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職人不足の原因と、その解決策についての仮説①

ちょっととあるテレビ番組で住宅業界の職人不足についてピックアップされた特集をやっていたので、それを観てどうしても意見したくなって記事を書きました。

その番組では、とある建材メーカーの新規事業担当の方が、住宅の施工現場で働く大工さんなどの職人不足の課題を、「職人の学校」を作って”職人を多能工化する”というアイデアの素、その他大企業の新規事業の人たちが集まって色々意見を出し合うというような30分番組でした。

ある方は、単純な作業や肉体労働の教育機関を作っても意味がなく、もっとエンターテイメント性や、仕事の先になる夢を見させたら良いとか

ある方は、農作物の生産者が分かるように、その作業をした人の顔と名前が分かるようになったら面白そうだとか

ある方は副業で「大工をやりたい」とか「左官をやってみたい」とか無理やり人を集めるのではなく、やりたい人が集まってくるような仕組みが良いだとか

確かに実現したら素敵な世界だと思うが、そんな机上の空論を軽々しく口にして、DIYの延長線上に現場のプロの技術があると思っている人がいるから職人不足は解決しないのではないかと思い、現場を知らない人がいくら素晴らしい仕組みを作っても、実際に現場で手を動かす職人や若い人がついてこないと意味がないと思うので、私が思うこの業界の職人不足の原因についてまとめてみました。

そもそも建築業界、住宅業界、土木業界、イベント業界、ディスプレイ業界含めて下請け構造の仕組みで仕事が依頼されています。下請け構造の業界なんて他にもいっぱいありますが、この業界の特徴はその下請け企業が請け負う業種の数が半端じゃなく、分業化が激しいことに原因があります。

例えばとあるカフェの改装工事があったとします。

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中身の内装を改装するのに、天井の仕上げは塗装、壁の仕上げはクロス、一部左官あり、床は厨房エリアがタイル貼りで、一般フロアは塩ビタイルだとします。

この場合出てくる業種は

①解体屋(一度カフェの内装を解体するため)

②電気屋(電気の配線や照明器具の取付をするため)

③設備:給排水(トイレや厨房の水の給排水配管を工事するため)

④設備:空調(エアコンの設置とダクトを通すため)

⑤塗装屋(天井の塗装)

⑥クロス屋(壁紙のクロスを貼るため)

⑦左官屋(壁の左官をするため)

⑧タイル屋(床のタイルを貼るため)

⑨床屋(塩ビタイルを施工するため)

⑩サイン屋(店のサインを取り付けるため)

⑪建具屋(店の建具(扉)を取り付けるため)

⑫大工(特注家具を設置するため)

⑬ガラス屋(店の窓を交換するため)

というように、ただ店の改装をするだけなのに13種類もの工種の専門の方々を呼んで順番に施工しないといけないのです。

その他工事内容によっては、石を貼る職人だったり、モニターなどを設置するなら映像関係の業者を呼んだり、テレビ線やWifiをつなぐなら弱電屋を呼ばないといけなかったり、やりたいことに対して依頼する人がバラバラで、素人からしたらそんなに細かい業者知らないよというのが当たり前です。

そもそも設備工事って給排水と空調って分かれてるの!?とか、大工さんと建具屋さんって別なの!?と思う人もいるかもしれません。確かに両方できる人もいますが基本は分業化されています。

床に関しても床のフローリングや塩ビタイル・タイルカーペットを施工する職人さんとクロス貼りの両方をできる人もたまにいますが、どちらか一方のみという人の方が多いです。

タイルと石も施工できる職人が違います。これもどっちもできる人もいますが。

その他金物屋さんとか造形屋とか軽量鉄骨LGS職人とか、専門の工種を分けると30種類以上はざらにあります。

それらの職人さんは個々で仲間を作り、仕事がない時はお互い仕事の紹介をしあったり、逆に仕事が忙しい時はヘルプを呼んだりと、同じ専門業種同士でネットワークを構築している人もいます。

この多すぎる専門職種と職人の数の偏りが激しすぎるのと、空間作りの工事の時期がそれぞれバラバラなのである時には職人が暇してる時期があって、またある時は全然足りないと言うことが起きる。この

専門職のプロの人たちは個人で一つの空間の施工を請けることはなく、工務店などの施工会社がお客さんから注文された依頼を、施工会社から発注を受けて初めて仕事がもらえます。

元請けの施工会社は空間を作り上げるための工程計画を作成し、その工程通りに順番に専門業種の職人が現場に出入りします。

基本的に施工会社と専門会社さんはお互いが仕事を発注する側と受ける側でWinWInの関係を保っていかないとどちらかが破綻してつぶれてしまいます。

施工会社は専門会社がいないとモノを作れないし、専門会社は受ける仕事がないと会社が潰れてしまいます。

そのため大きな企業では、いつも世話になっている専門会社に、今年の目標発注金額などを掲示して、「今回はこの金額出すから仕事請けてよね」というように囲い込みが発生していて、いざ仕事がない時に発注することが出来ないので、約束をしていた専門会社も仕事がもらえなくなり破綻するというわけです。

2020年4月~のコロナ流行がまさにそれを物語っていて、施工会社の景気が良くないと、そこにしがみつく専門会社も仕事がもらえずに共倒れするというケースに陥りました。

この業界はどこみてもおじさん、おじいちゃんばかりで若い人は珍しいです。
たしかに若い人もある一定の場所には固まってたりしますが、平均すると高年齢化していて、このまま今の世の中のペースで建物や新しい施設を作っていると、10年後20年後にはそれを作る人たちがいなくなるので、作れないと言うことが起きます。

それを解決する仕組みを私なりに考えたので、次の記事で書こうと思います。





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