日本の建設企業は国際化が進んできたか?? Part 1
建設企業の海外進出の歴史
日本建設企業は、戦後国土の復興へ従事し、その一方で1954年から政府による戦争被害国への賠償に伴う建設工事が始まり、1960年代に入ると、日本の製造業の海外進出や政府開発援助(ODA)の拡大に伴う工事が本格化し、1983 年には年間の海外受注高が初めて1 兆円を突破した。一方で、近年の売上高の海外比率は依然として、他業種と比較し低い。建設業は、おおよそ5%前後で変化し、製造業と比較すれば、非常に低い割合である。一方で、2010年以降ではあるが、増加傾向にあると言える。
日本経済と建設企業の売上高はどのように関係しているのだろうか。まず、日本経済全体のGDPとGDPの成長率を見てみよう。明らかにバブル崩壊(Asset bubble bursted)期以降で、GDPの成長率は鈍化している傾向が分かる。1970年以降、高くて4%(東日本大震災)以前であり、概ね2.0%以下となっている。(日本再興戦略において、「今後10年間の平均で名目GDP成長率3%程度、実質2%程度の成長を実現することを目指す。」となっている。)
上記のとおり、バブル経済を境に日本経済は大きく転換されたことが分かるが、建設業はどうだったのだろうか。建設業も多少の時差はあるものの、バブル経済以降、建設業の生産量は減少し、2500億~3000億円程度に推移している。
それでは、GDPに対し、建設業はどのような割合となっているのか?やはり、高度経済成長期からバブル経済間においては、建設投資が増え、GDPに占める割合も8%を超える水準になったが、バブル経済以降、GDPに対する建設業の割合は、5%程度になっている。
近年のインフラ輸出に関する動向
「インフラシステム海外展開」として、海外へインフラ輸出を官民一体で進めているところである。なぜ、民間活動のインフラ輸出を官がサポートする必要があるのか。それは、インフラ整備については、先方政府のニーズや状況を的確に把握し、それに応じた仕様等を盛り込んだ提案をする必要があるため、情報収集が要となり、一民間企業のみではなかなか情報を得ることが難しい。そのため、官民が一体となっていインフラ輸出を進める理由である。2020年に30兆円を目標にしており、2018年で25兆円となっており、着実な成果を上げているように見える。
建設業は国内にも必要であるが、人口減少による国内市場の縮小を鑑みれば、海外への進出は必須である。しかしながら、海外事業の利益率も低い傾向があり、国内市場と比較すれば美味しくない可能性はあるが、長期的な視野にたち、海外市場を積極的に開拓し、自社ブランドを確立し、国内市場と海外市場で地理的なリスク分散をすべきであると思われる。
また、技術者として、海外市場は面白いかもしれない。国内市場は今後「維持管理」がメインとなり、人口減少であることを踏まえれば、高度経済成長期と同等に、新たに大量のインフラを整備する可能性は非常に低い。一方で海外市場には新たなインフラ整備は多数あり、その中で技術力を磨くことも一つの考え方かとも思う。
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