『Tea Time』 リバティ・ファブリックス作品コンテストの制作過程
こんにちは。Yu’s です。
minne×トーカイによる「リバティ・ファブリックス作品コンテスト」に参加するため、リバティ生地を用いたミニチュア作品を作ってみました。
今回はその制作過程を書いていきます。
リバティと聞いてイメージするものは「イギリス」と「洗練された美しい植物のデザイン」。
そのイメージを詰め込んだ作品(リバティや自然の魅力を感じられて、その中にイギリスらしさがある作品)を作ってみようかなと思い立ちました。
具体的にリバティをどう使うか。
最初に思いついたのは、リバティ生地でミニチュアの服と本を作ることでした。
ちょうどシルバニアの服を制作していたタイミングにこのコンテストを知ったこと、そして以前作った作品「移動図書館がやってきた!」で布を本の表紙として使用したことがあったので頭に浮かんだのだと思います。
服を作るなら、それを着る人物も作りたい。
例えばそれが動物で、服や本、その他寝具や小物にいたるまでリバティでできた物に囲まれて暮らしている、というのはどうだろうか。
イギリスらしさを表現するために、友達を呼んでティーパーティーを開いたら楽しい図になるかもしれない。
こうしてどんどん空想を膨らませながらイメージを固めていきました。
そしてこんなストーリーを作ってみました。
「とある森の中の一本の苔生した木。
その木には小さなドアとどんぐり型ライトが付いていました。
そこはリバティと自然が好きなリスの家。
服や寝具、小物にいたるまで、リバティを用いた物に囲まれて楽しく暮らしていました。
ある日、友達のネズミとモグラを招いてリバティを楽しむティーパーティーを開くことに。
ドレスコードはリバティの服。
少し早く着いたモグラの子は、焼きたてのスコーンを持ってきてくれました。
少しすると、ネズミの子は素敵なお花を持ってやって来ました。
クッキーやジャム、クリームも準備万端!
美味しい紅茶を淹れて、楽しいティータイムの始まりです。」
そんな絵本のワンシーンのような世界観を、ミニチュアで立体化させることに挑戦してみました。
【制作⑴ 木の家】
まず、リスが住んでいる木の家から作ります。
置きたい家具の数に対して床面積が狭いため、2階建てで設計します。
今回、土台に輪切りの木材を使用しました。
その上にスチレンボードで柱を作り、周りに粘土を貼ります。
外側にはモデリングペーストで樹皮を再現します。
乾いたら色を塗ります。
樹皮に苔を付けていきます。
次は室内壁の色を塗ります。
何色にするか悩みましたが、明るい雰囲気を出したかったので1階は黄色、2階はグレージュにしました。
2階の床パーツはスチレンボードに粘土を貼ったものを別に用意しました。
縁には建物の外側と同じように樹皮を作り、苔をつけました。
室内壁は塗り壁という設定ですが、1階の壁はなるべく均一に、2階はあえて塗りムラのあるテイストにしました。
これで建物は概ね完成したことになるので、同時に作っていた一部の小物を設置していきます。
【制作⑵ 動物達】
次にリス、ネズミ、モグラを粘土で作ります。
出来上がった頭部がこちら。
次に、それぞれの身体を作ります。
身体を作る上で、
1)自立できる作り
2)動きを感じられる作り
3)それぞれの動物の特徴や違いを出す
それらを意識しながら成形しました。
最後に服を着るので腕は別パーツとして作りました。
モグラとネズミの色にはだいぶ悩みました。
思ったより暗くなってしまったり、強い色味になってしまったり。
暗い色だと目が目立たず、強い色だと全体のバランスが悪くなりまとまりがなくなる。
なかなか決まらなかったのですが、最終的に決め手となったのは、
1)主役のリスを引き立てる優しい色であること
2)リバティ生地に合う色であること
この2点を決めたことで納得のいく色味が作れました。
仕上げにリスには羊毛フェルトで、ネズミにはクラフトテープで尻尾を作ります。
さらにネズミとモグラには刺繍糸で髭を付けます。
コンテスト対象生地の中から、それぞれに合いそうな生地を選び服を作りました。
そして完成したものがこちら。
【制作⑶ 家具】
リスはどんな家に住んでいるのか。
動きの素早いリスはよく働きそうで、きっと家の中も綺麗にしていそうだ。
小さい家の中に好きなものや必要なものを揃えて、一つ一つの物を大事にしながら暮らしているイメージが湧いてきた。
小ぶりの家なので1階はキッチン&ダイニングスペースのみ。
メインとなる家具はキッチンや食器棚、暖炉、ダイニングテーブルやチェア。
2階は寝室で、ベッドや本を置く小さな棚がある。
…そんな暮らしぶりを想像しながら楽しんでレイアウトを考えました。
主な材料はバルサ材。
サイズはリスの身体の大きさを基準に決めました。
デザインに関しては、
1)建物の壁が円形であること
2)直線ばかりの家具では単調になったり人工的な印象を与えるかもしれない
という点に気をつけて、ところどころカーブした家具を作ってみました。
新品の家具ではなく使い古して経年変化がおきた雰囲気を出したかったので、ややくすんだ茶色で着色しました。
【制作⑷ リバティを用いた小物類】
1)バスケットの目隠し布
2)木製の蓋の入れ物(紅茶が入っている設定)4つ
3)お皿に見立てた鳥の柄のプレート2枚
4)キッチンタオル
5)本2冊
布の中の小さな柄1つ1つをよく見て、部分的に切り抜いて小物を作る作業が楽しかったです。
1)掛け布団
2)服2着
3)ファブリックパネル2つ
4)本3冊
【制作⑸ リバティ以外の布で作った小物類】
1)バスケットの目隠し布2つ
2)テーブルクロス
3)マット
上記に加え、玄関マットと黄色のストールも作りました。
ちなみにテーブル上のお菓子は、家具を制作した際に切り落とした木の端をクッキーに見立てて作ってみました。
【制作⑹ 動物以外の粘土小物】
1)どんぐりライト
2)ティーポット
3)カップ2つ
4)スコーン
5)ジャムとクリームの入れ物
イギリスらしさを表現するにあたり、スコーンと紅茶はティーパーティーに欠かせないと思い作りました。
これでようやく全ての小物が揃いました。
ドライフラワーを上下階に飾り、セッティングしたら完成です!
作品タイトル『Tea Time』
【制作を終えて】
リバティはどれも素敵なデザインで、ずっと眺めていたくなるような美しさがあります。
そんなリバティを暮らしのアイテムとして取り入れることで、たちまち華やかで素敵な空間になることを感じました。
ミニチュアの世界でもその魅力を発揮できるのは、発色の良さや洗練されたデザインをもつリバティだからこそできることだと思いました。
また今回使用した布量は少なめですが、どんなに小さな作品であっても、布のどの部分を使うか、ということが作品の印象を大きく変える重要なポイントになることを実感しました。
制作中、色や柄が混在してまとまりがなくなりそうだと感じたので、全体の色がまとまるように常に色合いを意識しながら布を選びました。
この布選び、柄選びの作業は難しくも楽しい部分でした。
好きなものに囲まれて暮らす幸せな気持ち。
そして友達と過ごす楽しい時間や温かみを感じていただけると嬉しいです。
今回も長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
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