【実況する美術鑑賞#54】マネ「フォリー・ベルジェールのバー」【60分で1記事】
・5分の鑑賞で気づいたこと
知ってる作品なんですけど・・すでに知ってる知識としては、確か女性の後ろにあるのが鏡で、この女の人の後ろ姿が右側に写っているっていうのは聞いたことがあって・・
空間的にはちょっとおかしいっていうか、ぱっと見はこの2人の姿は別人に見えますよね・・パーティーで似たような服を着ている女性が2人いるような感じだったりとか、お店みたいなところでお店のユニフォームを着た別の店員さんが2人いるとか・・そういう感じの2人に見えるんですけどね・・後ろから見た顔のところが、正面を向いている女性と同一人物として見れないんですけど・・
見て思うのは、後ろの背景の中にある白い丸がすごい目立ちますね。これは・・ライトなんでしょうか、幾何学的なものが何個か画面の中に見えるんですけど、これが少し気になるなぁっていうのと、後ろにものすごい大きなシャンデリアですかね。ボヤッと描いてあるんですけど、めちゃくちゃもしかしたら巨大なシャンデリアが描かれているのかな・・
右側の画面の上の方にある・・後ろを向いた女性の頭の上にあるのも、これシャンデリアですかね。ここの色調すごい綺麗ですね。
あと左上には、空中ブランコみたいなのに乗った道化師の足みたいなのが見えてますね。こういうショーとかをやってるのか・・でもあんまりみんなそれを見てる、見上げている感じはしないですかね。
客席には特にシルクハットみたいなのをかぶった男性陣が目立ちますね。一番前に座って腕を組んでる女性も横を見てますし、その右側の女性は何か望遠鏡みたいなのを覗いてるような感じもするんですが、別にその道化師、空中を見てるわけじゃないので、何かもっと他に見るべきものがあるって感じなんでしょうか。その隣の女性は扇子を広げてるような感じもあります。
画面中央の女性は、すごくスタイルが良さそうであと若そうな感じがしますね。髪の毛がすごいサラサラな感じがします。髪の毛の描き方上手ですね。イヤリングをつけて、フリルみたいなもの襟元にあって、花を胸元に飾ったりとか、首飾りもつけつつ・・この黒い生地は何ですかねベルベット的な布感を感じたりしますが・・
結構腕とかの描き方は粗い感じで、顔とかもそうだけど手数はそんなにないんだけども、ちゃんと人間に見える描き方をしてるのが凄いなっていう感じなんですが・・でもやっぱりこの髪の毛がその中ではすごい迫るものがある感じがしますね・・
表情がまた何とも言えない感じですね。どうとでも取れるような、そんな表情・・人を待っているような、心の中でワクワクしているような・・でも待ちぼうけを食らっているような 気もしますし・・どういう気持ちなんでしょうね。
・作家と作品
・再び5分の鑑賞で気づいたこと
「フォリー・ベルジェールのバー」という、実際にあった(今もある)ミュージックホールのバーをモデルにした作品ということで、この前見た 「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」ともモチーフがちょっと似てる感じがありますね。
ホールではではショーが行われていたようで、ダンスだったり、音楽だったり、パントマイムやサーカス的なものだったりとか・・すごいその頃のポスターを見るだけでもめちゃめちゃ面白クテ、美しいポスターが沢山あるんですけども・・中でもこのヒラヒラの布で踊るロイ・フラーのポスターとか凄かったですね。
で、やっぱりこのブランコに乗っているのは、そういうショーの曲芸師か何かの姿らしいです。あまりにも観客が見てないので、さっきふと飾り物の人形とかなのかな、本当の人間じゃないのかなとも一瞬思ったんですが、本当の曲芸師さんとからしいです。
中央に写ってる女性は、バーメイドでバーの仕事もしてるんですけども娼婦としての一面も持っているって言うのが書いてあって、だから鏡の中で男性と話してるのはそういう交渉をしてる可能性もありますよね。
僕は表情が微妙で何かを待っているのような・・みたいなそういう感覚を感じたんですが、娼婦っていうのを聞くと、何かなるほどそういう気持ちなのかなってつながるところがありました。
鏡の中では男性と対話をしてるような感じなんですけど、実際の彼女は何か上の空と言うか、まるで目の前に男性がいないような雰囲気になっているっていう感じがありますよね。確かに鏡の内と外の姿で同じ行為をしてる人とはあまり思えないような感じがあります。
で、男性もなんか実はこの人じゃなくて、左側奥の腕を組んだ女性、この人を見てるんじゃないかっていう風にな解説もありました。確かにこの腕を組んでる女性めちゃめちゃ白くて目立つんですね。他の客と比べてね。だからこの人を実は見ているんじゃないかみたいな話もあったりとか・・
あとは中央の女性の手が長いってのは有名な話としてあって、解説を聞いて思い出したんですけども、でも見るぶんにはあんまり気づかないなーっていうふうに思いました。
不自然な構図に見えるんですが、実際に状況を再現してみると、実はこういう構図も有り得るっていう実験もあったそうで、絵に描くと不自然だけども無理ではないという、そういう解説もありました。
この前の「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」でも非常に賑やかなダンスホールの中で、ルノワールは凄くその光の側面に焦点を当てた作品でしたけど、他の作家は闇の部分と言うか、影の部分と言うか、そういうものも描いている印象があって、この今日見た作品も、そういうこのホールの煌びやかな中での、憂鬱な部分みたいな、そういうこう・・でも完全なネガティブでもないような感じもするんですよね。別にこの女性がそんなに絶望的な感じもしないし・・かといって喜びに満ち溢れてる感じもしないんですが・・
まあひきこもごもと言うか・・ちょっとそういう言い方だと逃げ口上になってしまうかもしれませんが・・そういった両方・・というか複層的な面がある場を表す作品なんじゃないかなと思いました。
あなたにはどう見えましたか?
また次回!
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