世界は素人によってつくられている
思うに、世界には職人の世界と素人の世界があって、サラリーマンのほとんどは素人の世界だ。
素人が思いつき、素人ができる策を素人が作り、
素人が素人に説明し、素人が意思決定して素人に命じる。
そこでは高度すぎることは継承できないので淘汰されてしまう。
素人に職人技を期待してはいけない。
集団は誰もが素人であり、適応してもまた異動によって強制的に素人になる。
ジョブローテーションによる人材育成、フレッシュな新卒の一括採用、人事交流による新陳代謝、などというのはどれも組織内のあらゆるユニットの素人さを均一に保つための施策だ。
そうしていっしょうけんめいに素人でいさせようとするので、誰かが胸のうちに情熱と理想をどろどろに溶かしてマグマの様態で企画されていた何かも、少しずつ、少しずつ、冷やされ、分解されて、まるで虫食いでスカスカになったきのこのように、たいへん残念なものになっていく。
あるいは、素人なりになんとかしようともがいて、考え、努力して、頑張った末にガラクタを生み出しては置き去りにし、先人のガラクタの修理を引き受けてはまた無用の長物をつくりあげてしまう。
それが仕事であると信じて。
長く続けることで、それでも組織に最適化しようと試み続けることで、素人からひょっとしたら職人になれるのではと淡い期待を抱いていたこともあったが、それは間違いである。
素人は素人だ。
私は一生、素人だ。
それはまぬかれることはない。
だからすこしでもしあわせになるために、
私は詩を書くのだ。