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UXリサーチャーとプロダクトオーナーが幸せな関係を築くために


この記事はクラウドワークス アドベントカレンダー22日目の記事です。

こんにちは、クラウドワークス プロダクトオーナーの小阪(@yuta3594)です。

2019年10月にUXリサーチャーからプロダクトオーナーに転向しました。
クラウドワークスではプロダクトオーナーになりましたが、現在も副業でUXリサーチをやっていますし、UXリサーチャーとしてのココロは持ち続けています(๑•̀ㅂ•́)و✧

プロダクトオーナーに転向してちょうど1年くらいたったので、「プロダクトオーナーでの1年を振り返って」的なことを書こうかと思ったのですが、それはあんみなさん17日目の記事で書いてくれたので、私は別テーマにしてみます。

はじめに

私は直近の2年半で、UXリサーチャーを1年半、プロダクトオーナーを1年経験しました。

ジョブチェンジをしたばかりで「UXリサーチャー」と「プロダクトオーナー」、双方が記憶に新しい私が、「UXリサーチャーとプロダクトオーナーが幸せな関係を築くために、それぞれが意識すべきこと」というテーマでお届けします。

UXリサーチャーとは?プロダクトオーナーとは?

UXリサーチャーやプロダクトオーナーなどの職種は、会社によって呼称も役割も違うと思うので、「クラウドワークスの場合」で説明します。

■ UXリサーチャー

クラウドワークスのUXリサーチャーは、人間中心設計に基づいてユーザーインタビューやユーザビリティテストなど「UXリサーチ(=定性調査)」をする役割を担っています。どの開発チームにも属さず、プロジェクトごとにコンサルタント的な関わり方で各開発チームと一緒に定性調査を進めていました。

UXリサーチを実施したことがない方も多いかも知れません。定量調査では「What」を明らかにし、定性調査(UXリサーチ)では「Why」を明らかにするため、両輪で取り組むことが重要です。

例えば、新しいサービスをリリースしたとして、1000人が訪問して、100人が購入してくれたとします。何がおこったか(What)についてはGoogle AnalyticsやSQLを用いたデータ抽出などの定量調査でわかります。購入前に50人が出品者のページを見てるだとか、購入後に80人が当日中にもう一度訪問しているだとか。

しかし、なぜ50人が出品者のページを見たのか、なぜ購入後に80名が再度訪問したのか、などの「Why」については、定量調査だけでは知ることができません。どんな人が、どんな状況で、どんなことを期待して、新サービスを利用してくれたのか。それをユーザーインタビューなどを通して知っていく活動がUXリサーチ(定性調査)で、場面に応じてあらゆるリサーチ手法を通して調査を進めていくのかUXリサーチャーです。

「What」に加えて「Why」を知ることで新しいアイディアに繋がります。

■ プロダクトオーナー

クラウドワークスのプロダクトオーナーは、1つの開発チームに1人ずつアサインされており、開発チームでの活動をマネジメントします。スクラムマスターは明確には設置されてないので、プロダクトオーナーがスクラムマスター的な役割を担うこともあります。社内ではスクラム用語である「プロダクトオーナー」を採用してますが、世間的には「プロダクトマネージャー」などが一般的かも知れません。

プロダクトオーナーの重要な仕事はプロダクトバックログを作ること、すなわち「何を作るか」を決めることです。当然、適当なものを作ってはいけません。何かを作る行為には、お金(人件費or外注費)と時間というコストがかかります。コストを最小限に抑えつつ、最大限業績に貢献することが求められます。ROI(投資対効果)の最大化を目指さなければなりません。

UXリサーチャーやプロダクトオーナーの悩みとは?

それぞれ楽しい仕事ですが、当然悩みもあります。

■ UXリサーチャーの悩み

UXリサーチャーの悩みは「成果が見えづらいこと」です。
成果が伝わらないと、存在意義が疑われてしまうので意外と大きな問題です。

営業職であれば自分が取ってきた売上は自分の売上成績に反映されて、どれだけ業績に貢献してるか明快です。プロダクトオーナーも、自分が推進した施策でKPIを伸ばすことができればそれが成果になります。

一方、UXリサーチャーはそういった直接的な指標を作りづらいです。エンジニアやデザイナーも同様かもしれません。主には関わった施策が業績に貢献したかを定量的な成果としてカウントしつつ、基本的には定性的な評価を得ていくしかありません。

UXリサーチャーとしては、

- 施策全体の何%でUXリサーチがおこなわれたか
- UXリサーチによって意思決定は変わったのか
- UXリサーチを実施した/しないで成果が変わったのか
- 事業部メンバーの何%をUXリサーチに巻き込めたか

などの結果を成果として積み上げていく形になります。結構大変です。

■ プロダクトオーナーの悩み

プロダクトオーナーの悩みは「良い施策が出てこない」です。

開発チームのエンジニア、デザイナーが何をしていくのかを決めるのは自分です。その施策の良し悪しが、開発チームの成果の良し悪しになるのでプレッシャーは大きいです。

この仮説はあっているのか、リリースして使ってもらえるのか、この施策は本当に効果がでるのか、常にドキドキです。

UXリサーチャーとプロダクトオーナーの幸せな関係とは?

幸せな関係を「お互いの悩みを消し、一緒に成果に向かっていける関係」とします。

UXリサーチャーとプロダクトオーナーは非常に相性のいい職種で、幸せな関係を気づいていくべき間柄だと私は考えています。

UXリサーチャーは、調査の成果を最大化するために施策として実行してもらう必要があります。実行してくれるのはプロダクトオーナーなので、プロダクトオーナーと一緒に行動するのが吉です。UXリサーチを通して、プロダクトオーナーのユーザー理解度を上げてあげると、プロダクトオーナーとしてはどんどんUXリサーチャーを頼ってくれるようになり、UXリサーチの重要性が社内でどんどん高まっていきます。

プロダクトオーナーは施策の成果を最大化するためには、筋の良い施策を生み出す必要があり、筋の良い施策の生み出すためには、ユーザーを知る必要があります。そしてユーザーを知る術を持っているのがUXリサーチャーです。プロダクトオーナーが何かしら施策を考えるときは何かしらの「仮説」を立てて、仕様を詰めていることが多いでしょう。仮説さえ立ててればいいですか?仮説はただの仮説です。私は仮説のまま開発をすすめてリリースするのは不安です。UXリサーチャーがいれば、仮説を検証して、成功確率をいくらでも高めることができます。

せっかくリサーチしたことが何にも活用されなかったら意味ないですよね。
せっかく開発した機能が全然ユーザーに使われなかったら意味ないですよね。

お互いに補完関係があるUXリサーチャーとプロダクトオーナーには、是非幸せな関係を築いてほしいです。

幸せな関係を築くために、

- (UXリサーチャー目線で)プロダクトオーナーに意識してほしいこと
- (プロダクトオーナー目線で)UXリサーチャーに意識してほしいこと

について、3つずつ書いていきます。


プロダクトオーナーに意識してほしいこと

まずは、プロダクトオーナーのあなたに意識してほしいことです。

■ その1:アイディアは、なる早でオープンにする

UXリサーチャーは、なるべく上流工程から関わったほうが本領を発揮できます。

「こんな機能つくったんだけど、リサーチお願いできます?」

これは極端に下流工程から関わる例ですが、これだとUXリサーチャーとしてはほとんどやれることがありません。

機能の良し悪しの確認とその理由くらいは当然リサーチできますが、UXリサーチャーを活かしきれてません。

また、スケジュールはプロダクトオーナーにとって重要な論点でしょう。UXリサーチにはそれなりに時間がかかります。リリース期限が迫ってから相談されても間に合わず、スケジュール都合でそのままリリースしてしまうという判断になりやすいです。

「こんな機能を思いついたんだけど、リサーチお願いできます?」

このように、何かアイディアがひらめいたら、すぐに相談するようにしましょう。

そうすれば、「ユーザーはその課題を抱えているのか」「解決策は有効なのか」「機能・UIは解決策として最適なのか」などあらゆる場面でUXリサーチが実施できます。

無駄な機能を作らない、施策の精度を上げる、などROI最大化に直結します。
一回一回相談せずとも、アイディアリストを作っておいてそこにアイディアを公開し、UXリサーチャーが自由に見られるようにしておくでも良いと思います。

■ その2:UXリサーチの実査に必ず参加する

プロダクトオーナーは関係者多いし忙しいですよね。わかります。

UXリサーチャーとして分析レポートは作りますが、
レポートを読むだけでは、いまいちユーザー理解は深まりづらいです。

ユーザーインタビューを実際に聞いて、分析会に参加して、UXリサーチャーからの最終レポートを読んで、はじめてユーザーが身に染みます。
ただ講義を聞くだけより、ワークショップに参加したほうが理解度上がるのと同じです。

時間を割いて、自分自身で体験しましょう。
UXリサーチの実査にリアルタイムで参加しましょう。

UXリサーチャーとしては、やっぱりキーマンであるプロダクトオーナーに、
ユーザーのことを深く理解しておいてほしいです。

少なくとも自分の施策のリサーチには必ず参加し、自分の施策に関係ないものでもなるべく参加するようにしましょう。ユーザーに対する手触り感を得ることで、新しいアイディアが湧いてきて成果に繋がる施策を沢山生み出せるようになるでしょう。

■ その3:戦略に関わる会に招待する

プロダクトオーナーはプロダクトの戦略に関わる機会が多いと思います。

戦略会議などは、たいてい、事業責任者、マネージャー、プロダクトオーナー、エンジニアリーダーなどが呼ばれますよね。

そこに是非UXリサーチャーを呼んであげてください!

やっぱり社内で誰よりもユーザーを理解しているのはUXリサーチャーです。
戦略を語る上で、ユーザーの声は欠かせないでしょう。であれば、一番詳しい人を呼びましょう。

UXリサーチャーに意識してほしいこと

次に、UXリサーチャーのあなたに意識してほしいことです。
こちらの方が難易度がずっと高いですすみませんw

■ その1:専任になる

プロダクトオーナーをやっていると、目の前の施策リリースに集中して、新しい施策の創出や検証が追いつかなくなることがあります。(私がまだひよっこだからかもしれませんがw)

思いつきのアイディアは沢山あるけど、それぞれがどのくらい成果出せるのか不透明で、このままデザインや開発を進めるのは不安!という状態です。

そんな時に、どんどんUXリサーチを回してアイディアを検証してくれるUXリサーチャーがいたら大助かりです。

兼任だと、リソース的にその動きは難しいです。専任になれば、全ての稼働時間をUXリサーチにさけますし、スキルアップもしやすくなります。UXリサーチャーは常にリサーチ手法を学びあらゆる場面で最適なリサーチができるように武器を揃えておくべきです。

もしあなたが兼任で、UXリサーチャーに専念したい気持ちがあったら頑張ってみましょう。プロダクトオーナーはとても助かります。プロダクトオーナー経由でマネージャーを説得してもいいでしょう。

■ その2:「探索型」のリサーチをやり続ける

UXリサーチには大きく分けて「検証型」「探索型」の2つがあります。

プロダクトオーナーをやっていると、どうしても「検証型」のリサーチの相談が多くなります。
「こんな機能を考えてるんだけどどお?」「この機能のユーザビリティ問題ないかな?」などは、全部「検証型」のUXリサーチです。

「検証型」だけやっていると、いずれプロダクトオーナーは行き詰まります。
アイディアがどんどん枯渇していってしまうからです。
施策アイディアを考えようとしても、ユーザー情報が頭に入ってないから考えられなくなるのです。

そこでアイディア創出のために重要な役割を果たすのが「探索型」のリサーチです。
これをやり続けてくれるUXリサーチャーはめちゃくちゃありがたいです。

常にあらゆるユーザーの声を聞いて、
新しいユーザー課題や欲求を探索していきましょう。

■ その3:定量分析もできるようになる

UXリサーチも大事ですが、それだけでも不十分です。
プロダクトオーナーとしては「定性調査(UXリサーチ)」と「定量調査(データ分析など)」両方必要です。

そこで定量調査も同時にUXリサーチャーに依頼できると、あらゆる検証・探索がUXリサーチャーとプロダクトオーナーで完結するのでラクです。

他に専門の分析メンバーがいるならその人に頼めばいいのですが、UXリサーチャーがさくっとSQL書いてデータ分析もできるようになると幅が広がります。

UXリサーチャーとしても定量・定性の両方が扱えると今後の活躍の場が広がると思います。

最後に

以上です!UXリサーチャーやプロダクトオーナーの方々の、日々のお仕事のヒントになれば幸いです。

明日23日目は働くママデザイナーのYUCCAさんより、「制作会社出身のデザイナーが事業会社に入って感じた5つの悩み事」についてお送りします。

それでは、良いお年を〜

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