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【遊山箱の想い出】戦争と遊山箱(石井と眉山)

こんにちは。遊山箱文化保存協会です。

私たちは、徳島県に伝わる遊山箱を守り、伝え、つなげるために活動する遊山箱愛好家団体です。遊山箱文化の伝承を目的とし、遊山箱を使ったテーブルコーディネートの提案、交流イベントの開催など、暮らしの中で楽しみながらその魅力を体験する機会を設けております。

3月3日(日)イベントの告知をさせていただきました。
イベント当日までnoteで遊山箱のお話をしていきたいと思います。

どうぞ、お耳からも遊山箱のお話を聞いてください。

本日の遊山箱の話は、石井町に疎開した西大工町の方のお話。

市内は空襲で焼けてなあ。石井へ疎開

私は、市内西大工町生まれで、70代です。眉山の麓だったから、家族で眉山にしょっちゅう花見に行ったんよー。三重塔の麓辺り、子どもだけで行くことはあんまりなかったなあ。

遠出する時は親も一緒に出掛けて、子ども同士では近くに遊びに行くくらいだったかなー。市内では、お節句の日は着物を着たりして、あんまり外で遊んだりはせんかったわ。

お雛さん出したら、必ず遊山箱も一緒に出すんよ。ほの前でお弁当食べよったなあ。ほなけどしばらくしたら、市内は空襲で焼けてなあ。石井へ疎開したんよ。小学校2年の頃、田舎では桃の節句の行事が残っとってなあ。遊山箱下げて小学校3年から4年生までは遊山に行っきょったんよ。

節句がきたら、それぞれが遊山箱持って、兄弟も連れて子どもがいっぱいおって野山で遊ぶんよ。旧の3月3日じゃけん、男の子も女の子も一緒に外で遊ぶにはちょうどいい時期だったなぁ。

お雛さんの前で食べるんだけど、そんなんよりすぐに外に出たいけん、田んぼの畦や土手や神社の石段で食べて。なくなったら友達の家に寄って、また詰めてもろて。どこの家に行っても入れてくれるんよ。

子どもたちだけで何回もおかわりしてなあ。家によって味が違うけど、誰に聞いてもおかわりが楽しかったって言うわ。それぞれの家のもんが食べれるしな。私なんか小さいからお腹いっぱいなんじゃけど、不思議なことにお寿司は入るんよ。

食べて入れてもろて、また食べて

三段で、上が巻き寿司、中が煮しめやゆで卵か卵焼き。下がういろう。りんごでうさぎ作ってくれたり、甘い桜でんぶがのったひし形のお寿司とかあったなぁ。

お節句の前の日には、どの家も蒸し器でういろうを作ってなあ。家それぞれのういろうがあって、もちっとした阿波ういろうがほとんどだったけど、家によっては寒天入りの水ようかんみたいなハイカラなもんもあったわ。もろぶたいっぱい、姿寿司や巻き寿司を涼しいとこに置いとくんよ。

普段はごちそうは食べれんだろう?一年で一番楽しい行事だったわあ。 徳島市内は空襲が致命傷じゃなあ。燃えてしもうたけんなあ。

市内で住んどった時に持っとった遊山箱は、焼けてしもうたけど、石井でまた揃えてくれたんじゃと思います。



旧の節句のひな祭りの日に遊山箱を下げて、お雛様の前や山で遊んで、他のお家にもいって、詰めてもらう幸せな行事、それが遊山の日だったのですね。家ごとに違うお寿司やういろの形や味をお話しいただきました。
石井町で過ごした戦時中の疎開の記憶にも遊山箱の思い出は鮮やかに蘇ってきました。お話し、ありがとうございました。

【イベントのお知らせ3月3日は遊山の日】

私たち、遊山箱文化保存協会はこれからも遊山箱の文化を伝えていきたいと考えております。どうぞ、遊山箱を懐かしく思い出される方も、遊山箱を初めて知る方も、3月3日は阿波十郎兵衛屋敷イベントにお越しください。

イベントの詳しいご案内はチラシからもご覧いただけます。この日のためにアレンジした遊山箱セット(お茶付き)はご予約が必要です(50名様まで)

予約はこちらから。

https://docs.google.com/forms/d/1gi9VxXmFZYUSUmdLDaMgyftlLzfNPAMT-m7oD290tbo/edit



文責:遊山箱文化保存協会 事務局


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