EC界隈のGameChangerー中国消費者の意思決定に最も影響しているプラットフォームREDの成長戦略とジレンマは?
皆さん、こんにちわ!
サイバーエージェント・キャピタルでジュニア・アソシエートとして働く日本大好きな東大大学院留学生です。
中国出身であることやヨーロッパ留学経験のバックグランドを生かして、日々Twitter(https://twitter.com/ChouYusi)とNoteを通して中国を含め世界最新のビジネス情報について発信しています。
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はじめに
この夏に友人と上海へ旅行に出かけました。
友人Aがプランニングしたこの四日間の旅は、ほぼ全てがRED上で“お勧め”されたスポット、ホテル、レストランで構成されていました。また、最近挙式をした友人Bによると、ウェディングデザインのアイディアから、撮影、録画、司会者選びに関する情報の収集に至るまで全てRED上で完結させたそうです。
自分達の生活様式や意思決定が、一つのプラットフォームにこれほど深く影響されている事にまず驚かされますが、同時に別の点にも気付かされます:RED上の膨大なトラフィック量は残念ながらプラットフォームに還元されず、そのほとんどがオフライン店舗に流れ込んでしまっているという事実です。そして、それは後述するREDがあるジレンマに直面しなければいけない理由の一つでもあるのです。
改めてREDとはどのようなアプリでしょうか。
2013年に創立されたREDは当初、ショッピングガイドブックのPDFダウンロードを提供するお買い物経験共有コミュニティーでしたが、この8年間で化粧品ユニコーン「Perfect Diary」を産出し大ヒットさせるなど、現在では中国国内の女性消費者層の購買欲に関する寄与度において圧倒的な首位を誇るUGC(User Generating Contents)プラットフォームへと進化しました。
2018年6月、ユーザー数は1億へ成長。
2018年10月、ユーザー数は1.5億を突破
2019年1月、ユーザー数は2億を突破
2019年7月、ユーザー数は3億を突破し、MAU(Monthly Active Users)は1億人へ成長
そのREDのアプリ内では、ユーザーが執筆した体験ノートが平均的に毎日80億回の頻度で閲覧されています。
モバイルインターネットによるプレミアムが消えつつある中、REDの成長スピードはあまりにも凄まじく、2018年6月には中国IT大手AlibabaやTencentのシリーズD出資を受け、瞬く間にバリエーション30億ドルのユニコーンへと進化しました。
そんなRedは2019年最もイノベーティブな企業(中国セクター)の第3位にも選ばれています。
1、美団点評Meituan Dianping
2、Alibaba
3、Red
4、Megvii Technology
5、MIO
6、 Ant Financial
あくまでも私見ですが、日々膨大に生み出される中国の新興ビジネスモデルの中で、日本における応用の可能性を考慮し順位付けをした時、REDは上位に来るはずです。
中国の人口構造は日本とは大きく異なります、人口の60%以上は比較的に低所得で、内訳は地元産を好む農村人口とその進化系である購買力が近年急増している新興地域人口からなっています。この層の人口が示す割合の大きさやニーズが、最近躍進する多くのアプリの成長を牽引していますが、だからと言ってそれが日本の市場構造に100%適合しているとは限りません。
一方で、REDは数多くのToCアプリの中でも、北京、上海、深センなどの高所得、高リテラシーのユーザーをも一番多く獲得しているアプリです。その意味では可処分所得が比較的に高い分、クオリティーの高さと感性価値に重きを置きがちな日本人ユーザーと似通っている部分があると言えます。その意味ではREDの成功や課題には、やはり通用性があり、Noteとして執筆する価値があるように感じられます。
そんなREDについて中国のToCマーケットに関心を持っている方は耳にした事があるかもしれませんが、
日本の商材を中国消費者に紹介する際に避けて通れないPRの場として知られるREDに、一体どのような魅力があり、どのようにして今日の姿になれたのか、その成長戦略、そしてビジネスモデルの面から、REDはWeibo、Kuaishou(Kwai中国版)、Douyin(TikTok中国版)などのアプリとはどのように一線を画しているのかは、ほとんど知られていないのが現状です。
スローガンは「Good stuffs overseas」から「Mark your life」へ変わり、REDはあたかも“小さなコミュニティ”から“UGC(User Generating Contents)に支えられた素晴らしく広い世界”へ転身したかのようです。
それではREDは、どのようにして今日の地位を築いたのでしょうか。他のサービスと比べ十分に差別化できているポジションニングとユーザーオペレーションをまず紹介して、REDが直面している構造的なジレンマと今後目指す姿を今回のNoteでお伝えできればと思います。
RED誕生のバックグランド
ECは私たちにとって馴染み深いものです。モバイルインターネットの発達によって、Amazonから、Taobao、JD.com、Tmall、Pinduoduoまで、ECアプリは無尽蔵に創出されます。人々は、お買い物をする前にネット上の関連情報を検索したり、実際に購入する前に複数のECプラットフォームで価格を比較したりすることに慣れています。
ほとんどのECユーザーは、購入したいものに対して「明確な目標」を持つユーザーですので、ECアプリ上に滞在する時間はそれほど長くありません。 多くのECプラットフォームは、取引という一連の動きを完結させるための場所にすぎないため、購入目標が達成した後は、ユーザーのほうからすぐに閉じる事も多いものです。ある一定の期間にお買い物をするつもりのないユーザーは、長い間ECアプリをまったく開かない可能性もあります。
REDは、「明確な購入目標を持っていない」(何を買うか決めてはいないが、買い物に時間を費やすことをいとわない)ユーザーにとって非常に親和性があります。REDの爆発的な成長は決して偶然ではありません。
もう一つの中国特有の背景としては、
2010年当時の中国市場が消費者にとって不透明性に満ちていた点があげられます。
出来上がったばかりの資本主義体制では、情報は偏りがちで、消費者一人一人の購買力や購買意欲が急増する一方で、海外商品に対する知識を持ち合わせていない者が当時の中国市場ではほとんどでした。
その為、消費者は一番簡単な方法として実際に商品を使用した事のある人に体験や感想を聞くことで究極な効率性を果たそうとし、REDはこれを背景に誕生した訳です。
REDの発展経路
REDのCEO毛文超氏は武漢生まれの生粋の優等生です。名門大学上海交通大学を出て新卒でトップコンサルティングベインに入社し、4年後再度スタンフォードのMBAに入学しました。
中国の起業ブームが始まったことに気づいた毛は、海外留学している自分が勝てる分野は越境ECだと目標を定めました。
2010頃、中国人の海外旅行やそれに付随する爆買い現象が多く見られ、市場ニーズが拡大する一方、情報の偏りの問題が存在し、海外商材の情報にうとい、買い物のプロセスに馴染めない人々がほとんどで、問題が残りました。
旅行が大好きな創業者二人が遊び半分で「RED越境ショッピングガイドブック」を書いたところ、まさか1ヶ月で50万回ダウンロードされ、とんでもなく話題もちきりとなりました。そこにチャンスを見出した二人はすぐさまUGCプラットフォーム「RED Shopping Note」を立ち上げました。
沢山の人脈をすでに構築した毛文超氏は起業するなり沢山の出資のオファーを受け、そこで彼が思いついたマネタイズ手法が越境ECでした。2014年、REDは海外商品に特化したEC「福利社」を設立しました。
商品のすぐ側にあるREDはレコメンデーションを通して容易に商品を売れるという意味では確かにREDは生まれつきECの土壌に恵まれているはずなのですが、問題は競合です。
福利社は5ヶ月間で2億の売上を獲得しましたが、規模の拡大につれボトルネックがだんだん現れました。
コンテンツコミュニティーとして発足したREDは、Taobaoのような独自な決済手段を持ち合わせておらず、またJD.comほど強いサプライチェーンと物流システムを構築する事もできません。また越境EC領域の新興ブランドとして、Tmall国際、NetEaseなどのプレヤーも同時期にステージ上に湧き上がったことで、REDは徐々に同業社と肩を並べる事が難しくなりました。
その後、REDは直営ECを諦め、在庫ストレスを緩和しつつ、Taobaoや楽天と同様なマーケットプレースを提供するプラットフォームECへ方向転換を図りました。しかし、ノウハウと体制の不備の問題で、偽物関係のクレームが立て続けに起こる事となりました。
この一連の出来事を経て、REDはようやく「ユーザー視点での海外商材に関するリアルな口コミプラットフォーム」という自分独自のポジションニングを確立する事ができました。
2017年、REDは全社戦略の中心をECからコンテンツコミュニティーへ再び移転し、越境商品だけではなく、「生活全般」をキーワードとしたライフスタイルコンテンツが集約されているプラットフォームへと進化を遂げました。
今日のREDアプリは、音楽、車、デジタル、フィットネス、旅行、学問、インテリア、映画、親子、ペット、グルメ、スキンケア、メークアップなどありとあらゆるジャンルのUser Generated Contentsが視聴できる総合検索プラットフォームとなっています。
ビジネスモデルーECに勝てないが、ECにもてはやされているRED
REDのターゲットユーザーは、大都市に生活し、国際感覚があり消費能力も高い二十代、三十代人口です。
具体的には、
①明確な買い物目標がなく、他のユーザー(Key Opinion Consumer)が執筆した体験ノートを通して好みの商品を見つけたい人
②明確に購入したい商品があるものの、他のユーザーの体験Noteを通すことで購入すべきかどうかを判断したい人
③お買い物や使用体験をシェアすることで、社交性ニーズを満たしたい人
という三種類のユーザーです。
PC時代ではBaiduが圧倒的に検索エンジンの市場シェアを取れていたものの、モバイルインターネット時代の到来がもたらしたプレミアムを掴んだREDは、「生活」を切り口に、ブランドではなく、ユーザー主導の体験口コミ総合検索プラットフォームを作ろうとしています。
なぜこのようなプラットフォームがECのブランドにもてはやされるのか理由をあげると、REDは消費者が購買行動に取り掛かる前の段階からその意思決定に影響する指向性の強い情報をユーザーに意識させることなく次々と与えたからです。
周知のことですが、サービスを消費する際には、人が経験する「購買心理8段階」があります。
1段階・【注目】商品の存在に気づく状態→商品を見るなど。
2段階・【興味】商品に興味をもつ状態→商品をさわる、近寄るなど。
3段階・【連想】商品を使った時のシーンを想像する状態→鏡であわせてみたり、感触を確かめたり、試着したりする。
4段階・【欲望】商品を購入したいと思う状態→同時に買ってよいのか不安を感じる。
5段階・【比較】他に優れたものがないか検討したくなる状態→意思決定をするための動機をさがす。
6段階・【信頼】その商品が最適であると感じる状態→その欲求に自分自身が納得することができる。
7段階・【行動】購入する状態
8段階・【満足】買ってよかったと感じる状態→相談してよかったと感じる。
RED一つを通して、人はある特定の商品への注目から類似商品の比較まで8段階の中の上位5段階までを経る事ができます。自分が購入したい商品を既に決めている状態でECに向かう事がほとんどです。つまり、購買活動に関する意思決定のプロセスの中で上位の工程を握っているREDは、ECで出店している多くの店舗とブランドにとって極めて重要な存在になったわけです。
EC大手は過去何回かに渡りREDの類似的なコンテンツコミュニティを自身で育て上げようとしましたが、ある特定の商品をプロモートする意図が目に見えた時点で、店舗主導だと意識される為、ユーザー主導の体験プラットフォームというユニークな位置づけを保てている事はREDの強みとも言えそうです。
ユーザーを集めるにはまず質の高いコンテンツを量的にも備えることが大切ですが、そのようなコンテンツはどのように創出されるのか。それはUser Generated Contentsによってなされます。当然の事ながら、インターネット世界は各ユーザーのリアル世界におけるアイデンティティーを薄めて、一人ひとりにキャラクターを再構築する機会を与えます。ネット上で社交し生活をシェアすることで他の人に認められる事を楽しむ、それがREDコミュニティーの雰囲気に垣間見えます。
REDでは、Chicで高級感やセレブ感にあふれる写真が共有される事が多く、あたかも中国版のインスタグラムを見ているような感じですが、そのような自己承認欲求を満たせる場もREDは提供していると言えます。
他人の経験を参考にできるという確実性は、羨望を集めたいという自己承認欲求とあいまって、他のユーザーの学習、模倣、生産、シェアという一連の動きを促すことになり、そこに、ちょっとした話題沸騰の要素(=バズり要素)も加わることで、REDは生産性が非常に高いUGCプラットフォームへと成長を遂げたわけです。
プロダクトーユーザー体験MAXの秘密
コンテンツを持続的に蓄えられる仕組み作りを第一ステップとして設立した後は、ユーザー体験からロイヤルティーを高める事が次のステップとなります。
ユーザー体験は主に三つに変数で構成されます。
REDのUIのデザインは非常に凝っています。
写真・動画セクター、テキストセクター、コメント欄、関連レコメンデーションという四部制の構成だけではなく、
①投稿した写真の細部(例えばコーディネーションのアイテムなど)をよりわかりやすく説明する為には、編集可能なLabelを自由に貼る事が可能
②投稿内容の雰囲気にあった音楽を選択可能
③他のユーザーが投稿したノートに対して、いいねとコレクションという二つのボタンをクリックする事が可能で、繰り返し閲覧できるユーザー一人ひとりのためのノートリストが自動的に生成する事が可能です。
2、コンテンツ展示策略
REDが使用しているコンテンツ展示策略は、ユーザーペルソナ像(長期)+リアルタイムのアップデート(即時)です。
ユーザーペルソナに対する測定は、一人のユーザーのライフサイクルにわたり、ユーザーが行ってきた全てのクリックやスワイプなどをデータ化して見出したトレンドから行います。
これは長期にわたる行動から導かれる結果です。ユーザーは新たな検索を行わなくても、REDは自動的にユーザーが関心を持ちそうなコンテンツを表示します。
一方、リアルタイムでのアップデートはユーザーがある操作を行った後に、その内容に基づき即時に関係ジャンルの内容を作成する。(例えば、荒野について検索したら一定の確率でEスポーツ関係のコンテンツが作成されます)
3、社交的な雰囲気:
ソーシャライズを取り入れる事で新たなコンテンツや取引の生成を促す手法です。ライフスタイル系コンテンツのシェアが主体なので、プラットフォーム全体にはポジティブな内容で満ちていて、炎上を招くようなアグレシッブな言論はまず見られません。
また、REDアプリ内では、明らかに購買活動を呼び起こすようなコマーシャル感のあるコンテンツは禁止されています。例えば、一人の消費者として体験を述べる際にブランドの名前は出して大丈夫ですが、店舗のURLリンクと連絡方法などを添付してはいけないというルールもあります。
このようにREDは終始「ユーザー側の体験シェアプラットフォーム」という独特なポジションを保っている中で、UI+コンテンツ展示策略+社交的な雰囲気という三つの打ち手でユーザー体験を高め、ロイヤルティーの高いコミュニティを確立したのです。
成功したユーザー体験の設立の後に、REDがとった次の成長戦略は持続したアクセス量の向上です。
アクセス量を因数分解しますと、
アクセス量=ジャンル✖️作者数✖️作品数✖️閲覧数
REDが6年間全リソースを投下し最大限に努めたのはこのアクセス量の向上です。
例えば、作者という変数に対して、REDの戦略は、バラエティ番組や映画作品ドラマなどから出てきた有名人を作者として登用する事です。 例えば、話題性がありながら国民的な女優范冰冰はかつてRED上である商品をお薦めし、プロダクトは話題沸騰の結果(バズった結果)、ご本人ですら商品を購入できなくなった事態になったといいます(笑)
構造的なジレンマーー高収入者に愛されるREDがなぜマネタイズができないのか
他のECプラットフォームと比べてRED自体の商売の属性は弱いと言えます。 昨年LVとコラボした生放送から垣間見えるように、REDライブコマースの視聴者の特徴は高単価、高収入でありながら、買い物に対して理性的な高リテラシー層です。
これはある程度、REDのユーザー層が快手やPinduoduoのように、激安キャンペーンを実施している低単価ヒット商品にあまり反応しないことも意味します。
普通に考えれば、REDは自然的にマネタイズの土壌に恵まれているはずです。 公式発表によると、REDの月間アクティブ数(MAU)は1億を超え、ユーザーの70%以上が90年代生まれで、毎日80億以上の体験ノートのエクスポージャーが生み出されています。
ただし、このコミュニティ属性は、REDにとっては常に両刃の剣のようなものです。 3000万のKOC(Key opinion Consumer)を持っているUGCコミュニティは商品をプロモーションするには最適な場所である一方で、ユーザー主導ならではのコミュニティやコンテンツの純粋さは、ブランド主導の商業重視のやり方と矛盾しています。
かつて、REDはJD、Taobaoなど様々なECプレヤーが溢れている当時の中国市場で差別化する為に、「中立な立場で海外商材に関するリアルな口コミをするプラットフォーム」という完全なるユーザー視点でのポジションニングを取ったのです。それはREDが飛躍的に伸びた理由でもあり、IPOまで道のりがなかなか遠い理由にも又なったわけです。
ライブコマースがブームになり、KOL / KOCが人気を博している現時点では、REDには、自然なUGCコミュニティとして、商品をPRするための自然なチャネルであるKOCが多数いますが、もし本当にKuaishouやDouyinのように収益化路線を貫くと、コンテンツとコミュニティに注力するという当初の意図から大きく逸脱するリスクがあります。
REDが直面しなければいけないジレンマがもう一つあります。
REDはかつて、今やユニコーンになっている新興ブランドPerfect Diaryが誕生した場所です。しかし、REDが育成したと言ってもいいPerfect Diaryは実際にメインストリームブランドになり、ロレアルの販売額を上回ったのは アリババのECであるTmall上です。
「REDでゼロから芽生たブランドは今度Tmallに行き、販売を拡大する事を決めたとしても、ここで必ず何かが残ります、それが新商品です。REDは消費者とコミュニケーションを取る為の最適な場所だからです。KOCが新商品を試し、コミュニティ向けにポジティブな情報を発信した後に、ブランドは大きなECモールで販売をプロセスを完了します。各ブランドの商品の発売戦略次第で活用するプラットフォームが段階的に変わるだけで、ブランド自体はまだREDに残っています。将来的に完全なオペレーションとサプライチェーンを提供できるようになった時に、ブランド達も離れないでしょう」とREDのブランドマーケティングの責任者シャロートがコメントしました。
ブランドの育成を次の目標にしたいREDにとって、ブランドの台頭から販売までの全プロセスを全て自社のプラットフォーム内で、完結させ方が理想的なはずです。REDはヒット商品の販売を独占してマネタイズを加速させる機会を手放すでしょうか。
REDの究極形態
ECのマネタイズ手法がパッとしていない中で、次の発展に向けてREDは2019年年末独自のクリエーター123計画を発表しました。
「1」は一つのクリエーターセンターを指します。いわゆるフォロワーの分析、コメント管理、データ分析およびバックグラウンドオペレーション管理ツールをクリエーター(KOC)に提供することです。
「2」は二回の公開講座とリスニングセッションです。REDはクリエイターアカデミーを設立し、 クリエイターユーザーに体系的なガイダンスを提供すると同時に、将来オフラインの公開クラスやその他の活動を定期的に開催し、成功した事例を共有しクリエイター一人ひとりが独自の成長の道を見つける事を支援します。
「3」は三つのプラットフォームです。ここではブランド協力プラットフォーム、優秀商品推奨プラットフォーム、およびインタラクティブ生が強いライブコマーストプラットフォームという三つを指します。
ブランド連携プラットフォームは、クリエイターをブランドと直接結びつけるマーケティングプロモーションプラットフォームです。
優秀商品推奨プラットフォーは、クリエイターがコンテンツの作成から、ECへ客を送り込むまでの収益化プロセスを確立するためのプラットフォームです。
ライブコマースプラットフォームは、3000万人のKOL&KOCを持つREDはライブコマース領域へ進出する野望を実体化したものです。
REDの今回の施策は、「オリジナルコンテンツ」と「マネタイズ」という2つのキーワードに要約できます。 まず、すべてのコンテンツプラットフォームと同様に、コンテンツの生態系を改善およびアップグレードするためのサポートプログラムを通じて、高品質のミッドウエストクリエイター向けにモチベーション向上システムを取り入れます。同時に、マネタイズという目標にに向けて、コンテンツ側のマーケティングプロセスの改善、EC側でコンテンツから発注までのチャネルの開放など、ビジネスの面から事業をよりキャッシュと繋げます。
ライブコマースというのは聴き慣れた言葉かもしれませんが、REDが今回推進しているこのライブコマースプラットフォームはKuaishou(Kwai中国版)やDouyin(TikTok中国版)が推進している従来のものとは一味違います。
確かに上述のように、RED進出入場料ゼロ、KOC&KOLとブランドのコネクションの補強など、REDは一連の戦略策定に取り掛かりまして、アプリ内のブランドに拡販の希望を与えましたが、RED自身は数字への執着を見せていないようです。「今後ともGWVを主要なKPIをとしません。正直なところ、REDのメインの収入源は徐々に主に広告のほうへ移り、EC機能自体はユーザーにより良い体験を提供する一つのサブ機能にすぎない。」とRED・ECマーケットの責任者は繰り返しメディアの前で主張したのです。
購入意欲を呼び起こす後に、その購入欲を完結させる手段としてライブコマースとECは設立されています。トランザクションリンクの実現に責任を負う一方で、ユーザーにブランドのコンセプトと商品に対する認知や理解を促進する事もライブコマースが果たすべき役割だとREDは主張しています。
つまり、REDのライブコマースはKuaishouやDouin、Taobaoライブと違って、REDのECプラットフォームに直接にGMVを創出するのではなく、ライブ放送を通じて新しいブランドを宣伝し、トランザクションを促進する事です。
メインストリームで力強いECプ競合に囲まれている中で、REDは存続の為にこのように差別化の道を選ぶしかありません。 REDはこの誰もが歩んだ事のない非メインストリートの領域で、自分自身の道を見つけなければいけない運命に直面しています。
REDのコミュニティで生まれたアクセス量は今キャッシュとなり、アリババやJDという大手がコントロールしているECに流れ込んでいる現状ですが、
今後のREDはアリババやJDなどのEC大手のマーケティングツールで居続けるのでしょうか、それとも強力なECリソースを使用して自分自身に還元し、プラットフォームの収益化能力を向上させられるのでしょうか。
先行きが気になって仕方がありません。引き続き見守ります!
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拙い文章を最後まで読んで頂き誠に有り難うございます。
このようにECを含め消費界隈のGameChangerビジネスREDの発展経路、ビジネスモデル、プロダクト及び問題点をご紹介いたしました!
REDは立ち上がった状態から負けないビジネスモデルというよりは、マーケットの変化やユーザーからフィードバックなどの情報を収集しつつ、沢山のビボットを経てから、今の中国若年層の消費行動に強く左右するプラットフォームへ成長してきた訳です。
ポジションニング面における絶対的な強みを持つ反面、構造的な課題も抱えている独特でドラマチックなビジネスモデルですが、ターゲットユーザーの属性が類似しているという文脈から、日本市場にとっても参考性がある中国事例だと考え今回分析・紹介させて頂きました。
中国のビジネスモデルに対して更に深くディスカッションしたい方、または資金調達や事業の相談に関してニーズのある方、お気軽にDMをしてください!
参考資料:
小红书产品分析报告:UGC变现的攀爬之路ttp://www.woshipm.com/evaluating/1283375.html
6岁小红书的尴尬,打赢了“涉黄”官司也藏不住
https://www.huxiu.com/article/349174.html
有了直播带货,小红书还是不想谈“钱”
https://www.huxiu.com/article/371022.html
小红书,不红了?
https://www.huxiu.com/article/330145.html
小红书产品分析报告
https://zhuanlan.zhihu.com/p/137884271