見出し画像

読書感想文『チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方』(中原淳・田中聡、日本能率協会マネジメントセンター 2021.3.11)

「コロナ禍でリモートワーク生活を強いられ、チーム運営に苦労している」
そのようなお悩みをお抱えの方は少なくないハズ、と勝手に思っていますし、私もその一人です。
(正確には、私はリモートワークではないですが、現職の組織にてチーム運営に課題を感じていました。)

今回ご紹介する書籍は、そんなお悩みを持つ方にぜひおススメしたい内容です。読了後の感想を一言でいうと、本書はすぐにでも取り組みたい
「現場での組織開発のテキスト」。
まさに触れ込み通りの一冊と感じました。
(Twitter経由で拝見した中原先生のブログを見て、上記課題への救いの一手と期待してポチり。)

中原研究室ブログ

読書のきっかけ

私が日頃のチーム運営で意識していたのは、MITダニエル・キム教授が提唱された「成功循環モデル」でした。
「関係の質」を高めていくことを起点に、「思考の質」「行動の質」
そして「結果の質」を向上させていくというもの。

成功循環モデルhttps://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1112/05/news007.html

また、Googleが公表した「効果的なチームとは何か」という調査で提唱された、「心理的安全性」を確保する必要性も認識していました。

グーグル 心理的安全性

https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/identify-dynamics-of-effective-teams/

上記概念は大変すばらしく共感を覚え、実践を試みている部分もありましたが、チームメンバーは互いに忙しい中、業務時間内にコミュニケーションを深める時間を確保するのは難しく(実際には前もってつくればよいのですが)、結果的に業務時間外での「飲みにケーション」に依拠したチームづくりをせざるを得ない部分がありました。

👦「関係の質」→高めなきゃ~、とりあえず飲み会だな🍺
👦「心理的安全性」→やっぱ大事だよな~、まずは飲み会だな🍺
※私の不勉強による薄っぺらい理解なので、上記理論の本質を得ていないのは承知しておりますが、この場ではご容赦ください

ただそれも、コロナ禍でリアルでコミュニケーションを深めることが難しくなったこと、またそれ以前からある多様性が重視される職場の中(ex.小さいお子さんがいるママを飲み会に呼べるのか?)で、物理的に難しくなってきた背景を実感していた所でした。
結果、「昭和~平成式 チームづくり」は破綻し、私自身のマインドセットを変えていく必要性を強く感じていました。

『チームワーキング』 ~ing形にイミがある

「チームワーク」向上を謳う書籍は数多くあれど、本著は~ing形であることに、著者の狙いが強く込められているようです。
その心として、以下のように記述があります。

「Teamworkingとは「Team(メンバー全員)」が主体的にチーム活動に取り組み、チーム自身が目標に向けてダイナミックに変化し続けながら、成果創出をめざして「Working(動いている)」している状態を示す概念」(P.28)

コレ!私が目指しているのは、こんなチームのイメージです。
チームの誰かが(リーダーだけが)頑張って引っ張るチームでなく、チームメンバー全員が、共通の目標に向かって絶えず努力し続ける、そんなイメージです。

どうすれば、そんなチームがつくれるのでしょうか。

内容

目次は以下の通りです。

序章 日本の「チーム」をアップデートせよ!
第1章 なぜ、日本の職場がうまく回らなくなってきたのか
第2章 チームワーキングとは何か?(チームは常に「動き・変化」している)
第3章 ケースとデータで学ぶGoal Holdhing(目標を設定するのではない、握り続けるのだ)
第4章 ケースとデータで学ぶTask Working(「何が解くべき課題」なのかを、動きながら探し続ける)
第5章 ケースとデータで学ぶFeedbacking(チームのために思ったことをはっきり伝える)
第6章 すべてのひとびとに、チームを動かすスキルを!

時間がない方は、第2章、第6章を読めば概要を掴めるでしょう。
ただ、今回の著書では、第3章から第5章の間で、具体的な「あるある」事例をもとに読者に問いかけがなされ、それに対してデータをもとに解説が詳述されるという構成になっています。
そのことにより理解を一層深められる部分に、本書の醍醐味があると感じました。


エッセンスは、以下の図にまとめられます。
※図、サマリーなどはAmazonでの出版社からの紹介文より抜粋
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4820728741/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o01_s00?ie=UTF8&psc=1

エッセンス

【チームを動かすスキル=「OS」と「アプリ」】
◆チームで動くための「OS」=チームを見つめる見方)
チーム視点: チームの全体像を常に捉える視点
全員リーダー視点: 自らもリーダーたるべく当事者意識をもってチーム活動に貢献する視点
動的視点: チームを「動き続けるもの、変わり続けるもの」として捉える視点
◆チームを動かす「3つのアプリ」
=チームでの行動:求められる3つの行動原理
Goal Holding(ゴール・ホールディング) : 目標を握り続ける
Task Working (タスク・ワーキング) : 動きながら課題を探し続ける
Feedbacking (フィードバッキング) : 相互にフィードバックし続ける

この考え方のキモは、リーダーのみならず、チームメンバー全員で落とし込むことにあるでしょう。週明けに早速、チームでプチ勉強会を実施します💪

チームを変えるのはリーダーだけではない
「気がつけば目標を見失っている」
「リーダーばかりが独走している」……。
あなたの“チーム”に、そんなお悩みはありませんか?
人と人が集まれば、物事をスムーズに進めるのは何かと難しいもの。
想定外な出来事が次々と起こることも珍しくありません。

「それでもチームを前に進めたい!」。
本書はそう考えるすべての人々に向けられた1冊です。
今の時代に求められるのは、チームメンバー「全員参加」によるダイナミックな動きです。
そのために求められる視点と行動原理を、わかりやすく解説します。

本書は、お一人での読書はもちろんのこと、
新たにリーダーや管理職になられた方への研修、
チームや組織に興味をもっている方々での読書会、
ワークショップなど、「現場での組織開発のテキスト」にもご活用いただける一冊です。

読後の感想は、上記とほぼ重なりました。
地に足が付いた理論であるため、チームを動かしていけそうな希望が、まだ少しではありますが、持つことができました。
(「代理的経験」の限界の部分もあります。ここからは、自身で「直接的経験」を積み、自信をつけていくよりほかないなと考えています)

大丈夫。
チームワーキングの先に「希望」があるから。

巻末のこの一言に背中を押され励まされるように、週明けからまた頑張っていこうと思える一冊でした🤗

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集