自己紹介
はじめまして。高村勇介(こうむら ゆうすけ)と申します。
株式会社SHO-CASEの代表で、施工現場の入退場管理システム「SHO-CASE」の開発と運用をしています。
自分が元々ディスプレイ業界の現場監督として5年間働いて感じた現場の負を解決したい、空間づくりの未来をつなげたい、そんな思いから「SHO-CASE」を開発しました。
この事業を始めることになった一つのきっかけは、まだ私が現役の現場監督として、新卒で入社した㈱乃村工藝社で感じた将来への漠然とした不安でした。
それはモノづくりがしたくて会社に入ったのに、自分がやっていることは数字調整ばかりで、このままだと自分がなりたい先輩たちのような姿になれないと感じたからです。
今でこそ残業時間月45時間までという労働基準法を守るようにどの会社も浸透しつつありますが、私が入社した2013年~2015年くらいまでは残業時間を100時間つけても人事に少し注意される程度でした。現場監督の方、業界の人ならわかると思いますが、現場を担当していると残業時間45時間なんて余裕で超えます。
現場監督の仕事は多岐に亘ります。現場の工程管理から安全管理、品質管理、コスト管理まで、常に事故と隣合わせの施工現場で会社の利益まで考えて業務を遂行するにはとてつもない経験と知識と労力を費やします。私がやっていたようないわゆるディスプレイ業界の展示会や店舗の内装工事の施工現場では、現場監督が1人で現場を回すことがほとんどで、その現場監督が病気で倒れたりすると現場はストップしてしまいます。
もちろんそんなときは上司や先輩がフォローしてくれますが、基本は1人で発注から現場まで請け負うため、ゼネコンの建築現場のように現場監督が何人もいるということは、大型現場の現場以外ほとんどありません。
電通の自殺事件を境に、会社自体の残業時間の規制も厳しくなり、上からは残業するなといわれ、でも現場は納めないといけない、その矛盾に不満を覚えつつも何とかやれて来れたのは一緒に現場で働く協力会社(いわゆる下請会社)の職人さんたちが私の現場で働いてくれるから、その人たちがのびのび仕事ができる環境を作るために、しっかりを現場をおさめることだけを考えて仕事をしていました。
それでも利益先行で、数字にばかり目を向ける会社の上層部に対して疑念を抱き始め、私が憧れる先輩たちの背中がどんどん遠くなっていくような気がしたのです。
私が憧れていた今でいう30代の先輩たちは本当に優秀で、慕う後輩も多く、信頼のできる協力会社を何社も抱えています。その先輩たちが若いころ働いていた時も残業時間は80時間や100時間は当たり前だったそうで、それでも世の中的にそこまで残業に対して厳しくなかったので、体力的にはきつかったそうですが、時間を掛けて現場で学びを深め、現在の地位にまで上り詰めています。
では残業規制が厳しくなって、労働時間の限られている今の若手社員は、いつか先輩たちに追いつくことは可能なのか?
知識を覚えるまでに費やす時間が圧倒的に違う今の若手社員は、今の諸先輩方にいつか追いつくとはいえ、そのスピード感にはギャップがあるのは確かです。
当時5年目の私は自分自身の成長率の鈍化にモヤモヤを感じており、新しい環境に変えないといけないと決心し、とある現場で知り合った30代のフリーの現場監督の知り合いに相談をし、自分自身も独立をし、新しい環境でチャレンジしてみようと決意しました。
その後独立をし、個人事業主として現場管理業を請け負うさなか、現場での労働時間に最も時間を費やす”安全書類の管理”に着目し、アナログな紙での管理方法を楽にできる方法を模索し、そもそも残業自体が起こらない健全な施工現場を実現するべく、自分自身でプログラミングを学ぶため「G'sアカデミー」という起業家・エンジニア養成学校に通い、そこで「SHO-CASE」を開発しました。
建築現場も含めて、ディスプレイ業界の施工現場には大きな課題があります。それは人出不足です。施工現場の高齢化の問題は待ったなしの状況で、みんなやばいやばい人がいないとは言いつつも、何とか仕事が回っているので40代以上の大人たちのほとんどは業界の未来にあまり関心がありません。
このままだと日本の未来の空間づくりは廃れます。職人の取り合いがおき、現場はひっ迫、それでも見て覚えろ精神の世界では若い人材は仕事に夢を追い求めれなくなります。そのつけを払うのは今業界に健在する20代、30代。
その事実は揺らがない。それってなんかおかしくないですか?
現場で働く人に罪はない、むしろ本当に良い人ばかり。私たち現場監督が何人増えたところで、実際に作業する職人さんがいないとモノづくり・空間づくりはできないんです。そしてそれを指揮するための現場監督の労働環境が変わらない限り、この業界に未来はない、そう私は考えます。
「SHO-CASE」は現場に入るときに必ず記入をする「新規入場者アンケート」を電子化し、毎回記入する個人情報を、スマホで1回の登録のみで、日々のQRコードスキャンをすれば、いつ誰がどの現場に入ったのかを記録することが出来ます。面倒な書類のファイリングも必要ありません。そしてもちろん現場以外の場所でも閲覧可能で、万が一事故が起きた際も、会社にいる上司は被害者の個人情報をスピーディに確認することが出来ます。これがあれば少しでも現場の負担は軽くなると思います。私自身も元現場監督としてこのサービスを使いたいと思って開発をしました。
そして今後はKY用紙から施工体制台帳まで安全書類のすべてを、スマホ一つで入力し、面倒な書類管理業務を削減することを第1段階の目標としています。さらに現場の労務データを活用して、職人と現場監督の労務データの可視化や、現場と職人のマッチングなど、アナログな施工現場の発注から竣工までをDXするプラットフォームにしていきたいと考えています。
なぜここまで現場環境の改善に私がこだわるのか、それは現場が好きだからです。
仮囲いや建物の中で囲まれた、一般人からは想像できない施工現場では様々なことが置きます。もちろん大変なこともありますが、それぞれのプロフェッショナルが集結し、一つの空間を作り上げるために技術を発揮する。そして現場が終われば「またどこかで会いましょう」そう言ってまた別の現場に向かう。そして別の現場で会った時の信頼感は半端じゃありません。
現場業務から離れた今でもときたま当時お世話になった職人さんと会うこともありますが、全員が同じ釜の飯を食った仲間なんです。
一見大変そうに見える施工現場ですが、現場で働いた人にしかわからない現場の楽しさがあります。
私はその楽しさを今の若い人たちにも感じてほしいし、幻滅しないで欲しい。時代に中々追いつけないこの業界ですが、なんとか私が変えて見せる。そんな気持ちで日々試行錯誤しながら頑張ってます。
長くなりましたが、今後はもっと業界のこと、現場のことを知ってもらいたいので頑張って記事を書き続けます。
読んでいただきありがとうございました。