ふくしま浜街道トレイルを歩く7:双葉駅から浪江駅まで
概要
日時:2024年12月8日(日)
歩き始め:10時36分 双葉駅
歩き終わり:17時3分 浪江駅
歩行距離:15キロ(寄り道を含む)
詳細
はじめに
今年9月から始めたふくしま浜街道トレイルの東京からの日帰りセクションハイキングの7回目です。南端の勿来海岸から北端の新地駅までの200Km超を少しずつ歩いています。
双葉駅から東日本大震災・原子力災害伝承館まで
1回目のスタート地点の勿来駅着が8時9分でしたが同じ上野駅発常磐線始発電車に乗っても今回のスタート地点の双葉駅着は10時半でした。東京から随分遠くなりました。
前回6回目のゴールの大野駅から今回のスタート地点の双葉駅まで福島第一原子力発電所の西側の道は歩くことに適した道が少なく交通量が多いため電車利用が推奨されています。原子力発電所の電気に大きく依存していた東京人としては福島第一原子力発電所に可能な限り近付いて現状を見るべきと思いましたが土地勘無しの私が無闇に歩くのは危険と考え電車で素通りしました。
双葉駅の駅舎の左の茶色の建物は震災前の旧駅舎です。双葉町の情報発信などのスペースとなっているそうです。
駅前の案内版です。
人の気配が無く更地の目立つ道を歩き始めてすぐに素敵な洋館が目に入りました。登録有形文化財の旧三宮堂田中医院診療所です。陸前浜街道時の賑わいを伺わせてくれます。
振り向いたら建物の壁に描かれた絵が見えました。双葉町消防団第二分団の建物です。かつてカトリック系住民とプロテスタント系住民の衝突、凄惨なテロ、抵抗と弾圧が続いた北アイルランドのデリー(ロンドンデリー)のカトリック教徒居住地区を2009年に訪れて見た建物の壁の絵(グラフィティー)が頭をよぎりました。
トレイルに戻ります。
東日本大震災・原子力災害伝承館への道沿いには震災と原子力災害伝で時が止まったような建物、民家がありました。心の中で手を合わせました。
営業中の看板がありました。1969年に岐阜県で創業した浅野撚糸の双葉事業所です。見学は無料、中にはショップと福島県食材を使ったカフェがあります。見学通路の壁に書かれている創業からの歴史は起業家精神の教科書です。これを読むだけで30分ぐらいかかりました。ショップで売られているタオルなどは夢のような肌触りでした。
また壁画を見つけました。
QRコードを開くとFUTABA Art Districtというサイトが開きました。原発事故で人口ゼロとなった双葉町の元住民の協力を得てアート集団OVER ALLsが描いている壁画アートだそうです。俯いていないで顔を上げて前を見て進もうと言うメッセージが伝わってきました。
東日本大震災・原子力災害伝承館です。2時間滞在しましたが全ての展示、映像を見終わることはできませんでした。午前と午後に別々の内容で行われている語り部講話(各回40分)も聞くならば1日必要です。
伝承館から建設中の福島県復興祈念公園が見えました。
1時半を過ぎてお腹が空いたので隣接の双葉町産業交流センターのフードコートでなみえ焼きそばをいただきました。器を下げるときに「美味しかったです。ご馳走様でした。」と言ったら「お口に合ったようで良かったです。」と言われました。常連さんとの会話も聞こえました。美味しくて気持ちの良いフードコートでした。
センター一階のサンプラザふたばでなまえ焼きそばを買いました。トレイルから戻った翌日に家族と食べて大満足でした。
サンプラザふたばには双葉町産のものはほとんどありませんが北は新地町から南は広野町までの相双(そうそう)地域産のものが多数売られています。買ってささやかな応援です。
震災遺構浪江町立請戸小学校へ
震災遺構浪江町立請戸小学校に向かいます。神社が見えました。Facebookの狛犬探し隊のメンバーとしては素通りできません。中野八幡神社です。津波で本殿の土台以外が流されました。現在の社殿は2021年に再建されたそうです。
ぼつんと足場を組んだ構造物が見えました。仮設見晴台だそうですが登れるのか分かりませんでした。
浪江町両竹集落跡の祈念碑
震災遺構浪江町立請戸小学校が見えました。
請戸小学校です。
15m超の津波の力に改めて驚きました。全校生徒・職員の避難を時系列で追体験できます。他にも震災から10年後の卒業生の文章など訪れないと分からない、感じることのできない展示がありました。1時間の滞在では全部を見ることは出来ませんでした。入場料支払は現金のみです。
浪江駅へ
請戸小学校を出たのは午後3時半。日没まで1時間ありません。神社が見えました。苕野(くさの)神社です。流された狛犬は奇跡的に見つかり再び安置されました。先を急いで時間が無くて参拝できませんでした。来年、参拝しに行きたいと思います。
請戸漁港の防潮堤です。請戸川は鮭漁が盛んだったそうです。
日没が迫る中、道の駅なみえへ請戸川沿の道を急ぎます。桜の季節や新緑の季節に再訪しようと思います。道の駅なみえに着いた時にはすっかり暗くなってしまいました。
道の駅なみえには地元の野菜、相双地域の物産、震災と原発事故で山形県に避難を余儀なくされた浪江町の鈴木酒造店のお酒などが並んでいます。有料でお酒の飲み比べもできます。
お酒の他に買った南相馬市の菅野漬物食品の「浜めし しらす生姜」が抜群に美味しかったです。通販で買えますが日本橋ふくしま館では売っていません。次回のハイキングの際に道の駅なみえでまた買うつもりです。
浪江駅に着きました。月が出ていました。
駅の中には浪江町紹介スペースがあります。浪江町とポケモンという展示がありました。
いわき行きの電車が来ました。
いわきからの特急車内で道の駅なみえで買ったお酒を開けます。今回の旅も終わりです。今回は歩いた距離は短かったものの展示と現実の衝撃が大きくて2本も飲んでしまいました。
注意点
GPXデータを取り込んだ地図アプリ(私の場合はスーパー地形)で要所要所を確認すれば迷うことはありません。
歩道がない場所がありましたが日曜日で工事車両が通らなかったからかすれ違う車は少なく危険感じませんでした。
補足
双葉駅・夜ノ森駅駅間の現状
福島県相馬市出身の方が双葉駅・大野駅(その南の夜ノ森駅)間を歩いた貴重な記録。
相双(そうそう)地域とは
銀座ミツバチプロジェクト、福島復興応援自由演奏会で福島市、須賀川市、二本松市、会津若松市、喜多方市などを訪れて会津、中通り、浜通りと言う地域区分は知っていましたが相双地域と言う区分は今回初めて知りました。サンプラザふたばも道の駅なみえも相双地域のことをアピールし、山形県に避難を余儀なくされた鈴木酒造店のこともアピールするポップがあれば良いのにと思いました。美味しいもの、良いものがたくさんあるのにもったいない。
トイレ・食事場所
フタバスーパーゼロ、東日本大震災・原子力災害伝承館、震災遺構浪江町立請戸小学校、道の駅なみえにあります。
靴
全て舗装路で雑草に覆われている箇所もありませんでした。スニーカーや普段の生活で履いている靴で歩けると思います。