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『大阪極道戦争 しのいだれ』(1994年/監督:細野辰興)

日曜日の午後に観た2本目の映画は『大阪極道戦争 しのいだれ』(1994年/97分/原作:山之内幸夫/脚本:成島出・秀島康夫/監督:細野辰興)。

バブル崩壊後の大阪を舞台に大阪最弱のヤクザの二代目組長(役所広司さん)、彼を兄さんと慕う不動産会社の世間知らずの十三代目(阿部寛さん)、少女時代から大阪のミナミでカツアゲ、窃盗などを繰り返し覚醒剤事件で服役して出所したばかりの若い女性(仁藤優子さん、当時23歳)の友情と三角関係を軸に広域指定暴力団傘下の組長(本田博太郎さん)が暴力も殺人も無しに不動産会社の十三代目をはめていくと言う経済事件の不気味な怖さが描かれていました。

役所広司さんの大阪弁での演技には驚きました。上映後の細野監督と仁藤優子さんのトークによると役所さんは本読み段階から役に徹底して入り込む人で撮影中(大阪ロケは2週間!)はずっと阿部寛さんと2人で大阪弁で会話したり、ここはどうする、ああしようと話し合っていたとのこと。

上映・トークに仁藤優子さんのアイドル歌手時代からのファンが来ていました。彼らによると仁藤優子さんはホリプロのキャラバンでActress賞を取りこのまま女優の道に進むのかなと思われていたもののホリプロが歌手として力を入れて売り出したとのこと。役所広司さんの真剣さに負けないように必死になって生まれたのが本作での素晴らしい演技だったとのご本人の弁ですが元々演技の素質はあったようです。中山忍さん、仁藤優子さんと言うトップアイドルの素質と努力の凄さを日曜日に観た細野監督の2作品を通じて知りました。

3つの作品を観てそれぞれの上映後のトークが終わるごとに細野監督とお話しさせて頂きお人柄に魅了されました。トークで山田キヌヲさんも仁藤優子さんも口を揃えて細野監督は演技をつける際に女優を追い込まないと言い、監督への信頼感を表していました。

2日間で細野監督の3作品を見たあと、どれも実は恋愛映画だったことを知りました。濃密な二日間を企画した壱岐坂ボンクラージュ店主の藤井さんに感謝。来年の細野監督特集と新作が楽しみです。

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