【2024年度】立命ロー前期入試 答案(民法)

1 概要

 今回は民法の答案です。語句説明を除いた2つの大問を解きました。(本番は大問2つのうち、一つを選択して解きます)
 例によって、問題文のリンクと、参考答案、若干のコメントを付けています。なお、答案は1時間測って解いたものではないので、再現性は低いです(到底1時間で書ききれる量ではありません)。あくまで参考程度に。

2 問題


3 参考答案


4 コメント

 若干のコメントを付しておきます。

(1)第1問

  •  小問1については、虚偽表示の無効と債権者代位の問題であろうと推察されます。多分。(とか言ってここが間違っていたら点は無いわけですが…)

  •  小問2については、売買契約自体は有効に成立しているわけなので、抹消登記請求をするには、この契約を殺しておく必要があります。そこで、詐害行為取消権を行使し、契約を取消すことがまず必要となってきます。
     その後の法律構成について、売買契約は双務契約であり、先の改正で、契約の解除・取消は当事者間の法律関係の巻き戻しであると整理されました。そうすると、詐害行為取消を原因として両当事者は原状回復義務を負うため(民121条、121条の2)、詐害行為取消に基づく原状回復請求としての所有権移転登記抹消登記手続請求として構成しました。(424条の6第1項に基づき、登記の移転請求を基礎づける構成もあり得たかもしれません)。
     別の構成として、本件売買契約を取消したらC-D間の所有権移転が無かったこととなりDの登記は不実の登記となるから、Cの持つ物権的妨害排除請求権を代位行使して抹消登記手続請求をしていくというものも考えられます。間違いではないと思いますが、少々迂遠かなという印象です。

  •  424条の2の要件の検討に際して、424条1項の要件充足性も必要か否かという論点があったような気がしますが、424条の2は424条の特則規定であり、424条の4や424条の5のように424条の要件の充足が前提として求められていないこと、改正により相当対価を得て処分する場合原則詐害行為に該当しないとされたことから、424条の2の要件さえ充足していれば良いと思います。

第1問については、そもそもの論点を見誤っている気がするので、公式の出題趣旨が出て、誤っていたら修正しようと思います。

(2)第2問

  •  小問1,小問2の①については、特筆すべきことはありません。

  •  小問2②について、194条は条文上、「代価を弁済しなければ、その物を回復することができない」と規定するに留まり、任意に返還した場合に代価の弁償を請求できるかが問題となります。
     この点、最判平成12年6月27日(判例百選〔第9版〕65事件)は、返還の前後を問わず、弁償を請求できると判示しています。(なお佐久間民法〔第3版〕159p以下も参照)

  • 小問3も上記最判の通りです。


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