ユートピア
遊覧船がユートピアに座礁する
乗客は浜辺に打ち上げられ
砂の体をしたダイヤたちが、彼らの頬に切り傷を
僕の目が覚めたのは、乗客たちの享楽と喧騒の最中
ポケットいっぱいに砂を詰めるもの
買い物袋に砂を詰めるもの
僕はそれを横目に浜辺を歩く
「ここは一体どこなんだ」
ここはユートピア、現世に所在をなくした場所
金銀の壁が遊覧船を破壊するから
僕らは帰り道を失った
僕らは実在を失った
それでも彼らは砂を詰める
ポケットに、買い物袋に、その口腔に
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