オーストラリア医学部攻略への道 1 : 出願 とGPAについて
この記事では、大学入学から医学部入学までのプロセスを紹介します。出願方法、大学成績(GPA)、GAMSAT、面接に関する詳しい解説を行い、医学部入学(Graduate Entry)への道のりをより明確にすることを目指します。
オーストラリアでは日本とは違い、大学学部(3年制)を卒業後、医大(4年制)に行き、医師となるのが一般的です。一部の医大(Monash, UNSW など)は高校卒業後、直接入れますが(5~6年制)、それについては、また違う記事で解説したいと思います。
はじめに
私は日本の一般的な小中高で教育を受けたので英語はあまり得意ではありませんでした。高校卒業後、モナッシュ大学ファンデーションを経て、メルボルン大学理学部を卒業しました。その後、主にメルボルン大学、モナッシュ大学、クイーンズランド大学、オーストラリア国立大学(DEAN’S GLOBAL SCHOLARSHIP)の医学部に合格しました。
オーストラリアで医学部を目指す際、日本語の情報が少なく、情報収集には多くの苦労がありました。そのため、私の経験をもとに、これから医学部を目指す方々に少しでも役に立つ情報を提供したいと思います。あまり需要はないかもしれませんが、この記事がオーストラリアで医学部を目指す方々にとって、少しでも役に立てば幸いです。
出願について
留学生は各大学それぞれ個別に出願する必要があります。オーストラリアの医学部に出願するにはまずGPAとGAMSATが必要となります。その後、これらのスコアに基づいてMMI(面接)へ招待されます。最後にGPA、GAMSAT、およびMMIの点数を合計した総得点に基づいて最終的な入学オファーが出されます。選考でのそれぞれの要素の比重は一般的に以下のようになっています。
GPA (直近三年間の大学の成績): 25 %
GAMSAT: 25%
面接: 50%
(MonashはGPA40%+面接60%、Sydneyは実質GAMSATのみでの選考)
留学生が面接を受けるのに必要な最低ラインの目安 (2023年度)
GPA/7 + GAMSAT/10 >1.6 ~1.65 (GPA 7 スケール)
例: 6.8 GPA 、 63 GAMSATの場合 6.8 / 7 + 63 x 0.1 = 1.6
ただし、これは最低ラインなので、合格するには面接でいい点を取る必要があるかもしれません。
大学(学部)からの医学部入学(大学院)までのスケジュール
基本的には医学部入学前年の5月ごろにその時点でのGPAとGAMSATを大学に提出します。その後、多くのG8の大学は7月ごろにインタビュー(Round1)があり、その約二週間後にオファーが出ます。そして、翌年1月末に入学となります。
例:自分の場合
大学1年3月:大学入学
大学2年9月 : GAMSAT (1回目)
大学3年3月:GAMSAT (2回目)
5月:出願 (その時点での大学の成績 & GAMSATのスコア)
7月:面接
8月:コンディショナルオファー
12月:学士修了 & アンコンディショナルオファー
翌年1月末 : 医学部入学
*メルボルン大学や一部のnon-G8大学の場合は9月以降にインタビューの場合もあり
大学の成績 (GPA)について
ほとんどのオーストラリア医学部は特定の前提条件(prerequisites)がないので、どのような学部、学科からでも基本的にはアプライ可能です。 ただし、クイーンズランド大学などの一部の大学では特定の科目や専攻が必要とされるため、志望する大学によっては事前に要件を確認する必要があります。
医学部の場合WAMではなく、GPAを選考の基準とされます。
大学によりGPAの計算方法が多少変わるのでチェックが必要です。詳しくは、GEMSAS GPA Calculationを参照してください。
GPAに関しては一度取ってしまうと取り返しがつかないので、H1/HDをコンスタントに取っておいた方が無難だと思います。医学部受験生は6.8〜7.0 GPA (7スケール)ぐらいが僕の周りでは一般的でしたが、GPAが低くてもGAMSATで補うことは可能です。
大学3年の1学期に出願する場合は大学1&2年の成績が面接の選考に使われるので、その場合は1、2年時の成績が特に重要です。(ただし、メルボルン大学、ウェスタンオーストラリア大学等は3年の1学期の成績も加味。)
おわりに
医学部をアプライするにおいて、GPAは非常に重要な要素です。高いGPAを維持するためには、科目選択の慎重な計画と、継続的な努力が求められるかもしれません。医師になるという目標を念頭に置き、やる気を失わずに粛々と良い成績を取っていきましょう。もしH1/HDの成績を1つや2つ逃しても、決して終わりではありません。挑戦を続ける勇気を持ってください。また、GPAが思うように高くなくても、GAMSATやMMIで逆転可能です。
次の記事では、「Graduate Medical School Admission Test (GAMSAT)」に関する詳細な解説を行います。