AIxSaaSプロダクトマネージャーが情報収集・資料作成の生産性を上げるために愛用しているAIツール5選(2022年版)
はじめに
本記事は、ストックマーク Advent Calendar 2022の9日目の記事です。
こんにちは、ストックマークのプロダクトマネージャーの中尾です。2022年も自然言語処理の領域では目まぐるしいほどの動きがありました。
OpenAIの主要なリリースを時系列で振り返ってみると、テキスト・画像・音声とその幅の広さがわかります。
OpenAI以外にも、GoogleやDeepmind、Meta、Hugging Face、Stability AIなどから、自然言語処理に関わる技術開発やサービス開発のリリースが矢継ぎ早に出ていて追いきれないほどです。
個人的には、2022年の各社の動向で目を引いたのはGoogleとMicrosoftの取り組みです。
Googleが「Workspace」向けの自動要約機能を発表--まずは「Google Docs」で提供へ
Microsoftが画像生成AI「DALL-E 2」を組み込んだグラフィックスデザインアプリ「Microsoft Designer」を発表
テキスト生成AIや画像生成AIは、精度であったり、不適切なコンテンツの生成であったり、まだいろいろな問題を内包していますが、用途を限定した形式で日常使いのツールへの組み込みが進んできています。
2023年以降も、このトレンドは続くのではないか?
生成系AIを組み込んだツールの活用が仕事の生産性に直結する世の中になっていくのではないか?と考えています。
生産性を上げるために愛用しているAIツール5選(2022年版)
以上のような考えから、日頃からいろいろなAI系のツールを探して試すようにしています。本記事では、その中から特におすすめのツール5つを紹介します。
DeepL
1つ目は、翻訳ツールのDeepLです。ProプランのChrome拡張がとても便利で、英語や中国語の記事を読む際になくてはならないツールです。
Forbesの記事では、DeepLが品質面でGoogle等の他の大手を凌駕できた理由を以下のとおり分析しています。
DeepLは2017年にDeepLをリリースする前に10年間Lingueeというオンライン辞書のサービスを運用していて、大量の翻訳に特化したテキスト情報を持っていた。
このデータベースがあったので、機械学習技術の進展とともに、慣用句や言語的ニュアンスをより正確に翻訳することが可能になった。
DeepLはドイツ発の企業であり、欧州は翻訳業務の需要が多い市場だったことも追い風だった。
大手にも負けないテキストAI系のサービスをつくるためには、ドメイン特化したテキスト情報とテキスト業務の需要が重要、ということです。これはAI系のサービスを開発する上での1つの指針ではないかと思っています。
WordTune
2つ目は、イスラエルのスタートアップ企業のAI21 Labsが開発しているライティング支援ツールWordTuneです。
同様のツールだとgrammarlyの方が有名ですが、WordTuneは無料版でも、文章の言い換えをサジェストしてくれるRewrite機能を使うことができます。英語の文章の文法のチェックだけではなく、言い回しをこなれた感じにしたいときに役に立ちます。
Summari
3つ目は、サンフランシスコのスタートアップ企業が開発している要約ツールのSummariです。英語の記事のURLを入力して要約を生成・閲覧・保存・共有ができます。
全文の要約ではなく、小見出しごとに箇条書きで要約が生成される点が良いです。
Webの他、Slackやアプリにも対応をしています。特にアプリが使いやすく、英語記事の情報収集がかなり効率化しました。
*ストックマークのリサーチャー広田さんの2021年の英語版アドベントカレンダー記事を要約してみた結果はこちら
Elicit
4つ目は、サンフランシスコの非営利団体Oughtが運営する論文検索ツールのElicitです。検索システムにGPT-3が組み込まれており、検索窓に質問を入力して検索すると、質問への回答となるセンテンスとそれを含む論文が表示されます。
例えば、
"How does GPT-3 compare to other language models?"
(GPT-3は他の言語モデルと比べてどうですか?)
という質問を検索すると、
"GPT-3 can generate samples of news articles which human evaluators have difficulty distinguishing from articles written by humans."
(GPT-3は、評価者が、人間が書いた記事と区別するのが難しいほどのニュース記事を生成することができます)
などの回答が返ってきます。
また、検索ワードを入れると、質問をサジェストしてくれる"Brainstoriming question for"という機能があり、検索に使うべき正しいキーワードが思いつかないときにとても有用です。
A Series
5つ目は、ストックマークのA Seriesです。
ストックマークでは、ビジネスに直結するニュースをAIが届けるAnewsと最新の事業環境をAIが可視化するAstrategy、2つのサービスを提供しています。
AIや自然言語処理の領域はとにかく動きが早く、情報のキャッチアップが大変ですが、A Seriesを使うことで、効率よく情報収集や整理、共有をすることができています。
実際に、上で紹介した4つのツールに関する情報はすべてA Seriesで見つけました。
最後に
今回紹介したツールは、DeepLとA Seriesを除くと英語のみに対応しており、日本語には対応していません。生成系AIやそれを組み込んだツールの開発は、全体的には英語が先行していると思います。
このようなツールが特定の言語圏のみでどんどん発展していていくと、今後、使用言語によりAIツールへのアクセスのしやすさが変わり、それによって生産性の格差が生まれてしまう状況(デジタル・デバイドもとい、AIデバイド)も起こり得ると考えています。
技術革新による生産性向上の機会の均等を推進するためにも、これからも世の中のトレンドを捉えて、先行事例の動向も分析しながら、サービス開発をしていきたいです。
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