Dr.ハインリッヒが都知事になる

Dr.ハインリッヒという漫才コンビを知っているだろうか。

絶対知らないだろ、と思ってお笑い好きの友達に聞いてみたら、当然のように「Dr.ハインリッヒやろ、知っとるで」と言われた。

この漫才コンビ、知らない人が多いとは思うが、大阪のほうでは人気らしい。　僕自身は最近見つけた気鋭の若手のつもりでいたのだが、Wikipediaによると、2005年に結成している中堅のコンビ。2018から3年連続でM1の準々決勝に進んでいる、実力者らしい。

2020のM1準々決勝のYouTubeでたまたま観たのがDr.ハインリッヒとの初めましてである。

一卵性双生児のコンビで、どちらもスーツと高いピンヒールをきめている。舞台袖から出てきてスタンドマイクをグッとおろす仕草がマジでかっこいい。惚れた。

どことなくミステリアスな感じに惚れる節がある。

ハイヒールをカツカツならし、スタンドマイクをグイッと下げ、「はいどうも、Dr.ハインリッヒですお願いしますー」と始まる。

文字起こしをして面白くなった試しがない。ネタはゆっくり観て欲しいなと思う。​

春休み。

大学生の春休みはとても暇で仕方がない。みなさんにも経験があるだろうか、「寝て暇を潰す」。1日12時間超の睡眠をとり、食事は1食、食べて2食だけ。

大学生ならたくさんいるだろうと思う。ぜひいてほしい。

睡眠時間が長くなると決まって、記憶に残る夢を見るようになる。熟睡できていない証拠で、眠りが浅くなればなるほど夢をたくさん見るようになる。1日の生活の中、心を動かされる場面が少なすぎて、寂しいから、夢を娯楽みたいにしている。

暇を潰すのに、映画だと重すぎる、2、3時間画面の前で集中しなきゃいけないと思うとハードルが高すぎる。そんなとき、その煩わしさを取っ払って楽しめるのがYouTubeとかアニメとか。僕にとって夢はそのちょうど中間に位置するくらいのもので、２週間前のある日、部活が無くて、バイトもない日に、また夢をみていた。​

緑色の鉢巻をして、スーツ姿のDr.ハインリッヒの黒髪のほうが、人混みに握手を求められている。腰を少しかがめた、漫才でおなじみの格好で「Dr.ハインリッヒですー、よろしくお願いしますー」と握手を返す黒髪。周囲の人たちも緑色で染まっている。

ワイドショーとかでよく見る絵面だったから、すぐに選挙だと思った。

そしてほとんど同時に、東京都知事選にDr.ハインリッヒ出たんだ。と思って目が覚めた。

高校からの友達に、LINEで夢botを作ったやつがいる。夢〇〇と数字を打ち込むと、その番号の夢の内容を教えてくれる。そいつが見た夢で一番印象的だったのがこれ。

”家族3、4人で東京に車で行った。父親が運転席に座っている。普段は温厚な父親だが、様子がおかしい。「ぶっ飛ばすぞ」的なことを言って、東京タワーの鉄骨を猛スピードで登っていった。”

友達の父親を知っているので、とても面白かった。小太りで、禿げてて、縁無しのメガネをかけたかわいい温厚そうなお父さんである。福井駅前をチャリで爆走する姿が度々目撃されていた。（自動車免許を持っていない。）

彼の夢は現実ではあり得ないことが度々起こる。超常現象のような夢が多い。だけど、僕の夢には現実にあり得そうなことしか起きない。

記憶が残る中で一番古い夢。

”父親が仕事帰りにポケモンのカードのパックをとんでもない束で買ってきた。嬉しすぎて、パックを開けずに枕元に置いた。”

目が覚めて、めっちゃ探し、パックがなくて、ギャン泣き。

”幼稚園の休み時間。3人くらいで連れションに行った。ズボンおろした。”

おねしょしてた。

3つの夢はどれもありそうで無い、というか、どちらかというと実際にあっていい話だ。夢は現実に起こったことの組み合わせでできている、とはよく言われることだが、あまりにも現実に即している感じがして面白く無い。

Dr.ハインリッヒが都知事になる夢は、どう考えても小池百合子が影響しまくっている。

小池百合子の「ゆりこグリーン」を身に纏った、Dr.ハインリッヒ（の黒髪の方）。すこしギョロ目で美形な二人は、良く似ている。ワイドショーで見たような絵面、と書いたが、絵面は椎名林檎の「無罪モラトリアム」のアートワークに激似だった。

実際に起こったことが組み合わさって、実際にあっていいような話を夢にみる。僕の夢はいつもそんなだ。

”友達と高校の廊下を歩いていた。すると一目惚れした同級生があちらから歩いてきて、通りすがりに微笑んだ。友達はニヤッと僕を見て、僕はにちゃあとスケベな笑顔。

その女の子が家に訪ねてきた。急だったのでドギマギしているうちに、「じゃあね、これ……」と照れながら、僕がずっと前から欲しがっていたNikeのスニーカーを玄関先に置き、帰っていった。”

目が覚めた。ミステリアスなあの子の嗅いだことがあるわけのない残り香を感じ、枕を濡らすー。

あまりにも現実とかけ離れた夢。そこは現実であれよ。