見出し画像

2分モノローグ台本『土下座王』


『土下座王』本文

作:渋谷悠  原案:鈴木里加

謝ってばかりの人生です。
世の中には、一切謝らない人もいると思います。例えるなら、鳥のフンに一度も当たらず一生を終える人もいれば、どういうわけかやたらと当たる人もいる。怒られるとビクビク行動してしまうので余計怒られる状況を招きます。
 
謝ってばかりいると、謝ることに飽きてきます。
でも飽きたからと言って謝らないわけにもいかないので、謝罪のレパートリーを増やすことにしました。基本は4つ。すみません、申し訳ありません、失礼しました、ごめんなさい。私はこれらを『四天王』と呼んでいます。
 
飽きてもなお謝り続けていたら、あることに気づきました。
自分に非がないのに謝れる人は、強い。
四天王の使い分けを完璧に体得した私は、謝罪の最終形態である土下座を極めました。100パーセント相手が悪くても、いつでも100パーセント魂を込めて土下座できます。地面と一体化できます。…おや、信じていただけない?
 
(土下座をし始める)
それは大変申し訳ございません。私の不徳の致すところでございます。心の底からお詫び申し上げます。この落とし前は必ずつけますので、何卒ご容赦ください。この通りです。生まれてきたこと自体が間違いである私の落ち度ですので、どうぞご勘弁を。踏みたかったらいくらでも、蹴りたかったらいつまでも。
さあ。さあ!さあ!!

使用許可について

・公演、ワークショップのテキスト、演技動画をYouTubeにアップするなど、ご自由にお使いください。上演許可・使用料は不要です。
・その際、作:渋谷悠のクレジットを明記してください。
・あわせてモノローグ集ハザマのURLをご紹介頂ければ幸いです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4846021947

渋谷悠 脚本・監督!『美晴に傘を』1月24日(金)から恵比寿ガーデンシネマほか全国公開!

モノローグの第一人者、渋谷悠が脚本・監督を務めた映画が公開されます。ラストシーンは、3つのモノローグが絡み合う、映画史に残る言葉の交響曲となっています。

伝えられなかった想いはありませんか?
北の自然を背景に、喧嘩別れのまま息子を亡くした漁師、夫の遺言を守る妻、聴覚過敏の娘が織りなす家族再生の物語。
笑い、涙し、少し考える・・・そして観た後には、大切な人に想いを伝えたくなるような作品です。

キャスト
升 毅 田中美里 日髙麻鈴
和田聰宏 宮本凜音 上原剛史 井上薫 阿南健治
織田あいか 菅沼岳 和田ひろこ 徳岡温朗

スタッフ
脚本・監督: 渋谷 悠
プロデューサー: 大川祥吾 渋谷真樹子
撮影監督・共同プロデューサー: 早坂 伸(JSC)
編集: 小堀由起子/音響効果: 吉方淳二/音楽: 土井あかね

↓公式サイト、上映館情報、チケット情報などはこちら↓

劇作家・映画監督:渋谷悠とは?

1979年、東京都生まれ。日英バイリンガルの劇作家、脚本家、映画監督。アメリカ・インディアナ州パーデュー大学院にて創作文学の修士号を取得。

日米共同制作の短編映画『自転車』(脚本・プロデュース)が第66回ベネチア国際映画祭を含む世界23の映画祭で入選・受賞。2018年公開の日米合作映画『千里眼(CICADA)』(脚本・プロデュース)はロサンゼルスアジア太平洋映画祭やグアム国際映画祭でグランプリを受賞。『パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM シーズン2(ベアトリーチェ・ヴィオ)』(構成)が第46回国際エミー賞にノミネート。2020年、長編オリジナル脚本『ノアの魔法』でNHKサンダンス・インスティテュートフェローに選ばれる。スクリプトドクターとしても活動し、映画『猿楽町で会いましょう』『死体の人』等で共同脚本を務める。

劇団牧羊犬主宰。舞台『底なし子の大冒険』や『狼少年タチバナ』の映像が国内外の映画祭に入選・受賞。​舞台『夜の初めの数分間~画子とひまわりの場合~』は佐藤佐吉賞2023最優秀脚本賞を受賞し、第30回日本劇作家協会新人戯曲賞最終候補作に選ばれる。

著書に、日本初のモノローグ集『穴』、 55本の一人芝居を収録したモノローグ集『ハザマ』、二大人気戯曲を収録した『底なし子の大冒険/狼少年タチバナ』(以上、全て論創社)。

脚本・映像・演技の講師も務める。現在、アクティングスクールのtori studioにて、英語演技クラスを担当。
​​
2024年、JETRO(日本貿易機構)が主宰する現地派遣型監督育成プログラムBeyond JAPANに選手される。

いいなと思ったら応援しよう!