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yuka~別れ~

yukaとオレとの仲は、オレの身勝手な「行動」によって、互いを傷つける
結果になってしまっていた。

バイト先の大学生との生活で、何らかの変化があったyukaと。
その嫉妬から、違う女のコに告白し、その贈り物をyukaのアニキに
頼んでしまったオレ。

3階校舎の廊下から「どういうことなん!?」と大声で叫ばれて、yukaを
追い掛ける事も出来ずに、ただ呆然と立ち尽くした自分。

二人の関係はこのままじゃいけない。何とか話をしようとオレは考えた。

次の日。学校でyukaの親友の森さんに頼んで、yukaに放課後、オレが待つ
ようにと、伝言を入れました。

放課後の誰もいない教室。
2月も終わりに近づいた教室は、午後4時には夕陽が沈み掛かっていて、
窓からの陽射しが、とてもきつい教室でした。

教室の隣りにある製図室は、何人かが残っていて、卒業制作に掛かって
いました。

教卓の窓際近くにyukaが1人だけ座っている。
酷く落ち込んだ様子。ショートの髪が陽射しに溶け込んで・・・。
オレはyukaが座っている後ろの席に座り、何から話そうかと考えていた
時に、yukaが。

「ミヤウラさんっていう人がいるの。」と話し始めました。

「バイトの大学生で、テニスやってるんだ。」と。
オレは、優しく頷くだけで、その話を進めてもいいよと促しました。

yukaは高校時代に陸上部に入っていたのだけれど、中学時代はテニスを
やっていました。

「初めてミヤウラさんとテニスをして・・・。」
そこでyukaの話は止まりました。
オレは、長く感じたその時間を動かしたくて、yukaに
「いいよ。もう言って。」と。

yukaは、
「好きに・・・なったかも・・・しれない・・・。」と。
茫然自失でした。来るべきものだったんだ。僅か一ヶ月の間に。

オレは「どういうことなんだ!!」と、声を荒げる。
あの時と、同じようにyukaを攻め続けました。
yukaの下顎はブルブルと震え、唇も緊張して震えてる。
顔の下半分を両手で押さえて、それでもオレの話を聞こうとしている。

「どうなんだよ!?なんか言ってみろ!!」とオレが言うと。
yukaは、そのままの姿勢で、
「アカン。ダメなんよ。なんでゆうきだけこんなに震えるん?」と。
その時に、オレはyukaを抱きしめようと突然席を立ち上がり、
yukaを抱きしめようとした。

yukaは、今まで顔を押さえていた両手を、オレの胸に押し付けて、
「もう・・・無理やん!!」と。

その時にオレは、ハッと気付く。
もうyukaの心にはオレはいないんだ。と。
そのまま静かに座っていた椅子に戻り、ふぅーっと落ち着かせてから、
こう言ったんです。

「前にyuka言ったよな?ワタシに絶対言ってはいけない言葉があるって。」

「今オレの気持ちは、その言葉と同じや」と。

yukaがかつてオレに言った約束。
「オレの元から消えろ!散れ!去れ!」この言葉だけはワタシに絶対に
言わないで。と約束した言葉。

それをそのまま言った訳では無いけれど、その言葉の気持ちと今は一緒だと
yukaに言い放ったのです。

その瞬間でした。オレに問いかける事も、気付く時間も無く、
震えていた顔が一瞬に怒りの顔に変わり「もうええわ!!」と、教室を
飛び出しました。

オレは即座に追い掛けた。
yukaは製図室に入って、開き扉を閉めて、手で開かないようにしている。
オレは「開けろ!開けろ!」とその扉をこじ開けようとする。

製図室に居た数人の同級生が、びっくりしたように「なんだなんだ」と、
騒ぎ始める。

オレは、騒ぎ出したのを聞いて、一旦教室へ戻るが、自分の感情を制御
出来ないままで、同級生の机や椅子を、教室で蹴り回している。

友人(男子・女子に限らず)、心配してオレの所に「大丈夫か?」と
来てくれたのにもかかわらず、オレは、
「yukaを呼べ!呼んでこい!」と怒鳴り散らす。

yukaは製図室から飛び出して、そのまま廊下を走り抜けて、階段を
降りる。

オレは・・・。もう、それ以上動く事は無かった。

そのまま教室の椅子にもたれたまま、オレはうなだれていたところへ、
森さんがやって来た。

そして、森さんはこう言った。

「アンタ。yukaの気持ちも知らんで、勝手なことばっかりして。」
「ワタシがyukaだったら殴ってるわ。」と。
森さんは、yukaのカバンを持って、そのまま教室から立ち去りました。

オレは「あぁ・・・。これでもう終わったんだな・・・。」と。
オレのダチであるエイジが近づいて来て、
「ゆうきと〇〇(yukaの名前)って付き合ってたんか?」と聞く。
オレは答える力さえ無く、ただエイジに、
「帰るか?」と。

これが、決定的なyukaとの別れでした。

ゆうさん


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