映画『殿、利息でござる!』から見る江戸時代の資金繰り
こんにちは。yup代表の阪井です。
僕は、友人のフリーランスの資金繰りの大変さに衝撃を受けたことが原体験となって、2年前にフリーランス向け報酬即日払いサービス『先払い』を提供するyup株式会社を立ち上げました。
先日『殿、利息でござる!』という映画を観ていて、yupと重なる部分がありました。そこで、このnoteでは映画のあらすじを紹介しつつ、yupのことも知ってもらえたらなと思います。
『殿、利息でござる!』のあらすじ
本作は磯田が著した「無私の日本人」の一編「穀田屋十三郎」を映画化した時代劇コメディです。江戸時代の実話をもとに、重い年貢で困窮する仙台藩の宿場町で、藩にお金を貸し、その利息で町を救おうと立ち上がった百姓たちの姿を描いています。
(タイトルや予告ムービーはコメディ感満載ですが、とても心が熱くなる物語です!)
舞台は、1766年(明和3年)の仙台藩領内の宿場町・吉岡宿です。
仙台藩の宿場町には宿場町間の物資の輸送を行う「伝馬役」が課せられていました。この伝馬役というのがとにかく厄介。
通常、伝馬役のある宿場町には藩より助成金が支給されます。しかし、吉岡宿は藩の直轄領ではないため助成金が支給されず、伝馬役にかかる費用は全て吉岡宿の住人が負担していました。このため町は困窮し、破産者や夜逃げ者が相次ぐ有様でした。住人の数が減れば、一戸あたりの負担も増す。この悪循環に陥り、宿場町の存続も危ぶまれる事態に。
そんな中、菅原屋篤平次(瑛太)は、起死回生のアイデアを思いつきます。それは、お上に金を貸し、その利息で伝馬役の費用を賄おうというのです。百姓がお上にお金を貸すなど、案を出した当の篤平治ですら夢物語と言うほど現実味がない策のように思われました。しかも、それに必要な額は1000両(現在の価値に換算して約3億円)という途方もない額です。
だが、町の未来のためには誰かがやらなければ。町の復興を心から願う穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は、その策の可能性を信じ、実現のため、同志集めと銭集めに動くのです。
共通点① ノンバンク
yupがしていることと十三郎がしようとしたこと、この2つはどちらもノンバンクというものに分類されます。
ノンバンクとは、銀行以外の金融機関のことで、預金の受け入れを行わずに、お金を貸すなどの与信業務に特化した金融機関のことを指します。
画像引用元:オリコカードHP
この情報だけ聞くと、どんな企業がノンバンクに該当するのかイメージできない、という方もいるかもしれませんが、私たちの生活の身近なところにノンバンクはたくさんあります。
例えば個人向けの融資を行う「消費者金融」もそのひとつです。テレビCMなどでもよく見かける大手消費者金融会社をイメージしてみれば、お金を預けることはできないけれど借りることはできる、というノンバンクの特徴を表していることがわかるはずです。
共通点② ミッション
突然ですが、yupのミッションは
『スモールビジネスをエンパワーメントする世界的な金融サービスを創る』
です。
十三郎のミッションは、何だったのでしょうか。それは
『困窮した小さな宿場町・吉岡宿を救うこと』
です。その実現のために、百姓が同志を集め、銭を集め、偉い方々を説得し・・・と奔走します。
ここで強調したい共通点は、なぜやるか、にあります。
冒頭でもお話しした通り、僕の起業のきっかけは友人のフリーランスの資金繰りの大変さに衝撃を受けたことです。
従来、日本の商習慣では発注側の立場が強い事から、仕事の報酬の受け取りまでに30~90日ほど待たされることが多くありました。その期間は材料費などの必要資金を立て替えなければならないことが多く、顧客や事業に専念することができない場面があります。
そんなスモールビジネスの資金繰り問題を解決したいと考え、開発したサービスが『先払い』です。『先払い』は、取引先に送った入金前の請求書情報をyupに登録することで、報酬を即日受け取ることができるサービスです。
十三郎を含め吉岡宿の住人たちは、百姓という身分上弱い立場であり、首を切られるかもしれないというリスクが常に付き纏っていました。このため、伝馬役に必要な物資は自分の身を切って用意しなければならない、という苦しい苦しい状況にありながら、お上に訴状を出すこともできませんでした。
このような状況を変えるために考案したのが、お上に金を貸し、その利息で伝馬役の費用を賄い、村の景気を回復するというアイデアです。
なぜやるか。
それは、パワーバランスの偏った2者間で、金銭の貸し借りを行うことで偏ったバランスを解消し、立場の弱い方々をエンパワーメントする。この答えが最も大きな共通点だと感じます。
おわりに
「あんたが出ていかねばならないのは、あんたのせいではない。世の中の仕組みのせいだ。そこのところをよく考えて、決して卑屈になってはいけない。」
これは、劇中、十三郎の父・甚内十三郎が、夜逃げする村人一家に対して掛けた一声です。
働き方が多様化し、個人で活躍する人々が増える一方で、旧態とした商慣習により金銭面の不安を抱える方々も多くいます。yupが提供するサービスが事業環境の健全化を進め、個人のチャレンジをサポートする、そんなサービスであり続けられるようこれからも奮闘したいと思います。