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家族で美術館へ行く前に

家族鑑賞:美術館へ出かける前のオトナの心構え。

みなさん、こんにちは。はじめまして。鑑賞プログラマーの佐藤悠です。今回はプログラムにご参加していただき、ありがとうございます。当日、長々と解説している時間がなさそうなので、プログラムに参加していただく保護者の皆さんに、この場を借りて、本番の心構えを少しだけお伝えしたいと思います。5分ほどあれば読める内容だと思いますので、実施までのお時間のあるときに、目を通してもらえれば幸いです。

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これまで僕は、いろいろな美術館やグループで、様々な形の鑑賞プログラムを行ってきました。

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糸電話を使った親子鑑賞や巨大な絵画シートの上を歩く鑑賞、ウェブチャットを利用したものまで。。。

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詳しくはこちらから

親子で行うプログラムも何度か行ってきましたが、親子鑑賞を繰り返し行う中で、僕が大きく感じたのは、「子供たちは、僕たち大人が考えている以上に、よく鑑賞している。」ということでした。彼らの眼差しや行動を分析すればするほど、これ以上、こちらが施すことは何もないと思えるほどです。

むしろ、これまでプログラムを実施する中で感じる課題は、僕たち大人の側にありました。子供独自の鑑賞のあり方を、大人がちゃんと受け取れるか・・家族で美術館を楽しめるかどうかは、その点に尽きます。

子供達は多くの場合、自分のやり方で鑑賞を楽しむことができています。しかし、彼らの鑑賞方法は、ときに「ちゃんと鑑賞していない」と大人の目には映ってしまうことがあり、それを正そうとするあまり、大人が子供の心地よい鑑賞の時間を奪ってしまうという、「事故」が起こります。この不幸な事故を起こさないために、今回保護者の皆さんには以下のような3つの心構えをお伝えしておきます

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家族で美術館を楽しむ3つの心構え

1:作品よりも、作品を見る人を鑑賞する
今回の鑑賞でみなさんにとって重要なのは、作品の解釈や知識よりも、「家族でその作品をどう楽しむか」、もっというと「作品を通して家族を知る」ということです。なので作品そのものよりも、それを見ている家族の反応を鑑賞した方が、より有意義だと思います。言うなれば、「鑑賞の鑑賞」。作品は楽しい会話や反応を起こす「きっかけ」です。

2:比べない。違いを楽しむ
大人も子供も、能力や感覚にそれぞれ様々な差があります。その優劣、出来不出来を比べても面白くありません。むしろ、その違いを楽しむためにこそ、美術や鑑賞という領域があります。比べずに、それぞれの違いを楽しんでください。

3:「正しい鑑賞」を設定しない。それぞれのふるまいに寄りそう。
「正しい鑑賞の仕方」を自分の中に設定してしまうと、「こうしなければ」と考えてしまい、一気に鑑賞が窮屈になってしまいます。

子供たちのふるまいは時に意外性を持ち、ハラハラすることもありますが、頭ごなしに否定せず、大きな心で(*)寄り添ってみましょう。そうすると、今までは見えなかった新しい視点が見えてくるかもしれません。*もちろん、他人や作品を傷つけることはNGです。

一見遊んでいるようで、案外ちゃんと見ていたりします。作品をじっと見ていないからといって、指示されたことができていないからといって、「ぐいっ!」と子供の頭や耳を無理に引っ張る人がいますが、これは本当にやる気がなくなるのでやめましょう。たとえ展示室で寝てしまっても、「それもこの人の鑑賞かもしれない」と捉える想像力を持ってください。

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すなわち、子供の話をよく聞いて、「なるほどそうかもしれない!」と感じること。子供のふるまいをよく見て、「そういう鑑賞もありかもしれない!」と思うこと。今回の鑑賞で皆さんがやることは、これに尽きます。

特別な事は必要ありません。ただこれだけで、おおよそうまくいきます。このように今回は、作品解説などに触れないプログラムなので、「鑑賞プログラムって、こんなのでいいの?」と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、美術作品には歴史や物語、メッセージなど、魅力的な要素がその裏側にたくさんありますが、単純に情報だけを投げかけて、興味が湧くかどうかはまた別の問題。

まずは、「家族で美術館へ行くことが楽しい!」となってから、そういったことへの興味も湧いてくる人も出てくると思うので、今回は美術館デビューのスタートラインとして、プログラムを位置づけ、それぞれの家族で自分たちの楽しみ方を発見して、持ち帰ってもらえればと思っています。

一緒にいる大人がとにかく楽しんでいれば、子供たちも何は無くとも楽しく感じるので、とにかくまずは、美術館で過ごすことを楽しみましょう。では、また当日にお会いしましょう


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