第4話 『花言葉』
バックミラー越しに後ろの黒のマスタングを確認するクロウ。
黒のマスタングがスピードを上げて、クロウ達の乗る車を追い越す。
車が横並びになった時、黒のマスタングに乗ったサングラスをかけた男がクロウとグリムを確認した。
クロウ 「グリム。今日この街を離れる」
グリム 「どうしたんだ急に」
クロウ 「ちょうど次の仕事の依頼があってな。続けるんだろ?この仕事」
グリム 「、、、、ああ」
クロウ 「この街を離れる前に寄る所がある」
クロウはゆっくり減速して、進路を変えた。
クロウは賑わっている街の路肩に車を止めた。
クロウ 「ちょっと待っててくれ」
グリムは眠っているのを見て、ドアを静かに閉めてクロウは街の中に入った。
クロウは路面の小さな花屋に入る。
店員 「いらっしゃいませ」
派手な髪色とメイクをしたパンクな店員が、元気に挨拶をする。
クロウは軽く会釈をした後、店内を見渡した。
クロウ 「あの、赤のカーネーションの花束と、それと、、、、白のカーネーションの花束を」
店員 「プレゼントですか?」
クロウ 「いや、、、、はい。まあそんなところです」
店員 「きっと喜ぶと思いますよ。カーネーションを選ぶなんて、意外とピュアなんですね」
クロウ 「意外、、、、ですか」
クロウはガラスに映ったスキンヘッドで、サングラスをかけて、いかにも悪そうな自分を見た。
店員 「あっ。ごめんなさい。悪気はなくて」
クロウ 「いいんです。確かにって思ったので」
店員 「本当にごめんなさい。自分がいつも言われて傷つく事なのに」
クロウ 「似合ってますよ。お花屋さん」
店員 「気を使わせてすみません。すぐ用意しますので」
クロウ 「それと、私は見た目通りの人間ですよ。ピュアなんて言葉は私には似合いませんよ」
サングラスの中の目を見る凝視する店員。
店員 「似合ってます。ピュア。少々お待ちくださいね」
クロウは左手の薬指の指輪を眺める。
クロウ 「何を言わせてるんだ俺は」
店員の言葉に胸を撫で下ろすクロウ。
クロウ 「ピュアな俺だったら、お前達を死なせずに済んだのかな」
5話に続く