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とわずがたり 思いがつのる…。

第二章 2023年 晩秋

昨年の秋 緊急搬送され 思いもかけず
余暇を味わいました。
未だ 取り戻せていない現状を振り返ります。
読んでくださった方が「ふーん」と
思っていただけたら 嬉しいです。

① 秋晴れの浮かれた転院

□ am10:00 (急性期病院)出発

富士山こそ見えなかったけれど 
秋晴れの良い天気で
まるで ご褒美を貰ったかのようでした。
家族に会うのも 久しぶりで
浮かれた気分は 最高潮。
満員電車 遅延電車に乗るため  
階段を駆け上がっていたのは 
ほんの1ヵ月前の事なのに 
今では 武勇伝のようにさえ思えます。

「退院おめでとう。
この2週間が【鍵】だったんだよ」と 
主治医に 言われました。
(ST・OT・PT)や 病院職員さんからは
「帰ってきたら ダメだよ。」
「転倒だけは 注意してね。」
トイレに行くことも 
起き上がることも 出来なかった 
患者(私)を励まし ヤル気を出させ 
リハビリを 楽しみに変えてくれた
スタッフの皆さんには 
本当に 感謝の気持ちで いっぱいです。
やりたい事が多すぎて 
退院挨拶時間は 不足です。
「やった分は 良くなるから 頑張れ。」
「身体は嘘を 付かないから 頑張って。」と
送り出されました。

□ am11:00 (回復期/リハビリ病院)に転院

Rehabilitation(リハビリテーション)とは
Re(再び)・habilis(適した・ふさわしい)・ation(すること)を 合わせた言葉だと知りました。
病気や怪我などで障害を持つと 
゛生きる゛事が困難になり 
夢も 希望も持てなくなります。
今まで 出来ていた事が 出来ない。
歩くって 今までどうしていたのだろう。
当たり前って 何なの。
普通にって 今の私は普通じゃないの。
ひとつひとつが わからなくなって
自分の身体を持て余し 手足さえ動かせない。
やれない事 出来ない事 認める事 
それでも ひとつひとつを認めなければ
進めない事が どれだけ難しくて 悔しくて 
情けないのかを思い知るのは 
これからずっと後の事。
悲しいという感情は無くしたように 
こんなに気持ちは潰れているのに 
一滴の涙も流れない。

時は止まった


② チームアプローチの実践開始

回復期(リハビリ病院)では チーム体制を
取り入れる事で 気付きモレを失くし 
グループ共有する取り組みを行っていました。
その上で 患者の観察と治療を行います。
実践担当者は 
主治医 PT(理学療法士) OT(作業療法士) 
ST(言語療法士) CW(ケースワーカー)
介護師 看護師 クリーンキーパーが担当し 
バックアップメンバー名が 
ベッドの頭上に貼り出されていました。
( これだけやって貰えるならば 
さぞかし身体は良くなるはずだ。
良くなるに違いない。) と 
その時は 単純に喜びました。 

その後 療法士個々の技量の違いを
見聞きしたり 家族への進捗説明すらも
上司の受け売りだと知る頃には 
不満と疑問と不信感さえ出てきました。
「よし 〇〇に挑戦してみよう。」
「体力が付いたらマシンを使おう」
他のグループの会話と説明は 挑戦と成果
それを分かち合う笑顔を 
羨ましく思いながら
自分のリハビリ時間が 過ぎていく事を
壁時計で何度も何度も 時間確認する日々となり
次第に リハビリも滞りがちになりました。
それでも 一旦決まった担当制の変更は 
とても難しく なかなか受け入れてもらえず 
限られた入院期間では 我慢するか 
気づかず過ごし退院するだけでした。
(この件については 後日記載予定)

理学療法編…座る・立つ・歩く
運動や器具(マシン)等を用いる。
起きる・立つ・歩くなど
日常の「基本動作」のリハビリを行う。

(現状評価)
腰を支えながら 麻痺側の確認を行う。
(最終目標)
装具を活用して 自分の足で立つ そして歩く。
(今後の取り組み内容)
反復運動を取り入れ 体重移動をさせ 
安定した姿勢の指導を行う。
ベッド移動と 車椅子の移乗練習。
補助手摺や装具 杖を利用しての歩行練習。
入浴を見据えて裸足での歩行練習。
外歩き 公共交通機関の練習。

基本動作確認



・作業療法編…生活の必要動作をスムーズに行う
心身に障害を持つ方に対し
「こころ」と「からだ」のリハビリを行う。
具体的には 食事や入浴 料理等の
生活に必要な応用的動作の訓練。
着替えやトイレ等のセルフケア。
あらゆる活動で「作業療法=日常生活活動」を
行いながら イキイキと自立した生活を
おくれるようサポートする。

(現状評価)
腕の可動域 身体の正面と横方向の確認を行う。
(最終目標)
手を1cmでも 前に伸ばしたり上げたりする。
両手で物を掴む。
手首を使い物を拾う。
必要最低限の家事を行う。
(今後の取り組み内容)
右手は腰位までしか上がらないので 
使い方を思い出す。
グー チョキ パー と 指を
一本ずつ折り広げる。
生活に伴う 体位保持が出来る様にする。

感覚確認


・言語聴覚療法編…障害に対しての訓練
コミュニケーション
社会参加・復帰を目的とした 
精神面のケアなどを行う。

(現状評価)
全般の障害と 患者と家族に対しての
サポートを行う。
(最終目標)
社会と繋がりを無くさない様に 
会話を続ける。
(今後の取り組み内容)
高次脳機能障害検査 総合記憶検査 
RCPレーブン色彩マトリックス検査。
WMS-Ⅲ(日本版ウェクスラー記憶検査)
標準図案の欠如部に合致するものを 
6つの選択図案から選ぶ検査。
言語を使った問題と図形を使った問題で
脳の状態を把握。
「言語性記憶」「視覚性記憶」
「注意/集中力」「遅延再生」の刺激を行う。
穴にピンを刺したり 
大豆位の大きさの銀ボールを移動させる等 
器具を使い検査を行いました。


ある日の検査器具

【 最終目標=在宅復帰 】
日常生活を 支障なく過ごす準備として
足首・手首・肩等の触診が始まりました。
急性期病院に入院していた時よりも 
少しは良くなったつもりでしたが 
数字には 1ミリの変化も見られません。
此処にいるのは夢ではなく  
現実なんだと実感しました。
これから 検査数字に基づいた評価で
本格的なリハビリが開始されます。
「身体中の悪い所 全部治して下さい。」
と 気持ちは開き直りました。
カッコ付けても 見栄を張っても 
無理をしても 出来ない事は 
数えきれないほど沢山あるし 
持続力も 瞬発力も落ちている。
どれだけ元に戻せるか 戻れるか。
負けん気と忍耐力だけは 
まだかろうじて残っているので 
やり切ります。

③ リハビリスケジュール

基本的 スケジュール

目覚まし代わりの朝食配膳準備の音で 
毎朝スッキリ目覚めます。
看護師さんの体調確認は 
バイタルチェックと同時進行です。
「おはようございます。今日のリハビリです」と
スケジュール表が届き 一日が始まります。


④ 「寒露から霜降し」までの覚え書  (10/中旬~11月/初旬頃)

□ 院内環境

コミュニケーションも治療だと
談話室のみ Wi-Fiが繋がっていました。
目に見えた成長を感じる事は出来ません。
1週間で 病棟内のみ [ 車椅子自走 ] が 
許可されました。
病室の壁と 使用している車椅子に 
許可証が大きく張り出されています。
自慢げに紙を揺らしながら 
朝・晩の身だしなみの時間 
デイルーム移動が 出来る様になりました。
少しだけ ほんの少しだけ 
視野が広がったようで嬉しかったです。
焦らないで 不貞腐れないで 
ゆっくりカタツムリのように進もうと思います。

車椅子自走・自立


□ 計画停電

年に一度の計画停電の練習がありました。
配膳の手配 食器洗浄等の手間 
時間配分を考えプラ容器配膳で 
平日の昼食に行われました。
万一の場合と 安全面を考えての事でしょうが 
以前出された同じメニューで 
同じ味のはずなのに なんだか元気が出ません。
(コンビニ弁当は こんな感じだったんだなぁ。) と 思い出しました。
割り箸も 紙コップも 紙皿もとても味気なく 
調理師さんのありがたみを実感しました。

□ インボディ測定

スケジュール表に〔 測定 〕の印字が 
あったので 体重・体脂肪率だと思いました。
「今日の測定は なんですか。」と 伺えば
『 インボディ測定です 』との 返答。
( 全く 何もかも英語なんだから) と 
不安な気持ちを持ちながら  
伝導性を高める為 電解ティッシュで 
手の平と 足の裏を拭きベットで待機しました。
検査は 約3分。
(これでわかるの?)
疑問に思う程 なんの痛みも 刺激も
ありませんでした。

(Q ) インボディ(InBody)とは?
(A) 身体を構成する基本成分 
(体水分・タンパク質・ミネラル・体脂肪) を
定量的に分析し 栄養状態と身体バランス 
体成分の過不足を評価する検査なので 
当然 痛み等はないそうです。
検査担当者に伺ったところ 
サルコペニアは「加齢による筋肉量の減少」
フレイルは「虚弱」を意味する言葉で
超高齢社会の中 健康寿命を延ばす 
注目されている言葉だそうです。
病人初心者としては 
見るもの 検査されること全てに 
(なんだろう?) (何するんだろう?)   と 
不安な気持ちだったと素直に伝えました。
「今 出来ることは バランスの良い食事を
しっかり摂取する事。
適切な運動を行うのが大切なんですよ。」と 
ここでも教えられました。

たんぱく質 摂取量が減少すれば 
筋肉量の減少⇒運動量の低下⇒食欲の低下⇒
低栄養状態⇒筋肉量が
減少という悪循環になると教わりました。
(検査担当者さん・療養師さん・栄養師さん
ありがとう。)

□ コードブルー

ここは 300人程の通院・入院患者が利用する
リハビリ病院なので 救急車は来ません。
急性期病院では 朝方 夜半に
コードブルーの放送を何回か聞きました。

コードブルー(code blue)とは 
患者の容態急変などの 
緊急事態が発生した場合に
用いられる救急コールの事です。
全館放送でコールされた場合は 
切迫した状態の為 コードネームでの放送でも
病院特有の気配でわかるようになりました。
担当にかかわらず 手が空いている医師や
看護師への至急集合連絡です。
回復期病院にはそれがないので 
安心して眠れます。


□ 高額医療費

少しずつ病院生活にも馴染んできました。
聞き覚えのある 【 高額医療費制度 】に
自分が該当する日が来るとは思わず 
入院費の支払い時に 戸惑ってしまいました。
支払いの際に事務会計の方から
「後で申請すれば戻りますよー。」と    
軽いお知らせがありました。
一旦 会計時に全額支払いを行い 
振込先の登録後 診療月の3~5ヵ月後に
指定の口座に振り込まれます。
レセプト(診療報酬明細書)が 
医療機関から組合への到着が遅れたり
審査に時間がかかったりすると 
振込にはさらに時間がかかるそうです。
通常業務の病院事務窓口の方は
何事も無いように説明されますが 
初心者としては聞きなれないことばかり。
例えば…
(Q) 月にいくら以上支払えば支給されますか?
(A) 高額療養費は 1月(同じ月の1日~末日)に
支払う医療費が 自己負担限度額を
超えた場合 超えた分が払い戻されます。
対象となる医療費は
1つの医療機関において その月の支払額が  
21,000円以上のものに限られる。
1つの医療機関であっても
入院と外来は分けて計算されるそうです。
今は ネットで色々調べられますが 
心身共に弱っているので 
勝手ながら 声かけを望みます。
しばらくしたら 傷病手当金の手続きも
しなければなりません。
その給付に付いても 最大6割と聞きました。
果たして 無事に入院生活を送れるのか 
少し不安に思っています。

高齢者が多い院内では 
疑問点の答は患者情報からは得られません。
「どなたか教えてくださる方いませんか。」
と 呼びかけたい気持ちです。

□ 似ていると言われでいたのに

口元に違和感を感じた夕飯時 
どうにもならず 手鏡を覗いてみれば 
目眩がする程の衝撃を受けました。
実物写真を撮って UPする勇気は持てず
文章のみで報告です。
娘時代(これもまた古い言い方ですが)
口元だけは かの有名なマリリンモンローに
似ていると言われた事が 唯一の自慢でした。
そのホクロから [白い毛] が 
ピローんと伸びているのです。
慌てて引っ張れば 弾力の無い毛は 
柔らかくカールしてしまいました。
そういえば 以前から 
(細い糸のようなものが付いているなぁ) と
思っていました。
洗顔の時に取れたとばかり 思っていました。
それが 伸びてなんと今この状態です。
「ホクロの毛は抜いてはいけない。」
と 聞いたこともありました。
入院時は カミソリ等の刃物の
持ち混み禁止なので 
爪切りで顔を傷つけないように
注意してパチンと切りました。
何がモンローだと 
自分で情けなくなりましたが 
次回の家族面会まで現状維持するつもりです。
マスクの下には
伸びたヒゲだけが自己主張しています。

自己主張


□ 日々その事

【 病院食 】
ランチ‥‥少しウキウキ
パンプキンスープ ロールパンサンド 
そして紫芋ムース 等 
季節感を感じさせる献立が多く
飽きてきた病院生活の 
気分を上げてくれます。

水曜日‥‥麺類の日
うどんは消化が良いので アリとは思いますが
ここは 蕎麦も ラーメンもパスタもアリです。
麺が伸びない様に 工夫された容器で
出されたラーメンでも 
旅先で食べた[札幌ラーメン] の
さんぱち 昔風ラーメンを 思い出します。
退院後の やる事リストに追加です。


【 シャワー浴 】
介助されての入浴体験は
シャワー浴(補助椅子)でした。
シャンプーや液体石鹸の置き場もわからず 
不安が混ざった複雑な気持ちで 挑みました。
院内紹介パンフレット写真と
相違がある風呂場でしたが 
記載されていない解放感や 清涼感は
タップリ味わいました。
「ふぅー。」
いろんなモノが 流れたようで 
気持ち良い一日が終わります。
入浴日は 火・木・土曜日です。

【 私には スプーン記念日 】
秋の褒章受章者が 11/3に発表されました。
学術や文化・芸術・スポーツで
優れた業績を挙げた人に贈られた紫綬褒章は
小説家の東野圭吾さん 歌人の俵万智さんらが
選ばれました。

「 この味が いいね 」と
君が言ったから 七月六日はサラダ記念日。
この句は1987年に刊行され 
はじめて聞いた時 衝撃を受けた事を 
今更ながら思い出しました。
今日は カレーライスを
右手を使って食べました。

【 つのる思い 】
介護保険・要介護認定・要支援認定等 
結果通知書が届きました。
(私は 本当に障害者になったんだなぁ) と
実感します。
PT(理学療法士)
OT(作業療法士)
ST(言語療法士)さんに指導され 
看護師さん・介護師さん達 
色んな方々に 手伝って貰って
それで やっと出来ているにも関わらず 
やれるけれど やらないだけで 
本当は 自分で出来るとしか思えない。
そのくせ 何をしたら良くて 
何が悪いとか 理解出来ません。
言われた通りにやっても 
出来ないことが多くて 
それがもどかしいやら 
何をするのが難しいのかを 伝えきれない。
気持ちばかりがずっと先走り 
不完全燃焼のように燻り続けています。
「確実に 良くなっているから焦らないで。」
「回復は少しずつだから。」と 
言われていますが 2か月過ぎました。
私の周りだけ ゆっくり戻ったかの様に
時間は流れています。
足は ほんの少しでも 
一歩でも前に出せたり
昨日より 1分でも長く立てたり 
立ち座りの練習でさえ 回数を増やせば
恥ずかしくなるほど褒められ 
大きな拍手で励まして貰える。
細かいおはじきが摘めれば 
すごい凄いと言われ 
バランスシートに座っただけでも  
まるで幼子が出来たかの様に 
わざとらしく バカにしているのかと 
感じる程褒められる。
そんな 居たたまれない時間
顔を上げていられない度の気持ちを 
誰にどう伝えればいいのか 
わからないのです。
当たり前の日常生活に 
近づいただけなのに 
誉めて貰える程の事は 
全然していないのに 
どうしてなのか 
何故褒めてもらえるのか 
わからない。
少しでも良くなりたいと
思っているだけなのに 悲しくなります。

11月の夕方は 風が強い日が多くなりました。
今日は 送り迎えしていた暗算教室の日です。
ひとり通学に変更したので
「事故なく 帰宅した」の 連絡待ちです。
なんとも仕様がないけれど 
自分の役目が減り虚しくなります。
季節の移り変わりを 肌で感じられないまま 
窓越しに秋を感じる。
五感を鍛える またとないチャンスだと 
ひたすらリハビリに励みます。


★:*:☆・∴・∴・∴・∴∴‥∵∴・∴・・∴・∴・☆:*:★
「格言」.
雨垂れ石を打つ

今も この言葉を支えにしています。
続けていればいつか成し遂げられると
教え込まれました。
途中でやめずに
コツコツと努力を続けることの
大切さを忘れないために 
noteに書き記すことにしました。
読んでくださり ありがとうございました。
次回 クリスマスそしてお正月 を 綴ります。


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