見出し画像

高品質な「議事録」を爆速で書く方法

※変更履歴
231114:議事録を仕上げる技術を9選→10選に変更。「ToDoパトロールで追跡しまくる」というパートを追記

コンサル時代に最も苦しんだタスクの一つ・・・「議事録」。

  • 議事録の赤入れで毎晩徹夜コース

  • 議事録を書いても、関係者に読んでもらえない、動いてもらえない

脳みその出来が悪すぎて、これらの課題に3ヶ月近く向き合う羽目になりまして…
なんとかビジネス書を読みまくって、今では事業会社で「議事録の書き方を教える係」にまで身分を上げることができました。

今回は、「議事録の書き方を教える係」になれたことを記念して、私のEvernoteに書き溜めていたことを、noteにも貼り付けておこうかと。

ちなみに、ざっくり次のような構成です。9000字以上あるのでご注意を。

  • そもそも、議事録を書く目的とは?

  • 知らないとマズイ。「議事録よろしくね♡」で試されている5つの能力とは?

  • 高品質の議事録をクイックに仕上げる10の技術

  • 1500冊以上読んでわかった、「議事録の鬼」になれる、オススメ6冊

こちらの記事ですが、お陰様で多くの方に読んでいただいています。

noteの公式アカウントにも取り上げていただきました。

コンサル時代に残業しまくりながら書き溜めたメモを余さず書き出しましたので、品質は保証します。
それでは、やっていきましょう。

議事録を書く目的

一見クソ面倒に思える議事録をなぜ書かなくてはならないのか?
議事録の目的は大きく3つあります。

①ToDoを明確にして物事を前に進めるため
会議で発生したToDoを関係者に周知する。これぞ議事録の醍醐味です。
会議が終わって自席についたときに「で、私は何すればいいんだっけ?」と思わせてしまったらアウト。
そうならないために、「いつまでに、誰が、何をやるのか」を誰の目から見ても明らかになるよう、議事録を書いて周知しきる。
これこそ、議事録の一丁目一番地です。

②決定事項の証跡を残すため
これも議事録の立派な役割です。
会議で決まったことを明記しておかないと、後になって「それ言ったよね」「いや言ってないよね」…という水掛け論になりかねません。最悪、偉い人とかに決まったことをちゃぶ台返しされます。(まあ、議事録に書いていても、平気でちゃぶ台返ししてくる人もいますが、その対策は別の機会に)

③会議の不参加者にも文脈を理解してもらうため
会議に参加していない人にも、決定事項に至った経緯や議論の流れを理解してもらう。これも議事録の大事な役割です。
議事録に決定事項とToDoしか書かれていないと、「え、なぜに、その結論になったん?」と、不参加者からすると「取り残された感」を抱いてしまいます。
「取り残された感」ってのは厄介で、少しずつ関係者のモチベーションを蝕んでいきます。
したがい、会議の「文脈」も議事録に残すことで「不参加者にもフレンドリーな議事録」にしてあげられるとGoodです。

知らなきゃヤバい。「議事録よろしくね♡」で試されている5つの能力

「議事録が大事なのはよくわかったけど、しょせん下っ端の仕事っしょ?」と1mmでも思った方、いらっしゃいますか?
もしいらっしゃれば、超危険なので、今すぐその考えを改めてください。

議事録って、実は、基礎的なスキルセットとマインドセットの「総合格闘技」なんですよ。
議事録を30秒見るだけで、書き手の実力が透けて見える。そういうもんなんです。議事録を書けるやつは、その先の役員説明資料を任せてもらえる。議事録を3ヶ月経ってもまともに書けないやつは、いつまでも日程調整とかzoomのURL設定ばかりをやらされる。そういう世界なんです。
では、議事録の品質を左右する能力とは何なのか?
コンサル時代の同僚や先輩にインタビューしたところ、次の5つの能力が重要だとわかりました。

①文章力

議事録を読んだとき、最初に透けて見えるのは「文章力」です。
文章力が酷い人が書いた議事録を読むと「何度読み直しても、頭に入ってこない」「一文が長すぎて、読む気が失せる」と思わずにはいられない。
文章力がないと、議事録を最後まで読んでもらうことすらできない。それくらい、厳しい世界なのです。
努力さえすれば、文章力は伸ばせるスキルなので、確実に及第点レベルくらいには磨いておきましょう。どうやって磨ければよいかは、とっておきの本があるので、ご安心ください。後ほど解説します。

②構造化力

仮に読みやすい文章を書けたとしても、議事録の「構造」がわからないと、読み手を迷子にさせてしまいます。
例えば、以下の議事録を読んでみてほしい。
「社会人向け動画学習サービスアプリの要件定義」という会議があったとしましょう。

・・・会議の流れをそのままメモしているので、いまいち「何の話をしているのか」がわかりづらい。
そうならないために、議事録を書くときは「会議の構造」を示してあげる必要があります。
ちなみに、よく耳にする「構造化」とは

  • 会議の全体像を示すこと

  • 全体像における、各論点の位置づけを示すこと

こんなことを意味しています。
この「構造化」がないと、「今、何の話をしているのか」がさっぱりわからなくなる。そうならないためにも、

  • 人の話をしているのか、カネの話をしているのか、モノの話をしているのか

  • 仕組みの話をしているのか、文化の話をしているのか

  • 聞き手の話をしているのか、話し手の話をしているのか

  • 戦略の話をしているのか、実行の話をしているのか

このように、「構造」を示してあげる必要があります。
議事録を書くということは、「構造化」をするということ。
この能力を試されていると、心得ておきましょう。

③話の理解度・キャッチアップ力

「文章力と構造化力があれば、余裕で議事録なんて書けるっしょ。高学歴なめんなよ」と思った方。ちょっと待ってください。まだあるんですよ、注意点が。「専門用語」「専門知識」に足元をすくわれないよう、気を付けてください。

英語でも、文法や構文がわかっていても、単語の意味がわからないと文章が読み解けないこと、あるじゃないですか。
主語が何で述語が何かはわかるけど、述語の意味がさっぱりわからない。
そういう「?」が積み重なると、とたんに議事録は書けなくなります。
なので、一瞬でもわからない用語が出てきたら

  • まず、自分で単語の意味を調べる

  • Webや社内イントラで10分調べてもわからなければ、人に聞く

この動作を徹底すべきです。
そうやって会議に3回くらい参加していると、社内用語や業界用語の6割くらいは理解できるようになります。
6割意味がわかっていれば、初見の用語が出ても、ある程度推論できるようになります。
それに「わからないことを、ちゃんと周りに聞く」が徹底できていれば、周囲の人とも「わからないことがあれば、気軽に聞きに行ける関係性」も出来上がっているはず。

④会議への当事者意識

実は、議事録の良し悪しを大きく左右するのは「会議への当事者意識」だったりします。
「この会議で何かしらの価値を提供しなきゃ」
「この会議で自分が参加する意味は何なのか」
・・・こういったことを自問自答している人が書いた議事録と、そうでない人が書いた議事録は、何となく見分けがつくものです。

例えば、誰がToDoを持つのか曖昧なシーン、決まったのかどうかわかりづらい発言があるシーンって、よく見かけるじゃないですか。
「確かに、〇〇をこのタイミングでやっておくのは大事だよね、私もそう思うよ」「ですよね。それで、次の議題なのですが」みたいなやりとりって、結構あります。そのときに「いや待って。〇〇は結局やるの?やるとして、誰がいつまでにやるん?」と嚙みつけるかどうかが、議事録の品質を左右します。

当事者意識が高い人は、「何がなんでも物事を決め切りたい」「議論の内容を曖昧にしたくない」という想いが滲み出ているものです。

逆に、当事者意識の低い人が書いた議事録は「決まっていそうで決まっていないことが散見される」「どっちともとれる曖昧な記述が残っている」というケースが散見されます。

⑤仕事のスピード

議事録をお願いされたときは、仕事のスピードがいかほどか試されていると思ったほうがいいです。

仕事が速い人は、会議が終わると同時に議事録の初版が出来上がっている。なので、会議終了後5分以内に「議事録の確認をお願いします」という連絡
が、会議の参加者全員に飛んでいる。
ほんと、これくらいのスピード感なんですよ。
このスピード感で仕事を進めてくれる人は「何だかこの人仕事できそうだし、信用できるな」と思いますよね。
「会議が終わって何分後に議事録が出来上がるか」は、誰も見ていないようで、実はあなたの仕事の印象を大きく左右します。

高品質の議事録をクイックに仕上げる技術10選

①これまでの議事録を全部読む

急に何かのプロジェクトにアサインされたとき、あるいは、転職したてのとき。
会議に参加する前に、まずやっておきたいのが、これまでの議事録すべてに目を通すこと。最低でも、直近3ヶ月の議事録は読んでおきたいところです。

②ステークホルダーを書き出す

議事録を読んでいくなかで、ステークホルダーを書き出します。以下の項目を押さえておくとよいでしょう。

  • 意思決定者

  • キーパーソン

    • 意思決定者に大きな影響を及ぼす人

    • 実行フェーズにて現場メンバーを巻き込んで旗振りしてくれる人

  • 窓口の人(事務的なやりとりを多くする人)

さらに、各ステークホルダーのNHKも把握しておきましょう。

  • N(認識):何をどこまで知っているのか?(知らないのか)

  • H(反応):プロジェクトや各施策に賛成か反対か?ポジティブかネガティブか?

  • K(関心):何を重視しているか、気にしているか?

ここから先は

6,800字 / 8画像
この記事のみ ¥ 980

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?