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ブラックな日本とホワイトなデンマークの官僚社会

こんにちは!Yutaです。

最初の記事でもお伝えしたかと思いますが、僕はデンマークのコペンハーゲン大学に1年間(2023年9月〜2024年7月)交換留学しています。

そして交換留学をしながら、コペンハーゲンを拠点にしているコンサル会社『北欧研究所』でインターン活動をしています。

北欧研究所では、主に3つのタスクを担当しています。
①委託タスク(主に北欧に関するレポート執筆)
②SNS運営
③個人研究活動

業務の詳しい紹介は次回以降にして、今回は僕がおこなっている個人研究について簡単に紹介したいと思います。

僕は日本の大学では法学部に所属しているのですが、行政学という政治学系の学問を専攻にしています。
(よく間違えられますが行政法とは全く別の学問です。)

行政の制度や行政活動を研究の対象とするのが行政学。具体的には「行政の組織と制度」「行政と政治の関係」「能率的な行政」「官僚制・公務員制度」「行政改革」「行政責任」などのテーマについて、さまざまな問いを立てて研究する学問。

出典:尚絅学院大学|【それって、どんな学問?】行政学とは何?
https://www.shokei.jp/faculty/humanities/information/detail.php?p=75

かいつまんで分かりやすく言うとこんな感じ。僕はその中でも『官僚の働き方』についてスポットを当てて研究しています。

官僚というのは、簡単に言うと、文部科学省や財務省といった国の省庁で働く人々で、政策立案や国会の答弁作成などを行っています。国家公務員総合職試験という試験に受かったエリートしかなることができないため、昔は東大法学部をはじめとした一流大学の卒業者にとっては人気の職業でした。

しかし近年、「ブラック霞が関」(千正, 2020)といった言葉が現れたように、官僚の長時間労働は深刻な問題となっています。2008年には、深夜まで残業をする官僚の「居酒屋タクシー」問題が大きな批判を招きました。民間企業は積極的に業務の効率化を図り、時短勤務ができる環境づくりをおこなっているのに対し、官僚社会はまだまだ課題ばかりです。

さらに官僚は国家公務員ですので、外資企業と比べると年収もかなり低いです。そのため、外資企業やベンチャー企業がますます人気になる一方、国家公務員試験の受験者数はどんどん減っていっているのです。。。

行政学に詳しくない方でも、『日本の官僚の働き方はとてもブラックだ』というのは聞いたことがあるのではないでしょうか。

僕が行政学を勉強し始めた当初は地方行政を主に研究していて、このテーマについてはさほど関心がなかったのですが、ある一冊の本に出会って、衝撃(悪い意味で)を受けてしまいました。

それがこの本。

この本の著者である千正さんは、元々厚労省で勤務していた経験があり、自身や同僚の働き方の体験談をありのままに書いています。

多くの論文や雑誌で日本の官僚社会の労働問題は指摘されているけれど、大学教授や研究者は、官僚社会にとっては『外の人間』でしかありません。その点、この本は『内の人間』が、労働の実態を詳細かつ粉飾せず、ありのままに描いているので、ドキュメンタリー番組を観ているような感覚でしたし、中でも家庭崩壊のお話はかなり衝撃的でした。

またこちらもNHKの取材班が現役の官僚あるいは官僚を辞職した人にインタビューした内容をもとにした本で、官僚の生の声をセリフ形式で綴っています。

この2冊は多くの人に読んでいただきたい本として特にオススメしたいです。内容も全く専門的ではないので、政治学や行政学に疎い方でも十分に楽しめると思います。

さて、日本の官僚社会(通称:霞ヶ関)のブラックな労働に衝撃を受けた僕は、『じゃあ他国の官僚社会はどうなんだろう?』という疑問を持ちました。

そこで、デンマークの官僚社会の働き方を比較対象として研究しようと思いました。というのも、デンマークはデジタルが非常に進んでいる国で、コロナ前からリモートワークが当たり前のようになっていたからです。

調べていくにつれ、一般社会はもちろんのこと、官僚社会も非常にフレキシブルな労働ができていることが分かりました。

以下は、デンマークの政府機関に勤務している、いわば日本の官僚にあたる方(日本人)へのインタビュー内容です。

―長時間残業をしたり、私生活との両立が大変だったりすることはありますか。

政策立案に関わる部署については、新法を作成する場合、夜遅くまで働いたり、休日出勤をしたり、予定していた休暇を取ることができなかったりといった話を耳にしたことがあります。

しかし、デンマークでは共働きが普通で、家族との時間を大切にする慣習があるため、日本のような長時間労働が続いて家に帰れないという状況はあまり聞きません。

省庁の幹部やトップの立場でも、「今日は子供を迎えに行く日だから」と言って、平日の3時から4時頃に帰宅することも(よほど急ぎの案件がない限り)可能ですし、そのような日が週に数回ある場合も珍しくありません。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構『デンマークの国家公務員の働き方』(2022年4月15日)
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2022/04/denmark.html 

ここから分かるように、省庁によって多少の違いはあるけれど、日本と比べて、デンマークの官僚社会はとても「ホワイト」なのです!!午後3時に帰るなんて、日本の官僚社会ではありえないことだと思います。

では、『なぜ日本とデンマークにおける官僚の働き方は全く違うのだろうか。』という疑問が湧きますよね。

これが僕の現在おこなっている研究のリサーチクエスチョン(研究を通して解明しようとする疑問)です。

研究では、行政の構造面や、官僚社会のデジタル化、そして官僚が持つ労働への価値観などに焦点を当てて研究しています。

実際に、行政学を専門にしているコペンハーゲン大学の准教授や博士課程の学生、そして官僚を含めた、複数の省庁関係者(日本・デンマーク)にインタビューをおこなっています。

まだインタビューを行なっている最中ですが、インタビューをするまで気づかなかった視点も多くあり、非常に興味深い話をたくさん聞くことができています。

完成は5月末ですので、完成しましたら、自分の研究結果についてもう少し詳しくお話ししようと思います。

今回はいつもとテイストを変えて、真面目な話をしてしまいました。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
ではまた!Tak for i dag!

ヘッダー出典:日本経済新聞|霞が関(東京・千代田) 壮大な官庁集中は白紙に (2019-02-23)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41664790T20C19A2CC0000/


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