桃との対話
こんなに愛されてこんなに厄介者はいない。
桃はどう調理したら美味しいかとよく聞かれるけど決まってそのまま食べた方が良いと答える。
言い方を変えるとそれくらい厄介者だ。
良さはその繊細な香りと糖度とジューシーな果肉。
その反面皮を剥くとすぐに変色してしまうデリケートな果物。
缶詰を食べた事のある人は分かると思うけど美味しいけどやはり別物。ジューシーな果肉の食感は失せてしまう。
個人的にはムースにするのもクリームにするのもあまり好まない。
繊細すぎて桃の良さは出せないと思うから。
その変色を抑える方法は色々ある。シロップや塩水、レモン水など。
プロで一般的に取り扱いがあるのはアセロラ果汁、ビタミンCをベースにした液体を漬ける。
それでも収穫時期が限られる事や業者や産地によって追熟に差もある事から本当に厄介者だ。
だからこそ価値のある商品に仕上がってるとつくづく感じる所だし、それこそ目利きの見極めがとても重要なところ。
追熟されてない桃を冷蔵庫に入れるとまたちょっと変わった食感になるのでなるべく入れずに毎朝桃さんに挨拶を交わしているところ。
「良いところと悪いところはどこですか?」とばりに触診する看護師の気分。
フランス語で桃はLa pêche(ペッシュ)。
これは女性名詞。やはり大切に扱うべきなのです。
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