日本国憲法施行75周年目に考える「改憲への道のり」が依然として遠い理由
今日、1947(昭和22)年5月3日に日本国憲法が施行されてから75年目を迎えました。
この間、日本国内のみならず国際情勢も変化し、日本国憲法が制定された当時には考えられなかったような状況を踏まえれば、憲法の内容の修正や追加が必要であるという意見も一考に値すると言えるでしょう。
従って、憲法の条文の変更に賛成するのであれ反対するのであれ、何があっても変更する、あるいは変更しないといった予断を排し、事柄に即して議論を行うことが不可欠です。
とりわけ国会での審議については、憲法の変更そのものを目的とする勢力や、片言隻句といえど改めないことが何より重要で合って一切の議論を拒む勢力があることは、憲法のあり方を巡る議論を停滞させるだけに、十分な注意が必要です。
何より、たとえ国会で憲法の変更を目指す勢力が議席の3分の2を超え、改憲の発議を行ったとしても、全ては国民投票で決まるという点は変わらないことも、忘れてはなりません。
即ち、どれほど国会で改憲派が多数を占めているとしても、改憲を目指す国会議員がそれぞれの選挙区で憲法の変更が必要であるという意見が過半数を超えるだけの世論の喚起を行わなければ、実際に国民投票が行われたとしても、変更案が否決されることになりかねません。
このとき、改憲派が受ける衝撃は大きく、再度改憲の発議を行うことも難しくなることが推察されます。
それだけに、憲法の変更を目指す勢力には、国会議員一人ひとりが改憲の必要性を選挙区で説いて回り、改憲こそが必要であるという世論の高まりを作り出さなければならないことは明白です。
しかし、少なくとも現在のところ改憲派がこうした地道な活動を真剣に行っている例は決して多くなく、あたかも国会で発議すれば改憲が実現すると思っているかのようであると見えかねません。
このように考えるなら、こと国会議員における改憲への意欲はほとんど机上の理論の域を出ないと言えるでしょう。
「改憲の実現への道のり」は長いのです。
<Executive Summary>
A Way to Amend the Constitution of Japan Is Still Long (Yusuke Suzumura)
The 3rd May, 2022 is the 75th Anniversary of the promulgation of the Constitution of Japan. On this occasion we examine the possibility of an amendment of the Constitution of Japan.