苦手な35mmを使い続けて見えてきたこと。|ZEISS Biogon T* 2/35 ZM
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半年以上35mmを使い続けてみる。
単焦点レンズを選ぶ中で一番迷うことはやはり焦点距離だろう。筆者はSIGMA fp Lと合わせて使うレンズとして、コシナが製造するZeissレンズであるZEISS Biogon T* 2/35 ZMを購入した。
そこから半年以上35mmだけで撮影してきたと言っても過言ではない。もちろんSIGMA fp Lのクロップ機能を使って50mm・75mmなどの焦点距離を使うこともあったが、デフォルトは35mmだけでやってきた。途中でLeica M11を手にし、すでに3ヶ月以上Leica M11とZEISS Biogon T* 2/35 ZMの組み合わせだけで撮影している。
筆者は35mmや28mmなどの広角〜準標準の画角がとても苦手だった。だが、SIGMA fp Lには先述の通り6100万画素を活用したクロップ機能がある。少し広めの焦点距離のコンパクトなレンズをデフォルトとして取り付けておけば困ることはないだろうと思い購入に至った。この判断はとても正解だったのだが、とはいえ苦手な画角である。
そんな苦手な画角も、半年以上使っているととても心地よいと感じる画角になってくる。今ではこの35mm一本で旅に出るほどだ。苦手とは何か考えさせられる。ZEISS Biogon T* 2/35 ZMを手にするまでは、主に標準ズームレンズを使っていた。ズームレンズを使っていると、24mmや50mm・70mmなどのズーム域のおいしいところだけを使ってしまうようになる。何より画角を気にすることもなく、とりあえずズームリングを回してしまうのだ。筆者の場合、その中に35mmという選択肢はなく、もっと言うなら24mmの広角端を使うことすら少なかった。要は広角を“なんとなく使ってこなかった”ということである。
そこでやってきた35mmの単焦点。軽量コンパクトで描写にも申し分ないZEISS Biogon T* 2/35 ZMだからこそ、ずっと使ってしまう。いつの間にか35mmの修行が始まっていたのである。加えてクロップ機能をそこまで利用しないレンジファインダー機のLeica M11を手にしたことで、純粋な35mmだけを使うように矯正されていく。
35mmという焦点距離には、広すぎず近くないという距離感がある。35mmでポートレートを撮ると周りの景色までしっかりと入る。だが、テーブルに対面で座る距離では被写体が大きくに映る。街でスナップをしていると寄ることはできない。だが街全体を切り取ることもできない。どこか一部だけを少し情報量多く切り取るのに最適な広さなのだ。
筆者は35mmで3〜5mの距離の被写体を狙うことが多いように感じている。35mmにしては少し遠い距離で、広めな印象を受ける写真が多い。35mmの画角の中に入る情報量が程よく上品に感じられるのが、この距離なのかもしれない。
賛否はありそうだが、35mmで撮影しておくことで後から50mmほどの画角にトリミングすることもできる。逆に“50mmの感覚で撮影してその周りまで写っている”というマインドで撮影するのも良いかもしれない。
最後に
たまには多くのレンズを揃えるのではなく、多くのレンズを持ち運ぶのではなく、自分が苦手としている単焦点レンズだけで写真を撮ってみるのも良い。初めはとてもモヤモヤするが、それはいつの間にか心地よい画角へとなっていき、得意とまでは行かなくとも苦手ではない画角だと感じられるようになる。たまには苦手なことに対して試行錯誤してみるのも良いだろう。確実に表現の幅が広がっていくはずだ。
使用機材
カメラ|SIGMA fp L・Leica M11
レンズ|ZEISS Biogon T* 2/35 ZM