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中国のゲーム企業がなぜ日本から撤退しているのか?

最近この話題が注目を集めていましたが、第二回目として、中国国内ゲーム市場の急回復が背景にあるとされるNetEaseやテンセントの日本市場への投資減少と、HoYoverseのグローバル展開成功戦略を解説します。


1. NetEaseとテンセントの国内集中

NetEaseは、2024年第二四半期において、ゲーム関連収益が**201億人民元(約3.5億ドル)に達し、前年同期比で6.1%の成長を示しました。モバイルゲームが収益の76.4%**を占め、中国国内市場が大きく成長しています。自社IPの設立という目標も達成した上にこの成長により、日本市場で新たなタイトルを投入する必要が減少しました。また、テンセントも国内市場に注力しつつ、グローバル展開を進めています。

そもそも、中国企業が日本を含む海外市場に投資を開始した理由の一つとして、中国政府によるゲーム規制強化が挙げられます。しかし、規制が緩和され国内市場での売上が回復したことで、再び国内集中へと方針を転換しています。


2. 縮小する日本モバイル市場

日本のモバイルゲーム市場は成熟し、競争が激化しています。2023年から2024年にかけて、プレイヤーの支出が減少し、ARPU(1ユーザーあたりの平均収益)は1.04ドルから99セントに低下しました。市場全体の収益も3%減少しており、特に長寿タイトルの影響で市場の新陳代謝が遅れているのが現状です。このようにプレイヤーが増えても収益が伸び悩んでいる状況も、中国企業の日本市場への投資減少に影響を与えています。


3. HoYoverseの成功戦略と事業ポートフォリオ

一方、HoYoverse(ホヨバース)は「原神(Genshin Impact)」を通じて、グローバル市場での成功を収めています。彼らは、アジア、北米、ヨーロッパ、南米に渡る多言語対応と、各地域に応じたローカライズ戦略を徹底し、地域ごとにパーソナライズされた体験を提供しています。
例えば日本の季節に応じたイベントやガチャをリリースすることも戦略の一つです。

さらに、モバイル、PC、PlayStationというクロスプラットフォーム戦略が全世界での展開を支え、事業ポートフォリオをバランスよく分散させています。「原神」は2023年までに40億ドル以上の累計売上を記録し、その50%は中国以外の市場からの収益となっています。
このバランスの良さであれば、中国国内における規制リスクは他よりも少ないと言えます。


4. 未来展望

中国国内市場の成長により、日本市場への投資が減少していますが、バブルの崩壊や体制変更により再び日本市場へ進出する可能性はあります。特に、国内の勢いが落ち着いた際には、HoYoverseのようなグローバルな成功モデルを作り上げた他の企業が、日本市場でも再び注目を浴びる可能性があります。
最近は悟空の成功もあり、モバイルだけでなくコンソールでも確かなクオリティを生み出す技術と体力があることを証明しました。コンソールが狙うのは日本だけでなく北米市場であり、北米企業達と協業する流れが起きても不自然ではありません。


最後に

今後も定期的に、ゲーム関連やUIデザイン、UXデザインの記事を投稿していきます。フォローしてお見逃しなく!また、noteにも記事を掲載していますので、そちらもぜひご覧ください。

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