食レポ|空也
その店は銀座の中央通りの裏にひっそりと軒を構える。「空也」だ。スマートフォンを片手に、店を探り当てる。
店内に視線を注ぎ、そこには小箱が重なっていた。信じられなかった。「空也」の「もなか」を予約せずに入手できる。それは僕にとって小さな驚きであり、感覚としては奇跡に近い。
その違いは目立たない。しかし、店構えのように、その繊細な違いは口を動かすほどに全身へと広がっていく。自然に。しっとりと。そのあんは美しくも、奥ゆかしい質を兼ね備えている。生まれたばかりのような弾ける食感をもたらす皮に包まれて。