なぜ自民党に投票しないのか。
東京都議会議員選挙の投開票日が7月4日日曜に迫っています。
私は世田谷区に住んでいて、昨日、期日前投票へ行ってきました。
私は、日本共産党の里吉ゆみさんに投票してきました。
私は、選挙の際、毎回必ず入れるといったような特定の支持政党はありません。
https://note.com/yusuganami/n/nbcb665924c8a
今回、縁があり共産党の選挙バナーに協力しましたが、日本共産党については、私自身は党員でもありませんし、共産党だけを支持しているというわけでもありません。
日頃の日本共産党の、市民に寄り添う誠実な姿勢・活動を評価はしていますが、選挙戦を追いながら他に入れたい候補者がいたら躊躇なくその候補者へ投票するつもりでいました。
私が参加しているSaveOurSpaceでは、ライブハウスやミュージッククラブ、劇場、ミニシアター、ギャラリーなどが多く存在する世田谷区・新宿区・渋谷区・杉並区に焦点を当て、東京都議会議員選挙、4つの選挙区の立候補者の皆様に下記の質問を送りました。
文化芸術分野に関して、候補者自身の考えと、所属する党があれば、党としての考えをご回答頂きました。
質問状は、告示日の前日にお送りをして、FAX・メールにて送付した質問状の受け取りをお電話にて各選挙事務所へ確認致しました。回答の期限は6月30日にさせて頂きました。
※告示日の時点で連絡先が見つけられなかった立候補者の方に関しては質問状を送付しておりません。主要政党の選対にはすべて受け取りの確認をしています。
私は、せっかくなので、この質問状の回答を待ちつつ、他政策や実績などを総合的に判断して、投票先を決めようと思い至りました。
質問状は、ご送付させて頂いた39名の候補者のうち、22名にご回答頂きました。
他立候補者の方に関しては残念ながらご回答を得られませんでした。
回答はこちらからご覧頂けます。
https://save-our-space.org/tokyogovernorelection2020/
本題に移ります。
表題の、
「なぜ自民党に投票しないのか」
について。
その答えはシンプルです。
「自由民主党の候補者から、誰ひとり質問状への回答がなかったからです。」
無回答というのは、回答の中で最悪で、何一つ評価が出来ません。
つまり、判断をする材料すら渡されてないのです。
自由・民主という言葉を党名に掲げていながら、市民の問いにすら答えていないからです。
この状態で、「都民ファーストや他野党なんて当てにならないのだから、国政与党に投票しろ」と言われても、投票できないです。
では、他の政党・候補者はどうなんだと。
他政党・候補者についても投票しなかった理由を書きます。
自民党の次に回答が少なかったのは公明党でした。
4選挙区中、回答は1名のみでした。
回答を頂けた世田谷区の候補者の高久則男さんには申し訳ないですが、回答の少ない政党の議席を増やしたいとは思いませんでした。
国政においては、野党第一党の立場の立憲民主党の世田谷区候補、山口拓さんにも回答を頂けませんでした。自民党と同様、最低の対応と言わざるえません。
立憲民主党に関しては、結党大会に招待され来賓スピーチをさせて頂いたくらい応援しているだけにとても残念です。
同じ世田谷区候補の風間ゆたかさんからは回答を頂きました。
どの設問も、シンプルながら好感の持てる回答をいただきましたが、
設問3「コロナ収束後、文化芸術分野に対して東京都としてどのような支援が必要だとお考えでしょうか。」という問い対して、
「GoToイートやトラベルのような、利用しやすくなるための支援も考えるべきだと思います。」という回答がありました。
個人的に、コロナ収束後の支援に関しては、今回のような危機的状況が再度起こらないように、恒常的な支援を求めているのでこの回答には違和感がありました。
そのことから、文化芸術に対して、深くは関心がないようにも感じました。
立憲民主党の候補者の回答の中では、渋谷区の中田喬士さんの回答がよかったです。
設問2「ライブハウス、ミュージッククラブ、ミニシアター、小劇場、ギャラリーなどの文化施設、及び、それらの場所で行われている文化芸術活動は、地域にとってどのような存在だとお考えでしょうか。」という問いに対して、
「地元の円山町にも多くのライブハウス、クラブがあり、街の文化であると考えていてる。」と回答しています。
たしかに円山町には、ライブハウスやクラブ、映画館が沢山あります。
風間ゆたかさんと同様にシンプルな回答ですが、街の情景が見える書き方をされていて、他回答と合わせてみると良いなと感じました。
立憲民主党に関して気になったのは、選対・事務所の対応です。
質問状の受け取りの際の電話連絡に関しても様々対応の違いを感じるのですが、窓口の対応が一番良かったのは、共産党と公明党でした。
ある二ヶ所の立憲候補者の事務所に、質問状の受け取りの電話連絡をした際、
窓口の方に「忙しいので回答出来ないかもしれない」と言われました。
忙しいのは重々承知ですし、ある意味正直でよいのかもしれないですが、候補者本人に確認を取らずに、忙しいから回答できないかもしれないと伝えるのは、窓口の対応としてどうなのだろうと疑問を持ちました。
まだまだ新しい党ですし、これからを期待していきたいですが、国政での対応を見ていても、何か野党第一党の驕りのようなものを感じることがあります。
当落線上と言われている新宿区の三雲崇正さんに回答頂けなかったのも残念でした。
立憲民主党には、爪先まで市民に寄り添う政治をお願いしたいです。秋の衆院選、応援しています。
回答期限を待たずに、いち早く回答を頂けたのは現都政第一党の都民ファーストの会の候補者の皆さんでした。
どの方も文化芸術に関して一定関心のある書きぶりですが、回答に関して一番気になったのは、コロナ禍での都政の文化芸術支援の要であった「アートにエールを」に関しての記述でした。
都民ファーストの会の皆さんは都政与党として、これまでに都政としてやってきたことを書ける政党です。
ただそれは、他の政党が与党になったとしても、何かしらの施策を講じているわけで、やってきたことの評価というのは、その施策の中身にあります。
ほとんどの都民ファーストの候補者は「アートにエールを」を評価し成果として回答しています。
私は、そもそも「アートにエールを」を良く評価していません。コロナ禍の文化庁・経産省の芸術文化支援と同様に、「アートにエールを」は、新しく公演や活動を行った団体・個人を補助する事業です。
これらには、当初概算払い(先払い)がなく、コロナの影響を受け、すでに元手や体力のない団体・個人は申請することすらできませんでした。
弱きを助ける政策ではなく、体力のある人たちだけを残して、揺すりにかける政策であったと考えています。
そんな認識の政策をいくら推されても、ちょっとズレてるなと感じてしまいます。
ただ、都民ファーストの候補者の中でも、杉並区の茜ヶ久保かよこさんは、「アートにエールを」に頼らない回答をしていて、意思を感じました。
世田谷区の他の候補者の方の回答で良かったと感じたのは、れいわ新選組から立候補した、ふうさわ純子さんです。
どの回答にも真剣に気持ちを込めて書いているのが伺え、好感を持ちました。
ただ、世田谷区での活動は始めたばかりのようで、勝てるかどうかというのが難しいポイントでした。
国政もそうですが、与野党バランスよく議席を取っている状態であれば、志しのある新人や無所属の候補者に投票したいなといつも思います。
ただ、それは今じゃないと個人的には考えています。
最後に、なぜ里吉ゆみさんを選んだかを書きたいと思います。
正直に書きますが、今回の質問状に対する里吉さんの回答はベストだと思えるものではありませんでした。どこか回答が抽象的で、具体的な施策などが見えてきませんでした。
しかし、里吉さんは芸術文化分野への認識についてはこれからだとしても、福祉など他政策・実績に対しての評価も取り入れ、総合的に一票を預けました。
そして、投票の後押しになったのは、他選挙区の共産党候補者の回答の素晴らしさにあります。
例えば、
設問5 「文化芸術分野についてご自身の公約があれば教えてください。」
という問いに対しての杉並区原田あきらさんの回答は、
「アートにエールを!東京プロジェクト事業を発展させ、使途を問わない特別給付制度の実施など、フリーランスを含めた文化・芸術関係者・団体への支援の強化が必要です。・都民芸術フェスティバルなどへの助成を拡充すべきです。シルバーエイジ芸術鑑賞補助事業を復活し、低所得勤労者への鑑賞費補助を実施すべきです。・小中学生や高校生が、本格的なオーケストラや演劇、舞踏などに触れる機会がもてるように芸術文化鑑賞教室などの事業を実施すべきです。」
と答えています。
新宿区大山とも子さんは、
設問3の「コロナ収束後、文化芸術分野に対して東京都としてどのような支援が必要だとお考えでしょうか。」という問いに対して、
「都として「文化芸術復興資金」を創設し、文化芸術予算を大幅に増額する。民間のホールや劇場の固定資産税の減免、オーケストラや劇団・舞踊団体等への運営費の助成、練習・活動拠点の提供など、文化芸術の担い手への支援を抜本的に強化する。若者の美術館入館料の無料化・半額化、学校の文化芸術鑑賞の充実、シルバーエイジ芸術鑑賞補助事業の復活、低所得勤労者の鑑賞費補助事業の実施、文化芸術施設の拡充・増設をはかる。」
と回答しています。
どちらも文化芸術関係者の現場の意見をしっかりとリスニングした上での回答だと分かります。
特に、コロナ禍で子供たちの芸術鑑賞の機会が失われてしまったことを踏まえてお二人とも回答されていることに、リアリティと未来を感じました。
共産党は現状でも、都ファ自公に次いで都議会での議席数が多いです。
今回の選挙でも、できるだけ多く共産党の議席を伸ばしたいと考えました。
以上のことから、私は里吉ゆみさんを選びました。
一方で、里吉さんは既に支持を固めているという情勢報道もあり、当落線上で争っている別の候補者を選ぶという考えもありました。
世田谷区で回答を頂いた中でいえば、前述の立憲風間さんと、もうひとり、生活者ネットワークの関口江利子さんがいます。
関口さんの回答は、基本的にとても良いなと感じたのですが、同じく生活者ネットワークの杉並区小松久子さんと複数回答内容が被っており、本人が回答しているというより、選対主導で回答が行われたという雰囲気があり、関心が削がれました。
無回答の次に興味がなくなるのは、本人が回答していないと感じることです。
公開質問状の面白いところは、短い回答でも、その一語一句に質問状に対しての姿勢が垣間見えるところにあります。
窓口の対応を含めて、市民はすべて見ていて、一語一句様々なことを感じとっています。
公開質問状の回答を公開すると毎回、
「候補者はあなた達になんて構っているほど暇じゃないのでは?」
といったようなご意見を頂くのですが、選挙活動とは、市民に自分の考えを伝えるために行うもので、たとえ支持母体や支持を表明している団体からの質問でなくとも、誠実に答えるのが選挙活動ではないのでしょうか。
つまり、政策に対してものを言わない、口を挟まない、支持だけをしてくれる、そんな有権者だけに耳を傾け、それ以外の人たちはいないものと考える、回答すらしない。
無回答というメッセージは、
市民からの問いかけに対する答えです。
SaveOurSpaceの活動の中で、一年半粘り強く自民党とも対話をしてきましたが、都政も任せられないし、秋の選挙で政権を変えるしかないと、個人的には考え至りました。
ネトウヨと言われるような人たちに叩かれながら、左派に苦言を呈されながら、与野党に対話を求め続けて、苦境の中、身の回りに迷惑をかけながら議員会館に通い続けた日々はなんだったのか。
これ以上市民に向き合わない政治家に働きかける先に何があるのか、私には見えません。
東京都議会議員選挙は7月4日投開票、秋には衆議院議員選挙があります。
投票という私たち市民に与えられた権利を行使して、それぞれが考えるよりよい日本になるように、1票を大切にしていきましょう。
#変えることをあきらない