【短編小説】勇気の使者 ~バーアレクサンダー~
プロローグ
仕事で多忙な会社員の勇希。彼が仕事終わりの帰宅中、街で偶然見つけたのは”バー・アレクサンダー”。店員のサキ、同じく客のアンドリューとの不思議な出会いから、勇希の人生が変わろうとしている。
本編
1章:出会い
/ 都会の喧騒の音 /
勇希「はぁ・・・今日も仕事疲れたなぁ。寝不足でミスして最悪。どこか店で飲んでいきたいくらい・・・ってあれ?こんな場所にお店なんかあったかな?。“バー・アレクサンダー”・・・?。ふーん、試しに入ってみるか」
/ 入店の音 /
サキ「いらっしゃいませー、お一人様ですか?」
勇希「あ、はい」
サキ「良かったらカウンター席どうぞ」
勇希「はい」
サキ「先に何か飲まれます?」
勇希「えーと、じゃあ、ビールあります?」
サキ「ありますよ。瓶ビールになりますが大丈夫です?」
勇希「大丈夫です。お願いします」
サキ「かしこまりました♪」
勇希「・・・はぁ」
サキ「お兄さん、お疲れですか?」
勇希「あー。ハハハ、ちょっとね。今日は仕事がかなり忙しくて」
サキ「あちゃー、そうなんですね、睡眠とか取れてます?」
勇希「大丈夫・・・と言いたいところですけど、いやー、最近はずっと残業続きで、寝不足気味なんですよね」
サキ「うーん、それは心配ですね」
/ 来店のベルの音 /
サキ「あ、いらっしゃいませー」
アンドリュー「こんばんは、予約しておいたアンドリューです」
サキ「はい、アンドリュー様ですね、お待ちしていました」
アンドリュー「もう一人は遅れてきます」
サキ「かしこまりました」
アンドリュー「それまで、カウンター席でもいいかな?」
サキ「大丈夫ですよ。お先に何か飲まれますか?」
アンドリュー「ええ、そうしたら、アレクサンダーをもらおうかな。ロックで」
サキ「はい、かしこまりました♪」
/ サキがドリンクを作り始める /
アンドリュー「やぁ、こんばんは」
勇希「え?」
アンドリュー「私の連れが来るまで、良かったら少しお話しないかね?」
勇希「えぇ、大丈夫ですよ」
アンドリュー「ありがとう。初めましてだね。私はアンドリューです」
勇希「僕は勇希です。初めまして」
アンドリュー「最近はどうかね?調子は」
勇希「調子・・・うーん。最近は仕事ばかりですねー」
アンドリュー「そうなんだね。趣味とか、リフレッシュはできているかい?」
勇希「最近はあまりできてないですね・・・。元々、趣味はトレーニングでしたが、まとまった時間が取れなくて」
アンドリュー「どうやら、仕事がかなり忙しそうだね」
勇希「ええ。いま職場が人手不足の状態が続いていて、休日も返上で働いている状況で・・・。気がつけば趣味を楽しむ時間も足りなくなってしまいました」
アンドリュー「休日も返上とは大変だ」
勇希「あぁ、もっと時間があれば・・・」
アンドリュー「時間があれば?」
勇希「やりたいことができるのに」
サキ「お話の途中にごめんなさい、ドリンクお待たせしました~。お先にビールと、こちらアレクサンダーです」
勇希「ありがとうございます」
アンドリュー「ありがとう、いただきます」
勇希「ふぅ・・・よしっ」
/ 勇希がビールを一気飲みする /
勇希「あー、うまい!」
サキ「す、すごーい。全部飲んじゃった」
アンドリュー「ワオ、君すごいね」
勇希「いやー、もう飲まないとほんとやってられなくて」
アンドリュー「さっき言いかけていたけれど、何かやりたいことがあるのかい?」
勇希「あ、あります・・・けれど」
アンドリュー「けれど?」
勇希「人に話すのは・・・ちょっと恥ずかしくて」
アンドリュー「なに大丈夫だ、私は初対面だ。もちろん口外もしない」
サキ「もちろん、私も誰にも言いませんよ?」
勇希「そうですね・・・あの・・・」
アンドリュー「あぁ」
勇希「実は俺・・・政治家になりたいんです」
2章:想い
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