菅内閣総理大臣ら責任者へ送った公開質問状について
日本の文化芸術の復興・継続ために集まっている映画・音楽・演劇・美術の四者による共同体、”WeNeedCulture”にて、
2月10日、公開質問状を送りました。
質問状の内容は、
『文化芸術分野への公的支援について』です。
今回、回答を求めているのは、
政府機関として責任担う6名、
菅義偉内閣総理大臣
麻生太郎財務大臣
萩生田光一文部科学大臣
梶山弘志経済産業大臣
宮田亮平文化庁長官
山口那津男公明党代表
です。
公開質問状というのは、
多くの人に読まれることが意図された、質問を中心とした手紙です。
特定の個人に宛てられていますが、回答を広く公開される質問状です。
SaveOurSpaceでは、前回の東京都知事選挙にて、4名の候補者へ公開質問状を送った経験があります。
公開質問状は、質問内容について回答者の熱意や誠意を計るうえで、ひとつの指標になります。
回答内容はさることながら、
期限内に回答が届いたか、
そもそも回答自体があったか
(回答しなければいけないという義務はありません)、
回答の文量や、手書き、代筆、別文章からのコピーペーストなど、あらゆる箇所から質問に対しての認識を読み取れます。
公開質問状は、事前に公開質問状をお送りする旨を先方へ説明したうえで、先方からの指定の方法(郵送・FAX・メールなど)で送付したのち、各事務所・窓口へ受け取りの確認をします。
以下、今回の公開質問状の全文と要点についてまとめたいと思います。
※質問状の全文は太文字の部分です。要点の部分は質問状には記載されていません。
【前文】
2021年2月10日
WeNeedCulture
演劇緊急支援プロジェクト (演劇)
SaveOurSpace (音楽)
SAVE the CINEMA (映画)
#SaveTheDance (音楽)
art for all (美術)
文化芸術分野への公的支援についての公開質問状
平素より文化芸術分野の活動にご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
わたしたちは、《演劇・音楽・映画・美術》をはじめとする文化芸術分野への公的支援の改善を考える五者が提携した任意団体・WeNeedCultureです。
2020年春から始まったコロナ禍と「自粛要請」により、多くの実演家、アーティスト、スタッフ及び文化芸術団体が活動自粛を余儀なくされました。2021年1月8日に発令された二度目の緊急事態宣言により、文化芸術関係者を含む多くの国民の困窮とそこに求められる支援の在り方は新たなフェーズに入ったと言わざるをえません。つきましては、以下の質問にご回答をお願いいたします。
本質問状は、菅義偉内閣総理大臣、麻生太郎財務大臣、梶山弘志経済産業大臣、萩生田 光一文部科学大臣、宮田亮平文化庁長官、山口那津男公明党代表、計6名の皆様に送付しております。
ご回答は2月17日(水)《必着》までに書面をメールに添付の上、送付をお願い申し上げま す。本質問状及び回答は、各報道機関および、ウェブサイトや SNS 等へ広く公表させていただきます。期日までに回答いただけない場合は、その旨を公表させていただきます。
お忙しいところ大変恐れ入りますが、我が国の文化芸術の存続と振興のため、何卒よろしく お願い申し上げます。
<要点>
今回の質問状は、政策を実行している政府機関・与党を担う6名へ送付致しました。
【質問1】
現在示されている文化庁や経産省の文化芸術分野への支援策は、コロナ禍収束後を見越した、新たな取り組みへの経費補助です。これらの支援策では前払いがないため、現時点で既に廃業寸前の文化芸術関係者は経費を立て替えることができず、申請すらできません。なぜ今を支えるための使途を問わない給付型の支援ができないのでしょうか?
<要点>
2度目の緊急事態宣言が発出された今、新たな公演等への支援というのは、ダブルスタンダードであり、多くの文化芸術関係者は、未来ではなく、今を乗り切るための直接的な支援を求めています。
【質問2】
この一年、文化芸術関係者は、公演や上映の中止、客席数を50%以下に制限するなど、活動を制限して感染拡大防止に協力をしてきました。現在も文化芸術関係者の多くは、法律に基づかない「働きかけ」によって、夜8時以降の活動を自粛せざるをえない状況におかれています。しかし、それに対する協力金は支払われておりません。なぜでしょうか?
<要点>
音楽・舞台公演や映画上映は、緊急事態宣言下に関わらず、年間を通して感染拡大防止に協力をしてきました。なぜ協力金が支払われないのか、理屈が分かりません。
今回の緊急事態宣言下ですらミニシアターや舞台公演は協力金が出ていません。
また、業種に関わらず、事業規模に応じた協力金でないと、生き残れない施設や事業者がいることが行政はなぜ理解できないのでしょうか。
ドイツでは、例として従業員50人での企業に対して前年同月の売り上げの75%を支給し、閉鎖中の経済的な損失を支援しています。また別だてで、中小企業向けのつなぎ資金として補助対象となる固定費や補助額も今年大幅に拡張されています。
【質問3】
文化庁の例年の年間予算はおよそ 1000 億円で、先進国の中でも少ない部類に位置します。 支援の範囲も狭く、これまでライブハウスやクラブ、ミニシアターといった民間の小規模文化施設は支援対象にすらなっていませんでした。諸外国では文化芸術団体の存続のための緊急支援を政府が率先して行っています。この国の文化芸術を守るために、政府ができることはなんだと思いますか?
<要点>
ミニシアターやライブハウス・クラブはこれまで、事業者として側面のみを見られ、経産省の担当とされてきました。
WeNeedCultureは、そんな民間の小規模施設を文化芸術団体として支援対象と認めてもらうための活動を続けてきました。
活動の甲斐あって、文化庁の緊急支援パッケージへ、ライブハウスやミニシアターも支援対象として含まれるという説明も受けました。
しかしながら、その後、この国がいかに縦割り行政かを身をもって知ることになりました。
文化庁の緊急支援パッケージには、
※ライブハウス、ミニシアター等について、小規模事業者持続化補助金の対象となりうる者 が運営している場合には、まずは商工会・商工会議所の窓口に相談し、支援が受けられないことが明らかになった場合に、本事業への申請が可能。
といった文言があります。
文化庁の官僚からは、
「ライブハウスは経産省の持続化補助金を申請してください。支援が受けられなければ、相談に来てください。こちらで受けられるものであれば申請していただけます」
と散々言われました。
リヴハウスは、持続化補助金を10/2に申し込み、2/5に不採択の通知が来ましたが、
既に文化庁の申請受付は終わっていました。
WeNeedCultureの活動を通じて、私たちが勝ち取ったと思っていたものが虚ろになった瞬間でした。
【質問4】
現在厳しい状況にある文化芸術団体、文化芸術のフリーランスの担い手などの文化芸術関係者へのメッセージをお願いします。
質問は以上です。 お忙しいところお目通しいただき、誠にありがとうございました。回答は2月17日(水)までに、 書面をメールに添付の上、送付をお願い申し上げます。
<要点>
昨年3月27日に宮田亮平文化庁長官は、
新型コロナウイルスの影響が深刻化し、音楽や演劇公演の中止が相次ぐ中で、
「明けない夜はありません! 今こそ私たちの文化の力を信じ、共に前に進みましょう」
といったメッセージを残しました。
そこには、補償についての言葉は無く、
その後宮田長官は、公の場では沈黙を続けています。
SaveOurSpaceは、昨年3月26日に、菅内閣官房長官(現内閣総理大臣)へ直接要望書を提出をして面談をしましたが、その時から菅さんは『補償』という言葉を嫌がっていました。
私たちからの要望を避けるように「実質無利子・無担保融資の特別貸付で凌いでほしい」の一点張りでした。
私たちはあらためて問います。
宮田長官、
あなたからのメッセージを受け取ってから、もう11ヶ月が経とうとしています。
菅総理、
あなたと会ってから、
もう11ヶ月が経とうとしています。
多額の借金を背負いながら感染拡大防止に協力してきたこの11ヶ月のあいだに、
文化芸術に携わる、どれだけの人が現場を追われ、どれだけの施設が静かに幕を閉じたでしょうか。
夜は、この夜は明けましたか?
#文化芸術は生きるために必要だ
私たちは問います。
「この国は、文化芸術を救うことができるのでしょうか?」
回答期限は2月17日までにさせて頂きました。
回答は、WeNeedCultureのSNSにて公開致します。
#失くすわけにはいかない