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記紀神話に登場する蛇
今年は巳年ですので、日本神話と蛇について。
古事記と日本書紀、いわゆる「記紀」には蛇にまつわる話が、幾つかあります。
スサノオと蛇
記紀で一番有名な蛇は、スサノオが退治する八岐大蛇でしょう。
出雲に降り立ったスサノオは、泣いている老夫婦と娘に出会い「なぜ泣いてるのか」と問います。
「我が女は、本より八椎女在りしを、是の高志の八俣の遠呂智、年毎に来て喫へり」
意訳:娘が8人いましたが、毎年来る高志(越国=今の福井県から新潟県の海岸部)のヤマタノオロチの生贄になりました。
*酒を呑ませてオロチを退治したスサノオは、娘のクシナダと結婚します。
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そのスサノオの娘、スセリに求婚したオオナムチ(後の大国主)。婿の試練として、蛇のいる部屋に入れらます。
妻須勢理毘売命、蛇の比礼を其の夫に授けて云りたまひけらく、「其の蛇咋はむとせば、此の比礼を三たび挙りて打ち撥ひたまへ」とのりたまひき。
意訳:スセリは、蛇の比礼(長い布)を授け、「蛇が襲ってきたら、3回振り回してください」と言いました。
*試練を乗り越えた末に、スセリとオオナムチは駆け落ちしますが、その際スサノオから「大国主」の名を与えられます。
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蛇の化身
蛇が「災いを招くもの」として書かれていましたが、神の化身として現れる話もあります。
大物主と結婚した倭迹々日百襲姫命は、昼間に姿を見せない夫に、姿を見せてほしいと頼みます。すると「明日の朝、櫛笥(櫛を入れる箱)に入っているから、その姿を見て驚くな」と言われます。
待明以見櫛笥、遂有美麗小蛇、其長大如衣紐、則驚之叫啼。
意訳:夜が明けるのを待って、櫛笥を見ると、服の紐の長さのような麗しい小蛇がいたので、驚いて叫びました。
*驚いた事に怒った大物主は、三輪山に帰ってしまいます。それを嘆き、姫は陰(ホト=女性器)を箸で突いて死んでしまいます。そして姫が葬られた墓を「箸墓(はしはか)」と呼びました。これを「箸墓伝説」と言います。
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姫の正体が蛇の話もあります。垂仁天皇の物言わぬ皇子、本牟智和気が、出雲を参拝すると言葉を発するようになり、やがて肥長比売と結婚します。
肥長比売に婚ひしたまひき。かれ、その美人を窃かに伺ひたまへば蛇なりき。即ち見畏みて遁逃げたまひき。
意訳:肥長比売と結婚し、その乙女を覗き見ると、その姿は蛇でした。そして恐れて逃げ出してしまいました。
*姫は悲しんで、海を照らしながら船で追ってきましたが、なんとか都まで帰ってきました。また、肥長比売の「肥」は、肥河(現在の斐伊川)を表しています。
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日本神話において、蛇は時に神の化身でもあり、また忌むべき存在として登場します。 古来、日本では湿地を好む事から水神として崇められ、後に水辺に祀られた仏教の守護神である弁財天の使者とされたようです。
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