食レポ|赤坂飯店 パレスサイドビル店
皇居外苑の濠を家族と歩いた。北の丸公園から東京国立近代美術館を抜けて竹橋への坂を下る。広く縁取られた通り。濠に湛えられた静謐な水が涼しげな息吹をそこに漂わせる。
週末のパレスサイドビルは動きと音が少ない。羽を休めた鳥のように。「赤坂飯店」に入り、名物の「タンタン麺」を注文した。赤と橙のグラデーション。マグマのような色味が食欲をそそる。ひき肉ともやしが乗り、サヤエンドウの鮮やかな緑が赤の上で映える。
辛い。うまい。ごまのまろやかさと風味が口いっぱいに広がっていく。平打ちの麺も滑らかだ。滑るようにして、その食感を楽しんだ。スープの底に沈んだひき肉をレンゲですくう。最後まで、その手が止まることはなかった。