牽引でのヒヤリハット


本日の作業は、建物側に大きく傾いた枯れ松の伐採でした。こういった危険度の高い伐採では、本来ならウインチ付きのグラップルを持ち込むのが理想。しかし他の都合もあって、今回はウインチなしのグラップルで対応することになりました。対象木が1本だけということもあり、「大丈夫だろう」という判断だったのです。


作業の流れとハプニング

  1. ロープ設置
    対象の松は根元で60cmぐらいの枯れた赤松
    まずスローラインを使って、約7メートルほどの高さに繊維ロープを取り付け、3トンのグラップルヘッドへ結びました。少し張力をかけながら、受け口と追い口を入れての牽引です。

  2. まさかの枝折れ
    ところが、追口を入れて牽引を始めたら、ロープがかかっていた枝が突然ポキッと折れ、ロープが約1メートルも弛んでしまったのです。焦って旋回動作でロープのたるみを取り直そうとしたところ、旋回方向に立木があってこれ以上旋回ができない。さらに後方にも立木があり、バックもできず完全に詰まりました。

  3. 最後の一手
    やむを得ず、排土板を下げてグラップルを上げる形で、最後の力を振り絞って牽引。何とか目標としていた場所に枯れ松を倒すことができました。しかし、もしもう一つ悪条件が重なっていたら、建物側に倒れていた可能性もあり、大変危険な状況でした。


今回学んだこと

  1. 旋回・バックの可否を常に確認する
    グラップルの旋回による牽引を行う際は、旋回方向に障害となる立木がないかを事前にチェック。また、いざというときにバックできるよう、後方のスペースにも注意を払うこと。

  2. 牽引方向の変化を見越す
    グラップルを直接牽引に使う場合、倒す方向と引く方向が食い違っていると、牽引点の移動で引き方向が変化してしまう可能性があります。もし移動が難しい状況なら、滑車を使ってグラップルと倒したい方向を直線で結ぶ工夫が必要です。

  3. 排土板の位置を意識する
    最後の手段として排土板で押さえることを考えるなら、最初から排土板の向きを使いやすいようにしておくと安心です。

  4. ウインチ付き車両の重要性
    なるべくウインチ付きのグラップルを使うほうが安全度は高まります。作業内容によっては全車両にウインチを装備しておくのも一考の価値ありです。

  5. ロープの弛みリスクを想定する
    枝にかけたロープが途中で折れたり、枝自体が折れたりして弛みが生じるリスクを常に念頭に置くこと。今回はそこをうっかり見落としていました。今日の現場でのヒヤリハット


自分への戒めなのでメモです



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