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文化芸術を愛する政党はどこ?衆議院選挙2021


衆議院議員選挙が公示となりました。
SaveOurSpace では、総選挙へ向けて主要政党へ、文化芸術分野を軸とした公開質問状を送付いたしました。
回答は、各政党の党首、難しければ選挙対策本部の責任者、あるいは政策担当者へお願い致しました。


(都知事選、都議選でも候補者へ質問状を送ったので、既に恒例のような感じになってますね、、)

今回の質問状の送付は8月末に行いました。
衆議院選挙の日程が不確定だったため、回答期限に余裕を持たせ送付致しました。
回答の期限は、告示日の7日前まででお願いを致しました。
(国民民主党のみ期限の6日後、公示日前日に回答)

回答はTwitterinstagramwebsiteにて公開しております!是非ご覧ください!


質問内容は、こちらになります。


質問内容の作成時期は、コロナ感染者数が増加していた最中であり、野党4党の市民連合との共通政策の合意より以前に作成しております。
先に頂いた回答にタイムラグが起きないように、文化芸術分野への政党公約が追って発表された場合は、回答の公開の際にURL/引用にて補足をさせて頂いております。

質問状は、立憲民主党枝野党首、日本共産党志位委員長、国民民主党玉木党首、社民党福島党首、れいわ新選組山本党首、自由民主党下村元政調会長、日本維新の会馬場幹事長、へ面談にて直接質問状への回答をお願い致しました。

WeNeedCultureでの各政党への申し入れと併せてロビイングを行なったのですが、振り返ってみるとこの一年半の積み重ねで、どの政党も、党首や幹事長クラスに会えるようになったなぁと感じます。地道なロビーと活動をしてきた成果が出ているのかな。

SaveOurSpace、WeNeedCultureともに、与野党問わず主要政党に連絡を取り、会いに行くスタイルをずっと続けてきました。
とても骨の折れる作業ですが、文化芸術分野に対する思い入れや各党の動き、考えは、直接聞いてみないと分からないことが沢山あると感じています。

私が現在発起人として参加している、「みんなの未来を選ぶためのチェックリスト 衆院選2021」に関しても、政党とのやり取りを担当したので、これまでの経験や繋がりを活かせてよかったと感じています。
こちらのチェックリストは、広域な分野でこの国が抱えている問題に対しての問いをぶつけてますので、是非是非ご覧頂きたいです!




さて、SaveOurSpaceの公開質問状への各政党からの回答を受けて、個人的な受け止めを書こうと思います。


・自由民主党 
これまでの支援策を振り返りながら、より一層の支援をしていく趣旨だと思いますが、具体的な支援のあり方・予算の目標・政策の中身については言及のない印象でした。公約は、文化=経済に結びつけられていて、文化芸術の根源的な価値というよりも、これまで行ってきた”経済活動を行うことでの補助”という考え方を引き続き優先しているように感じました。
オリパラの最中に開催されたフジロックなど公演やイベントへの混乱についての言及がなかったことが残念でした。



・立憲民主党
給付などの直接支援もさることながら、文化芸術の政策案が多岐に渡っている印象。文化芸術のバリアフリー化や、表現の自由の尊重、伝統文化にとどまらない映画や音楽、アニメ・漫画・ゲーム等の広域な文化の保護など、現代的な公的支援のあり方に期待が持てました。
SaveOurSpaceが参加している共同体”WeNeedCulture”が求めている法改正について、文化芸術振興基本法の支援対象に「場」や「担い手」を加えることや、劇場法の支援対象に映画館や小規模音楽会場等(ライブハウス等)を加えることなどを政策に掲げてあり、現場とのニーズの一致も感じました。



・日本共産党
それぞれの設問に対しての文量もそうですが、これまでの支援のあり方の問題点に始まり、必要な支援の具体案、諸外国との比較、文化予算の脆弱さなど、様々な視点で観察がなされていて、コロナ禍での関係者の声を拾い上げ政策に繋げている印象です。
WeNeedCultureが求めている、国費を投入した「文化芸術復興創造基金」の抜本的な強化に関しても、昨年から度々国会で取り上げて下さっていて、その流れが今回の選挙では政策として掲げられています。
また、党首である志位和夫委員長自らが回答をしていることに、党としての熱意を感じました。


・公明党

公明党が、文化芸術関係者との対話を重ねて、これまでの国の支援策の運用の改善に取り組んできたことは事実であり、文化芸術分野への政策の多さ、”文化芸術省”の設置という目標から見ても、文化芸術を重要視した党だということが伺えます。
しかしながら、クールジャパンなどに代表される経済活動としての文化芸術活動という視点に重きを置く自民党との齟齬が感じられると同時に、給付など直接的な支援への言及は避けていることから自民党への配慮も見て取れます。



・れいわ新選組
コロナ禍での自粛と補償をセットにした手厚い補償内容が目を引きましたが、
文化芸術への支援策の中身については具体的には内容が詰まっていない印象を受けました。
WeNeedCultureからの提案も踏まえて、若者への文化普及を目的としたカルチャーパスの提案をして下さっています。



・日本維新の会
それぞれの設問の回答の端々で、自民党以上に、文化=経済という印象を受けました。現在の支援策についての認識も曖昧で、文化芸術が持つ特殊性や特性についての理解がなされていない印象を受けました。
実際に、政策の組み上げまで動けるような文化芸術に強い議員や議連が党の中に存在しているのかが気になりました。




・社会民主党
貸付でなく、給付や補償の拡充など、社民党らしい市民に寄り添う姿勢に好感を持ちました。文化芸術分野においても同様の眼差しで回答して頂いてますが、具体的な支援策の提言がなされておらず、内容的には少し寂しい印象を受けました。




・国民民主党
強い経済対策を行うことで文化芸術分野も問題が解消されるという考えだと感じましたが、関係者の多種多様な暮らし方への理解や芸術活動への関心がどこまであるのかが気になりました。
公約に関しては項目は多いのですが、なんというか、、本当にやりますか?と問いたくなるような内容でした。というのも、国民民主の政策パンフレットには、『文化芸術』という言葉は一文字もありませんでした。公約の項目に関しても、どこか他政党の政策を集めたような書きぶりで、逆に不信感を感じてしまいました。
国民民主党から回答が来たのは、期限過ぎた6日後告示日前日でした。回答期限に間に合わなかったのは国民民主党だけで、そういった点からもこのジャンルに対する興味が希薄なのでは、という印象を受けました。


(画像は抜粋ですので、すべての設問の回答をご覧ください!)


【全体の受けとめ】

自民党は、「コロナ禍での文化芸術への支援と対応には十分だとお考えでしょうか?」という問いに対して「はい」と答えています。
自公政権下では、文化芸術分野への支援について抜本的な改革を期待するのは難しいと感じました。
自民党は、コロナ危機の最中においてもなお、文化芸術活動=経済活動という捉え方を払拭することが出来ず、コロナ禍で行ってきた支援もトリクルダウン方式やクールジャパン政策に紐づいたものなど、これまでの支援のあり方の延長という印象を受けました。公明党は連立与党の立場として、自民党の方針の枠の中でしか動けないのだと感じました。

野党共闘勢力である立憲・共産には、文化芸術分野での政策の一致点も多く、これまでのイベントや活動への助成に加えて、場や担い手への直接支援への拡充が期待できました。経済活動への補助という捉え方ではない文化芸術の特殊性・根源的な文化のありようを支えるためにパラダイムシフトを起こそうという気概を感じました。私たちWeNeedCulture の提言も政策へ反映させてくれたり、市民とともに作り上げていく政治姿勢が窺えました。

維新・れいわ・社民は、具体的な政策の中身が詰まっていない印象でした。
特に維新に関しては、文化芸術についての認識が希薄で、文化芸術のありようから対話をしていく必要があると感じました。その点については国民民主も、経済支援という視点だけではない、文化芸術本来の理解を深めてもらう必要性を感じました。
というか、維新と国民民主に関しては、単純に文化芸術へのやる気がなさそう、という印象。
各回答を見る限り、一番頑張ってくれそうなのは、共産党、立憲民主党、公明党だと感じました。
ただ、公明党がどこまで自民党の価値観の枠を超えられるかなという懸念は大いにあります。大枠で、これまでと変わらないのなら、立憲や共産を応援して、市民の声をダイレクトに反映していく政治を実現したいという気持になりました。


以上、受け止めでした。

これはあくまでも私個人の解釈であり、この質問状の回答を見て頂いた方それぞれが感じたことを投票へ反映して頂けたら嬉しいです。


文化や芸術というものは、誰かにとってはまったく価値のないものでも、あるひとにっては生きるために必要なものであり、商業的に成功するものだけが文化を豊かにするわけではありません。多種多様な表現の中で生まれてくるもの、その裾野の広がりこそが重要であり、その小さな異分子が、誰かの人生や世界を塗り替えていく瞬間があります。

文化芸術に限らず、誰かにとっては別の何かが必要で、だからこそ、I need cultureと私は言えるのだと思います。

それぞれの大切なものを守るために、投票へ行きましょう!

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