モノローグ台本『魔法少女先生』
『魔法少女先生』本文
作:渋谷悠 原案:須澤真織
(魔法少女の格好をした女が現れる)
ぺぺリポペロップ~こんにちは!
みんな、魔法を信じてる?うんうんうん。
今日は「本当の魔法少女!」のセミナーに来てくれてありがとう。魔法少女のペロンだよ、よろしくね。
この子は使い魔のビビ、人見知りなとこあるけど雷を操る凄い子なんだ。
…ペロンは今、感じてるよ。みんな、ペロンとビビと仲良くなりたいんだね。
(魔法を唱える)ペペリポペロップ・ペペリポンヌ。みんなの心にある壁よ、溶けてなくなっちゃえ!(溶かすジェスチャー)
へへっ、これでみんなお友達だね。
ん、なあに、ビビ?うんうんうん。
そうだね、一応ベーシックから教えてあげようね。じゃ、早速始めるね~!
魔法少女のベーシックは3つ:設定、衣装と魔法のアイテム、そして呪文。
まずは具体的な設定を作ろっか。
魔法少女は大きく分けると2種類あってね、生まれつき力を持っている「先天型」と、超自然的な何か、例えば神様とか精霊とかから力をもらう「後天型」があるのね。
それから、魔法の力はルールがあると萌えるよ。使える時間帯が限られてるとか、変身してるところを見られたら魔法の力がなくなっちゃうとか。
ペロンは愛の女神アフロディーテ様から力をもらった後天型で、恋をしている時だけ魔法が使えるの。男の子と目が合うとすぐビビッと来ちゃうから、この子はビビ。愛しの人がペロンを見ている間だけ、力が3倍になるんだ。だからペロンは世界を救うために、恋をしてなきゃいけないの!
で、そういう設定から衣装を作るといいんだけど、面倒臭くて無理~って人は買ったもの組み合わせたりで全然オッケ。魔法のアイテムは、やっぱりコンパクトとか宝石とか、身につけたり持ち歩けるものがベスト。ステッキなんかは百均のアイテム駆使して作ってる魔法少女仲間がいるよ。やり方はYouTubeで検索してね。
あとは呪文。呪文はね、んーなんだろ、それっぽさ?うんうんうん。
ペロンの呪文は「ペペリポペロップ・ペペリポンヌ」
パ行とラ行をいい感じにブレンドすると、手っ取り早いよ。
(分かった?の意味で)ペペリポンヌ?
…ペロンは今、感じてるよ。みんな、内容うっす(薄い)!って思ってるよね。
(魔法を唱える)ペペリポペロップ・ペペリポンヌ。みんなの心にかかった疑いの雲よ、どっか行っちゃえ!(ふーっと吹き飛ばす)
ん?なあに、ビビ?うんうんうん。
分かってるよ。今からちゃんと言うよ。
本当に大事なことを教える前に、質問させてね。
「何かにならなきゃ」みたいな強迫観念を感じている人手を挙げて。うんうんうん。
でも何になればいいかわかんないって人手を挙げて。うんうんうん。
実はそんなに努力もしたくないって人手を挙げて。
…ペロンは今、感じてるよ。本当はもっと手を挙げたい人がいるよね。
(魔法を唱える)ペペリポペロップ・ペペリポンヌ。みんなの心を縛る悪魔の糸よ、全部切れちゃえ!(切るジェスチャーをすると、挙がる手が増える)
見て、ビビ。みんなの手が挙がったよ。
みんなが持ってるのはね、変身願望。
自信がないから、自分じゃない何かになりたい。ペロン分かる。
でも努力したってその先には何もないかも知れない。ペロン分かる。
魔法少女になることはね、変身願望に服を着せてあげることなの。
何になりたいか、分からなくてもいいの。
変身して、なんか違ったらまた変身すればいいの。
変身願望にいっつも「うんうんうん」って言ってあげる、それが本当の魔法少女。
現実逃避かも知れないけど、何がいけないの?
いつも必ずそこにある現実から逃げるのって、それはそれで才能だよ。
…ペロンは今、感じてるよ。みんな「逃げてもいい」って言って欲しかったんだよね。
(魔法を唱える)ペペリポペロップ・ペペリポンヌ。みんなの心にある逃げたい気持ちよ、大きな翼を生やしちゃえ!(翼を生やすジェスチャー)
見て、ビビ。みんな今にも飛べそうだよ。
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