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週一映画館に行くわたしが、2023年に見てよかった映画

家で見る映画も好きなんだけど、映画館で見る映画はもっと好き。というわけで、そろそろ2023年も終わりが見えてきたので、僕の2023年に見てよかった映画を書かせてください。〈※ネタバレなしです


1.グッドバイ、バッドマガジンズ

©ふくよか舎/ピークサイド


〈ストーリー〉
「日本が世界に隠したかった、偉大なる、文化。」

オシャレな女性誌に携わることを夢見た女の子が配属されたのは、滅びゆく成人男性向け雑誌の編集部。一人前の編集者に成長していくサクセスストーリーかと思いきや、東京オリンピックの招致が決まり、外国人観光客の配慮として、成人向け雑誌の取り扱いの中止が決まる。

2022年10月に一週間だけ映画化で上映されたのだが、残念ながら行けず。その後、2023年1月に再度上映されることが決まり、駆け足で見に行ってきました。

キービジュアルがめちゃめちゃ良い・・・。
「お仕事もの」のジャンルとしての完成度も高く、95%が実話をベースにしてつくられているらしい。一人の女性の活躍や成長を見守ることの気持ちよさと、消えゆく文化を目撃することの儚さが両立した物語だった。

2.茶飲友達

©2022茶飲友達フィルムパートナーズ

〈ストーリー〉
「誰だって、ひとりは寂しい。」

「茶飲友達(ティー・フレンド)」は、若者たちが立ち上げた高齢者専門のコールガールサービス。新聞広告で男性を集め、孤独な老人に癒しを提供していた。一方で、若者達もまた、出口の見えない人生の課題を抱えながら「ファミリー」としての絆を深めていった。ある日、高齢者施設に住む老人から一本の電話がはいる。「茶飲友達がほしい」と。

Twitterで流れてきた感想をみて、渋谷のユーロスペースへ行ってきた。
「人間死ぬときはひとり」なんて言葉がふわりと浮かんだと思えば、それを受け止めるだけの気持ちは自分にはあるのだろうか。電話ひとつで、寂しさと孤独が埋められるなら、どんなに幸せなことだろうと思う。どんどん線がひかれるように、取り残される未来に、どうやって僕は向き合っていくんだろう、なんて考えた作品。(上映後、近くで個展がやっていてスタッフだと思って話をしてくれた女性が、主演の岡本玲だと気づいたのは帰宅してからなのは内緒)

3.シン・仮面ライダー

©石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

〈ストーリー〉
「変わるモノ。変わらないモノ。そして、変えたくないモノ。」

秘密結社「SHOCKER」によって人体改造された本郷猛。彼は博士とその娘と組織から逃亡したものの、博士が殺害されてしまう。やがて、彼は「仮面ライダー」を名乗り、残された娘と共に組織に立ち向かっていく。

俳優・浜辺美波が一番魅力的に描かれた映画でした。でも、本当の本編は、映画の裏側に密着したNHKドキュメントだと思っている。アクション監督を軸に、真のシン・仮面ライダーの凄みを感じることができるので、NHKプラスに入ってみてほしい。とあるオーダーをされたときの森山未來のあんな顔みたことがなかった。

4.ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

©2022 Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved.

〈ストーリー〉
「It's you, MARIO」

ニューヨークで配管工を営む双子の兄弟。マリオとルイージ。謎の土管で迷い込んだのは、魔法に満ちた新世界。そんな中、はなればなれになったルイージがクッパに囚われてしまう。マリオは弟を助けるためにピーチ姫、キノピオたちと共に大魔王クッパを倒す旅に出る。

キノコ王国なのに、なんでマリオみたいな人間がいるんだろうと、ゲームプレイ中に思っていたけど、異世界転生ものにしたことによって、めちゃめちゃ納得した。マリオシリーズをプレイしたことがある人は、思わずにやにやしちゃうシーンが満載。90分という映画の尺も抜群に良かった。

5.怪物

©2023「怪物」製作委員会

〈ストーリー〉
「怪物だーれだ」

大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして子どもたちが平穏な日常を送っている。ある日、学校でケンカが起きる。それはよくある子ども同士のケンカのように見えたが、当人たちの主張は食い違う。それが次第に、社会やメディアをも巻き込んだ大事へと発展していく。そしてある嵐の朝、子どもたちがこつ然と姿を消してしまう。

できたら、前情報がないままでみてほしい作品のひとつ。自分の中にひそむ僅かな偏見を体験できる映画だと思う。そして、それぞれの目線によって、人の見方がガラリと変わる作品。もしかしたら、自分が見えている、あの人も、その人も、実は良い人なんじゃないかと思える。あと、予告だけみるとすごくホラー映画なのかな?って思うけど、本編全然ホラーじゃなかった。怖くもない。怖いのは、自分が世界をみる思い込みだった。

6.アイスクリームフィーバー

©2023 「アイスクリームフィーバー」製作委員会

〈ストーリー〉
「100万年君を愛ス」

美大卒業後、デザインの道で苦戦する常田菜摘(吉岡里帆)はアイスクリーム店のバイト長として日々を送っている。作家・橋本佐保(モトーラ世理奈)の訪れが運命的で、変わる彼女に注目する後輩、桑島貴子(詩羽)。周りには高嶋優(松本まりか)が迷子の姪・美和を迎え入れ、共同生活が始まる。熱い思いが交錯する中、4人の心は激動し、確かな絆が繋がっていく。

とにかく座組がいい。川上未映子原作、主題歌吉澤嘉代子、(2023年、個人的に聴いた曲「氷菓子」の歌のかかるタイミングがめちゃめちゃ良かった。)物語の軸を担う、吉岡里帆、モトーラ世理奈、松本まりか、南琴奈のクワトロキャストが、すこぶる良かったです。2つの物語を描く構成も好みでした。

7.福田村事件

©「福田村事件」プロジェクト 2023

〈ストーリー〉
「関東大震災から100年 いま見たことを、伝えたい」

1923年、澤田智一は日本統治下の京城を離れ、妻の静子とともに千葉県福田村に戻る。澤田は朝鮮での虐殺事件の目撃者だったが、静子にはその事実を秘密にしていた。同年9月1日、関東地方を大地震が襲う。混乱の中、香川からやってきた行商団15名は利根川の渡し場に向かう。しかしそこの渡し守との口論が興奮を呼び、村民の集団心理が火をつけ、歴史に刻まれる大虐殺が勃発する。

クラファンで資金を集めて制作された作品。事実に基づいて描かれたこの作品は、見終わった後、人間がもつ残虐性に言葉を失ってしまいます。インターネットから手軽に情報が得られるようになった現代でも、情報に惑わされ、不安や恐怖に煽られることもあるけれど、何を信じたらいいのか・・・。それが、自分の弱さゆえに盲信するようなことだけはないようにしたい。

8.まなみ100%


©「まなみ100%」フィルムパートナーズ

〈ストーリー〉
「出会いと別れと、忘れられない人」

自分勝手で変わり者ながらも、主人公「ボク」は、高校時代から想いを寄せる人がいた。器械体操部のまなみ。その気持ちは10年経っても揺るがず、彼の心は未だにまなみ一筋。出会いと別れの10年を経て、まなみが結婚するという現実が彼を待ち受けている。物語は愛と時を超えた純粋な感情を描く。

純愛映画なのかなっと思って見たんだけど、主人公の”ボク”が意外とクズで面白い。「100%なの?ほんまは60%くらいなんちゃう?」と見終わった後思ってしまったが、誰もが一人はいると思う、忘れられない人を思い出してしまった私も、そのときは100% だったのかもしれないなぁと思ったり。青木袖くんが役にハマりすぎてて当て書きかと思うくらい良かった。新谷姫加さんの芝居もはじめてみたけど、とても良かった。

9.アンダーカレント

©豊田徹也/講談社 ©2023「アンダーカレント」製作委員会


〈ストーリー〉
「生きるための嘘は、罪ですか?」

かなえは家業の銭湯を継ぎ、夫とともに順風満帆な日々を過ごしていた。ところがある日、夫が突然失踪してしまう。一時休業していた銭湯の再開に奮闘する中、銭湯組合からの紹介で、謎の男、堀との共同生活がはじまる。友人の探偵と共に夫を捜す中、ある出来事がきっかけで、三人の心の奥底に潜む真実が次第に明らかになっていく。それぞれの心の底流(アンダーカレント)が交じりあう中、彼らを待ち受けるものとは。

誰かから求められる自分でいることのほうが楽。そんな思いを僕もしたことがって、嘘まではいかないけど、自分の感覚をごまかしながら生きていたことがある。相手の理想の人物像にハマることで、円滑にすすむことがある。そうして、何もかもわかったような気持ちになることは、本当の理解なのかしら。良くも悪くも何も起きない映画なんですが、相手のことを考えるきっかけをくれた映画。

10.正欲

©2021 朝井リョウ/新潮社 ©2023「正欲」製作委員会

〈ストーリー〉
「観る前の自分には戻れない」

検事の男は息子の不登校を恐れ、世間からの断絶を危惧する。一方、寝具販売員の夏月は秘密を抱え、自ら世間との断絶を望む。夏月の中学時代の同級生で秘密を共有する佳道、心を閉ざし日々を過ごす大学生・大也、そして大也と同じ大学に通う八重子もまた、それぞれの思いを抱えていた。しかし、ある事件がきっかけで、見知らぬ人たちの人生が交差し合う。

原作を読んで5分。数ページ読んだだけで、殴られたような衝撃を受けた。普通とはなんだろう。多様性とはなんだろう。私は、普通なのか?を問われているような気分。自分の中の価値観と、世間への認識を変える作品。「この世界で生きていくために、手をくみませんか?」なんて言える相手がいることがすべての救いだったのかもしれない。

11.市子

©2023 映画「市子」製作委員会

〈ストーリー〉
「すべては、生き抜くために」

川辺市子(杉咲 花)は、3年間一緒に暮らしてきた恋人からプロポーズを受けた翌日に、忽然と姿を消す。刑事は、恋人の目の前に市子の写真を差し出し尋ねる。「この女性は誰なのでしょうか。」市子の行方を追って、捜索を続けるうち、彼女が生きてき た壮絶な過去と真実を知ることになる。

待望の映像化に歓喜した作品。フィクションにもかかわらず、まるで本当に存在しているように語られる脚本のすごさが素晴らしい。湿度のある映像美と、物語を支える杉咲花さんの等身大の演技が素晴らしかった。


以上です〜。

映画って、1900円で高いって思うかもしれないけど、実は、毎月1日は映画1000円で見れるし、特定の映画館は、曜日で、割引もしているので、有料会員にならなくても、案外お手頃に見れたりします。

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