NHK FM『ベストオブクラシック』の特集「ニルセンとシベリウスの交響曲」
去る2月7日(月)から10日(木)まで、NHK FMの『ベストオブクラシック』では特集「ニルセンとシベリウスの交響曲」が4回にわたり放送されました。
これは、ともに1865年に生まれ、デンマークとフィンランドを代表する作曲家であるカール・ニールセンとジャン・シベリウスの交響曲を中心とする演奏会の実況録音を紹介するもので、取り上げられた交響曲は以下の通りでした。
(1)2月7日
ニールセン/交響曲第1番(指揮:ヨハネス・グスタフソン、管弦楽:スウェーデン放送交響楽団、録音日:2021年5月21日)
(2)2月8日
ニールセン/交響曲第4番『不滅』(指揮:アラン・ギルバート、管弦楽:NDRエルプ・フィルハーモニー管弦楽団、録音日:2021年8月29日)
(3)2月9日
シベリウス/交響曲第2番(指揮:マイケル・ティルソン・トーマス、管弦楽:サンフランシスコ交響楽団、録音日:2019年3月14日)
(4)2月10日
シベリウス/交響曲第6番、第7番(指揮:クラウス・マケラ、管弦楽:スウェーデン放送交響楽団、録音日:2020年11月13日)
取り上げられた5作品の中に、ニールセンの交響曲第4番やシベリウスの交響曲第2番のように作曲者の代表作が含まれているのは、それぞれの楽団と指揮者の現在の水準を測るには格好の手掛かりとなりました。
また、必ずしも演奏の頻度が多くはないニールセンの交響曲第1番及びシベリウスの交響曲第6番と第7番を取り上げることも、各奏者の技量を知るための重要な機会であったと言えるでしょう。
こうした観点から5曲を眺めると、端正な仕上がりとなったグスタフソンとスウェーデン放響によるニールセンの交響曲第1番、悠然とした構えから細部まで彫琢したギルバートとNDRエルプ・フィルの『不滅』、余分な水気を払いつつ均整の取れた演奏を実現したMTTとサンフランシスコ響のシベリウス、そして思弁的にならないとともに饒舌になることも避けたマケラとスウェーデン放響によるシベリウスの6番と7番ということになるでしょう。
もとより、デンマークとフィンランドだけに留まらず、世界の交響管弦楽の分野で欠かすことのできない作曲家がニールセンとシベリウスです。
しかし、協奏曲、室内楽曲、歌劇など様々な作品を残した中で、主たる作品である交響曲をまとめて鑑賞することは、二人の音楽に改めて思いを致すための重要な機会でもありました。
それだけに、今回の企画の持つ意味は決して小さくなかったと言えるでしょう。
<Executive Summary>
Symphonies of Nielsen and Sibelius (Yusuke Suzumura)
A four series featured programme "Symphonies of Nielsen and Sibelius" was broadcasted via NHK FM from 7th to 10th 2022. In this time we enjoyed listening many performances including symphonies of Nielsen and Sibelius with various conductors and orchestras.