ラン初心者がびわ湖マラソンに挑戦 その5
前回の記事はこちら↓
1.駆けろ!ブリッジドラミング
折返し過ぎ地点。序盤からの実力に反したオーバーペース、そして向かい風の抵抗によって明らかに脚は大きなダメージを負っていた。
しかしここの集団ペースが落ちている以上、1つでも前への集団に乗り移らなければより良いタイムとなるチャンスは狙えない。
腹をくくった私は、シロしばさんとコンドルさんに「着いてきてください」のアイコンタクトを送った直後にバッと集団を飛び出した。
きっと御二方も反応して着いてきてくれるだろう。
シロしばさんとコンドルさんも私にツキイチして最小限の力で前集団にワープできれば、後輩社員冥利に尽きる。
集団から飛び出すと一気に体全体が風に晒され、心拍が上がるのを感じる。ちょーキツい。しかし芋掘りで終わる訳にはいかない。
100m程前方にいた集団までジリジリ距離を詰める。後ろをうかがう余裕など無い。
あと少し。あとすこし…。
何分間耐えていただろうか。やっと前の集団に合流した。
シロしばさん、コンドルさん、僕やりましたよ…!
ホッと一息ついて、後ろを一瞥する。
「あれ、誰もいない……」
…どうやら、私だけが孤高奮闘して単独ブリッジしていたらしい。
後から聞いた話によると、唐突にドラミングされたシロしばさんとコンドルさんは「えっ、何アイツ」的な感じで目を合わせて見送ったとか。
空気を読めないゴリラ。
追い付いた集団はメディカルランナーの方2人が優しく4:30〜4:40/kmでペーシングしており、後からコンドルさんも追い付いてきた。
シロしばさんは遠くはないが後ろに見える。
しかし、結果的にはこのドラミングがシロしばさんを突き放す形となってしまった。
序盤の恩を仇で返すゴリラ。
2.いよいよ終盤へ
しばらくコンドルさんと集団を引っ張るメディカルランナーさんの後ろにしがみつく。
27km付近、待ち構えていたOKDランニング部長が私達にエールを送ってくださった。
エールに応えたかったが、ラリアット前の長州力みたいに腕を回しながらオゥオゥ言うので精一杯。
今思うと何を伝えたかったのか自分でも分からない。
「パン食べる?」に「今忙しい」と返しができる専務は天才である。
いよいよ30kmの壁に突入。ここからがホントのフルマラソン。
心拍は常に150bpm代で、苦しい訳では無い。
しかし、股関節と脚の筋肉全体が痛い。
ただ、怪我的なズキズキ痛みでなく、筋肉痛のような鈍痛なので走る行為自体はできる。
どこまで脚が動いてくれるか。
35km付近に突入し、今まで北上していたのがクルッと折り返して南下するルートへ。
北西からの風(比良おろし)が背中を押してくれると聞いていたが、体感的には普通の横風だった。
疲労でスピードダウンしていたのもあったのかもしれない。
3.沈みゆくゴリラ
ラスト5km!
ついに、巷でよく言われる、「脚が止まる」という状態に陥った。
時が止まったように脚だけが本当に動かなくなるのではなく、筋肉が白旗を降っている状態。
頭でイメージした通りに脚が動いてくれない。
ウエイトトレーニングで例えると、限界まで追い込み、さらにもう1レップさせられた後のような状態。
幸い走ることはギリギリ出来たが、コンドルさんの後ろにツキイチするのに精一杯。
コンドルさんも明らかに疲れた様子であったが、前傾姿勢でしっかり腕を振り、大きな失速なくペースを刻んでいる。
スポーツ理学とかよく分からないが、きっと体の使い方が上手いのに違いない。
一方私のほうは筋肉に加えて内臓も疲労したのか、補給コーナーに並ぶ(キャラ抜きで)大好物のバナナを見ても、取る気にもならなかった。
※余談だが、後にコンドルさんに「🦍なのにあの時バナナ取らなかったよね?」とちゃんとツッコまれた。鷹の目を持つコンドルさん。
いよいよ脚は限界を迎え、ペースも5:00/kmを超えてきた。
次第にコンドルさんの背中が遠くなっていく。
最早、もも上げ運動ができないレベルに。
とにかく腕を大きく振り、腸腰筋を総動員してゴリ押しで片脚ずつ前に進ませる。
自転車は脚を止めても車輪が回り、前へ進み続けるが、ランニングは脚自体が車輪のようなもの。
脚を止める事は走る行為を諦める、すなわち自分に負ける事。とにかく根性で走り続けた。
40km地点。あと2kmちょい。
後ろからランナーの方々にどんどん抜かれる。皆さん脚も心拍も追い込んでいる様子。
対して、私は脚が動かないのに加えて心拍は130bpm後半まで下がっていた。
自分の不甲斐なさより、ラストスパートで追い込める方々の姿が羨ましかった。
つづく