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【実況する美術鑑賞#55】ピーテル・クラース「骸骨と羽ペンのある静物」【60分で1記事】

・作品を5分鑑賞しながら実況し、文字起こしする。
・15分を目安に作品について調べる。
・必要あれば再度作品をよく見る時間をとる。
・5分で調査の結果なども含めて再度鑑賞実況し、文字起こしする。
・30分を目標に文字起こし内容を編集する。
・上記の作業を1時間で完成させNOTEの記事にする。

先日久しぶりに展覧会へ行ってきました。メトロポリタン美術館展。

国立新美術館で行われていたんですが、このメトロポリタン美術館というのは非常にオープンアーカイブが充実していて、パブリックドメインの画像が沢山使えるので、これまでも鑑賞プログラムでたくさん使ってきたサイトです。

今回は実際に展覧会へ行って、会場で気になった作品を何個か連続で取り上げて鑑賞していきたいと思います。

現地で多少を鑑賞したりとか、資料を少し見たりしたので、いつものように完全に初見という形ではないのですが、やってみたいと思います。


今回の作品は非常に小さい作品で、そんなに有名な作品とか作家さんじゃないと思うんですけれども、結構会場でこの作品に惹きつけられているお客さんが多くて気になったのでチョイスしました。 

・5分の鑑賞で気づいたこと

静物画でこの骸骨が置いてあるって言うのは、確か「ヴァニタス」と言って儚いものとか諸行無常みたいな・・そういうのを表すというふうに聞いたことがあるんですけども・・

やっぱり一番目に入ってくるのは真ん中の大きな骸骨という感じです。結構濃い色がですね。茶色で年季が入っているって感じがします。もう骸骨になってから何年も経っていて、前歯とか結構抜けちゃってますね。

こその骸骨の左耳の方から、傾けて置いてあるガラスのコップですかね。これがすごく置いてあるものの中では・・何か不自然と言うか、そんな感じがしますね。コップってこんな置き方しないので。

洗って乾かす時でもこんな置き方はしないので、何か変な感じ、不安定な感じがしていて、このグラスの水をためる部分のこの形を、絵の中で今のこの状態にしたかったのかなって。

骸骨の頭蓋骨の丸みと対応するような形のような気もしますし、あとはこの映り込みと言うか光の反射で室内にある窓みたいなのがグラスに写っているのが気になります。

ガイコツは、何か本とか書類・・ファイルみたいなものの上に乗っていて・・後はペンですね。羽ペンと・・そのペンの周りにある器具は何に使うのかわからないんですけど、おそらく・・あれですかね、墨とかが入っている道具のような気がします。

これもわざと倒しておいてあるような感じもします。日本でいうと矢立みたいな、携帯用の墨壷みたいな・・そういう感じがします。

奥にはロウソクと言うか・・あれですね。ただの置物かと思ったら、線香みたいな明かりが灯って、ちょっと煙が出ていて、その煙が後ろの真っ暗な闇の中に漂っているという感じで・・おそらく油みたいなのが入っていて、そこにろうそくの芯みたいなのに 火 をつけて置いておくと明かりになるという・・

いやでも明かりににならないか。こんなちっちゃい火だと、もしかしてお香とか、そういう感じですかね。気づかないぐらいの炎の明かりなので・・しかも窓から光が入って骸骨とかこの画面を照らしてると思うので、照明として使っているんじゃないんで・・お香とか、もしくはこういう儚さっていう、消えてしまいそうな炎みたいな・・そういう意味で描いてあるのかなーっていう感じがしますね・

やっぱりガラスのこの器の位置が・・なんだろうな糸電話にして使ってるみたいな、そういうのはちょっと意図的な感じがしたり・・あとよく見ると、羽ペンの先周辺の床面がちょっとインクで汚れてるっていう感じもあるので、これもどういう意味なのかなーって。

なんだろう。書き損じっていうか・・こういう風にペンを置こうとして、失敗してちょっとそれが床に着いちゃったとか、そういう感じなんでしょうかね・・

手前にこの前にある影は・・この机の横の面ですかね・・そのひび割れなのかな、このインクのあとみたい見えてるの・・ひび割れですね。

机の面の切り替わりのとこにあるひび割れみたいなのが描かれてるんですけど、他のものに対してめちゃくちゃ雑な描き方なので、この羽ペンで書いた跡みたいな、不思議な感じに見えますね。

・作家と作品


・再び5分の鑑賞で気づいたこと

この作家さん、ピーテルクラースさんは、静物画で有名な作家さんみたいで、ウィキペディアで調べても今日見た作品なんかが一番最初に出てきます。「ヴァニタス」というこの形式もすごい得意だったんだろうなと思います。

「ヴァニタス」は、ラテン語で「儚さ」とか「虚しさ」を表す言葉らしくて、骸骨とか、腐った果物とか、欠けたグラスみたいな、そういうものを静物画として描いて、人生とか若さとか美しさの儚さを表す・・そういう画題のようです。

この傾いたグラスっていうのは、食事が途中で終わってしまう・・人生がいきなり予告なく終わってしまうこととかを連想させたりとか、ペンや書物は人類の叡智を表していて、でもそれもまた積み上げいっても儚いよっていうことなんでしょうかね・・

あとは時計とか、花とか、カタツムリとか、いろいろよく描かれる、意味を付与されたモチーフがあったみたいです。

ペンの周りにあるのは、ペンケースの部品みたいなそういう風に書いてありました。

後は、ろうそくとかもやっぱり命=炎的な感じなんですかね。

このグラスがちょっと特殊なグラスで、結構この時代の絵とかでうよく見る形のグラスなんですよ。フェルメールの絵とかにも出てくると思うんですけど、「レーマー杯」って言って、元々ドイツで作られてその後オランダとかでも作られたグラスらしいんですけど、ワイングラスっぽい形で、ただその手で持つ部分がめちゃめちゃぶっとくてゴツゴツしているのが特徴のグラスです。

なんでそういう形になったのか、よくわからないみたいなんですけど、一説にはその頃手づかみで肉とか食べ物を食べていて、そのベトベトの手でも滑らないように太くゴツゴツして作られたんじゃないかっていう風に言われているそうです。

グラスの映り込みなんですけど、今日はこのピーテルクラースさんの他のヴァニタスも色々見たんですけど、鏡面の金属とかガラスの映り込みってすごく大事っぽくて、そこに結構、描き所があるみたいですね。

今日のグラスは傾いてるので空っぽなんですけど、ここに液体が入ってる時もあって、そうするとレンズみたいになって、歪んだ室内の様子が写っていたりして、そこの描き込み方は以前ここでも扱ったヤン・ファン・エイクとか、ベラスケスの鏡の使い方とかを思い出しました。


描きどころって言うと、やっぱりこの骸骨の目の穴の奥に見える骨の構造とかも、おそらく腕の見せ所だったんじゃないかなっていう風に思ったり・・

後、改めて見ると、ちょっとこの骸骨が綺麗って言うか・・化石とかが持ってる美しさってあると思うんですけど、そういう琥珀っていうかベッコウみたいな・・そんなきれいなふうにも見えてきました。歯とかもちょっとくすんだ真珠に見えてくるみたいな・・


「ヴァニタス」のモチーフで、炎もよく出てくるんですけど、ちゃんとしたろうそくだと、結構明るいのでそれ自体が絵の中で光源になってるパターンがあるんですけど、今日みたいみたいな小さい明かり、本当にも線香みたいなあかりだと、別に光源を設定して描かれてるんだなっていうふうに思いました。

後は実は骸骨の後頭部のところにサインが書かれているんですけど、ちょっとこれは気付けなかったですね。会場でも気づけなかったですし、さっき見てた時も全然わかんなかったです。ピーテル・クラースさんの P と C が組み合わさったサインって聞いて、あーそうなんだなーっていう風に思いました。

あなたにはどう見えましたか?
また次回!

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