、さまざまな案を検討することが重要ですが、その際に生成AIによるパターン出しはデザイン検討の試行回数が増やせるので非常に有効です。
若干の破綻はあれど、良質なイメージを簡単に出せる時代になった今、私たちデザイナーがすべきことはどこにあるのでしょうか?
生成AIから実物をつくるプロセス
そんな私たちが目指すべき道を示唆するような面白い試みを見せてもらいました。
株式会社オリバーさんの大阪オフィスでの事例です。
大阪オフィスは昨年改築されたそうですが、注目すべきはその内装デザインのプロセスです。
上の画像の椅子、大テーブル、照明は生成AIで作成したインテリアのイメージを元に、実際使用できるように図面に落とし込んで制作したそうです。
つまり、AIを元にしたリバースエンジニアリングを行い、実際の空間に落とし込むという新しい手法を見出していました。
このリバースエンジニアリングは単に図面を描いたということではありません。
例えば椅子であれば、必要な強度を確保するために椅子の脚の部材の大きさを生成AIで作成したイメージから大きく異ならないように設計されたそうです。
AIを活かすための古の技術
ではこのリバースエンジニアリングを行うにはどのようなスキルが必要なのでしょうか。
それは画像や写真から寸法を推し量る能力です。
字面から難しそうな印象を受けるかもしれませんが、要は透視図を描く手順の逆負いをするだけです。
透視図とは、図法の一種で、任意の視点を設定し、これを起点として立体を仮想の画面上に投影したもののことを指します。
大半の建築学生が1年生時に習う技術です。
透視図を描く際は消失点を決めて、そこに向かって線を結んでいくことで立体を描きます。
生成AIの場合は既に画像があるので、その上から補助線を引いて消失点を導くことで、各部の大きさや寸法を逆追いで求めることができます。
具体的なやり方は書き始めると長くなるので、別の機会に記事にしますが、透視図を描くことができる人であれば、AIのリバースエンジニアリングが可能だと思います。
ぱっと見のイメージはAIでもつくれますが、それを実際につくれるかたちにできるのは現時点では人間だけです。
恐らく、この先数年は大きくは変わらないことだと思います。
生成AIが普及しはじめた今、イメージから実物を生み出すというこれまでのデザインとは逆の流れがしばらくのトレンドになるような予感がします。