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笹山 雄成
2022年7月29日 18:18
心地よい風が吹き、辺りに人はいない。穏やかな静けさの中、時々聞こえる風が葉を揺らす音。覇気のない丸まった背中のグリムを、クロウはいつでも支えられる距離感で歩く。マリア・カーペンターと書かれた墓の前にグリムが座り、赤いカーネーションの花束を置いた。クロウは何も言わずにグリムの近くから離れ、別の墓に向かった。グリムは墓の名前を眺める。グリム 「久しぶり。母さん」膝を抱えて座
2022年7月22日 12:48
グリム 「母さん。どこに向かってるの?」マリアは何も言わず、険しい顔をしながら運転を続ける。グリム 「母さん。なんで僕はみんなと違うの?」マリア 「グリム。あなたは、、、、」交差点に差し掛かると、横からトラックが二人の乗る車の運転席側に突っ込んできた。突き飛ばされた車は、原型がわからないくらいまで大破した。グリム 「か、母さん」ぐちゃぐちゃの車内で、必死にマリアの方を見
2022年7月15日 12:28
バックミラー越しに後ろの黒のマスタングを確認するクロウ。黒のマスタングがスピードを上げて、クロウ達の乗る車を追い越す。車が横並びになった時、黒のマスタングに乗ったサングラスをかけた男がクロウとグリムを確認した。クロウ 「グリム。今日この街を離れる」グリム 「どうしたんだ急に」クロウ 「ちょうど次の仕事の依頼があってな。続けるんだろ?この仕事」グリム 「、、、、ああ」クロ
2022年7月8日 00:57
ペンシルヴェニア通り、連邦捜査局本部。 アメリカ国旗が並ぶ建物から出てくる捜査官の二人。 ネイサン 「先輩。知ってます?最近巷で噂の楽死屋ってやつ」 起きたままのボサボサ頭に、少しズレた眼鏡をかけたネイサンが噂話を始める。髪をきつくポニーテールに縛り、目鼻立ちがハッキリとしたサラが深くため息をついた。サラ 「ねえ。わざわざ外にコーヒーを買いに行くって言ってる女の気持ちがわからな
2022年7月1日 16:04
アタッシュケースをトランクにしまうクロウ。 車のドアに寄りかかり、クロウはタバコに火をつける。 ボロボロの折りたたみ式の携帯電話が鳴る。クロウ 「俺だ」リンコ 「終わったかしら?」 クロウ 「もうじき終わる。終わったら金は届ける」 リンコ 「もう一件依頼よ。金はそれが片付いてからでいいわ」 クロウ 「俺は構わないが、仕事はあいつ次第だ」 リンコ 「ふっ。あのガキはやる